ヒト心臓内多能性幹細胞と幹細胞増幅因子bFGF徐放シートのハイブリッド移植療法による心筋再生医療の多施設共同型臨床開発

文献情報

文献番号
200906005A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト心臓内多能性幹細胞と幹細胞増幅因子bFGF徐放シートのハイブリッド移植療法による心筋再生医療の多施設共同型臨床開発
課題番号
H20-再生・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松原 弘明(京都府立医科大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 王  英正(京都府立医科大学 医学研究科)
  • 友池 仁暢(国立循環器病センター)
  • 夜久 均(京都府立医科大学 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
41,410,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は、少量のヒト心筋材料よりヒト心筋幹細胞の単離精製・増幅法を世界に先駆けて確立した(国際特許:WO2006/093276)。臨床実用化にむけて、大動物を使用した前臨床試験を実施し、安全性・有効性を検証する。その結果をもとに、臨床試験phase I/IIaのプロトコールを作製して、重症心不全への心筋再生医療の実現化を目的とする
研究方法
1)厚生労働省科学技術部会「ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会」で当該臨床試験が承認されるための、GMP準拠CPC整備、細胞培養技術・細胞品質・移植技術の検証のための基礎実験を実施する
2)臨床試験プロトコール作成と第1相臨床試験:大動物前臨床試験の成績をもとに第1相臨床試験プロトコルを作成する。低心機能(EF<35%以下)で、冠動脈バイパス形成術を受ける末期的心不全(虚血性心臓病)を対象に、bFGF徐放ゲラチンシート+心筋幹細胞移植(約1千万個)を組み合わせたハイブリッド療法の第1相安全性確認臨床試験を厚生労働省に申請する。
結果と考察
「第1相安全性確認pilot臨床試験」
重症慢性虚血性心不全に対して、厚生労働省のヒト幹細胞臨床研究実施計画申請書 “重症慢性虚血性心不全に対するヒト心臓幹細胞と幹細胞増幅因子bFGFのハイブリッド自家移植療法の検討“のプロトコルを作成し、申請した。平成21年9月に承認され、現在は第I相安全性確認臨床試験中である(6症例)。上記臨床試験の安全性を確認し、高度医療に申請する。第I相試験の結果を受けて、第II相比較対照有効性確認試験(40症例)を実施する。
プロトコルの概略をのべる
適格規準
1) 年  齢 : 症例登録時において年齢20歳以上80歳以下
2) 左心機能 : 前項5-2-1のLVEFにて15%以上、35%以下
3) 臨床病期(心不全分類) : stage D
4) 臨床症状(心不全重症度) : NYHA III&#12316;IV度
5) 冠動脈バイパス術適応病変 : 前項5-2-2の冠動脈造影法において主要冠動脈に有意狭窄を有し、冠動脈バイパス術の適応がある
結論
我々が世界に先駆けて開発したFGFシート併用心臓幹細胞移植治療は、心機能改善効果、心筋分化効率、移植後細胞生存率などから考えて世界で最も優れた心筋再生医療でると結論される。GMP準拠CPC活用、細胞培養技術・細胞品質・移植技術の検証、臨床試験プロトコルの妥当性、は厚生労働省科学技術部会「ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会」にて、承認された。今後の第1相安全性確認臨床試験の結果、第2相有効性安全性臨床試験への展開が期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
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