2023年G7保健関連会合における我が国の効果的なプレゼンスの確立および喫緊の課題に対応するための国際保健政策への貢献に資する研究

文献情報

文献番号
202206024A
報告書区分
総括
研究課題名
2023年G7保健関連会合における我が国の効果的なプレゼンスの確立および喫緊の課題に対応するための国際保健政策への貢献に資する研究
課題番号
22CA2024
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
城山 英明(国立大学法人東京大学 未来ビジョン研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 坂元 晴香(慶應義塾大学 医療政策・管理学教室)
  • 詫摩 佳代(東京都立大学 法学政治学研究科)
  • 松尾 真紀子(東京大学 大学院公共政策学連携研究部)
  • 武見 綾子(東京大学先端科学技術センター グローバル合意形成政策分野)
  • 神代 和明(国立大学法人東北大学 大学院医学研究所)
  • 具 芳明(国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター)
  • 近藤 尚己(京都大学 大学院医学研究科 社会疫学分野)
  • 橋爪 真弘(長崎大学 熱帯医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,149,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2023年日本はG7サミット及びG7保健大臣会合のホスト国となった。新たなグローバルヘルスのアジェンダを提示し推進するには、官民のステークホルダーの認識も踏まえた上で、様々な課題を整理し、それらの相互関連についての分析を深める必要がある。
上記の問題意識を踏まえ、G7において重点的に対応すべき様々な具体的課題やそれらの相互関係、共通するガバナンス上の課題を明らかにし、G7保健関連会合におけるアジェンダ設定に資するエビデンス提供を目的とする。具体的には、複合危機下におけるUHC、重層化するガバナンス、ワンヘルス、サーベイランス強化、健康危機管理における国際的臨床試験基盤の役割、AMR対策、高齢化対応の前提としての高齢者の機能評価、気候変動とグローバルヘルスの相互作用に関し分担して検討した上で、横断的研究班会議により横断的課題の分析を行い行政担当者に適時フィードバック、G7保健関連会合の成果文書等の礎とすることを目的とした
研究方法
本研究は文献調査、文献では確認できない国内外のヒアリング調査、会議参加、及び研究班会議の実施により行った。研究班会議は、厚労省や関係省庁の担当者を交えG7保健トラック準備会合の前後など、政策的に重要なタイミングで実施、インプットを行うことで研究と実務の相互連携を図った。
なお「高齢者の機能評価の国際標準化に向けた研究」においては日本老年学的評価研究のデータも使用、データ分析を行った。
結果と考察
研究分担者ごとの結果と考察を要約する。
UHCの再検討については、UHC, HSS, PHC, EPHFの定義と関係性の整理を行い、これらを統合的に推進するとともに、実行力を高める仕組み(評価指標の導入、各国が保健医療により投資できるようなインセンティブ設計)の導入の必要性、DX推進の重要性を明らかにした。重層化する保健ガバナンスでは、韓国のWHO Biomanufacturing Training Hubや米国とベトナムの連携強化、アフリカCDCが中心となった地域内協力の強化等地域レベルでの取組みの重要性が確認された。またアフリカの地域内協力の強化は域内完結でなく、WHO mRNAワクチン技術移転ハブなどを通じグローバルなレベルと連結する動きを見せていることが確認された。ワンヘルスに関しては、概念をいかに具現化・実装に向け対応するかという段階に入っていると明らかになった。また統合的な科学的データ・手法に関する研究・エビデンス構築と実践事例の蓄積、ワンヘルス分野を推進するうえでのガバナンス・体制整備と構築が必要であるとした。サーベイランス強化に関しては、既存サーベイランス・地域的サーベイランスの強化、ワンヘルスに関する枠組み構築、Defense intelligenceなど保健セクターでは非伝統的な分野からの情報収集、民間企業との連携強化など様々な取組みが明らかになった。これらを踏まえ、様々なメカニズム間の情報の相互共有が十分に図られるような体制整備等の必要性等が指摘された。健康危機管理の再検討に関しては、迅速に治療方法を確立するための国際的な臨床試験基盤としてのプラットフォーム試験の利点が明らかにされた。AMR対策に関しては、投資を回収できるだけの収益を得られず製薬企業の投資意欲をそいでいる現状に対応するためのプル型インセンティブ導入、経済安全保障の観点からの既存抗菌薬の安定供給と、抗菌薬適正使用が重要であると明らかにした。高齢者の機能評価では、日本老年学的評価研究の調査データを活用しその妥当性を確認するとともに、現場での利用可能性も確認し、今後の国際標準化の試みの基盤を構築した。気候変動がグローバルヘルスにもたらす影響に関しては、保健医療分野において気候変動に対する適応が重要と認識されているにもかかわらず、対策が遅々として進んでいない点が確認され、あらゆるガバナンス・スケールで、マルチセクター、マルチシステムな取組みが必要であると指摘された。
以上分担研究を踏まえ、グローバルレベル、地域レベル、民間レベル等の重層的ガバナンス、また様々な健康や環境を横断する分野横断的ガバナンスが必要であること、このような重層性、分野横断性に対応して民間資金、国内資金を含む多元的な財源調達メカニズムが必要であると確認した
結論
本研究ではG7保健関連会合におけるアジェンダ設定に資するエビデンス提供のため、個別的政策課題について検討を深めるとともに、それらの相互関係、共通するガバナンス上の課題を明らかにし、政策提言を行うことができた。また行政担当者と密接に連携をとりつつ研究を進めることで、研究成果はG7の成果文書である「G7長崎保健大臣宣言」「G7 UHCグローバルプラン」さらに「G7広島首脳コミュニケ」策定に活用され、日本の国際的プレゼンスを高めることにも寄与した

公開日・更新日

公開日
2023-07-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202206024C

収支報告書

文献番号
202206024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,993,000円
(2)補助金確定額
7,993,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,707,640円
人件費・謝金 1,224,331円
旅費 1,192,102円
その他 2,025,021円
間接経費 1,844,000円
合計 7,993,094円

備考

備考
自己資金94円

公開日・更新日

公開日
2023-07-20
更新日
-