不適正事案等の比較検討による臨床研究の質の向上の実施に係る研究

文献情報

文献番号
202206022A
報告書区分
総括
研究課題名
不適正事案等の比較検討による臨床研究の質の向上の実施に係る研究
課題番号
22CA2022
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 暁洋(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 臨床研究支援部門 / 臨床研究推進部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 典宏(北海道大学 北海道大学病院臨床研究開発センター)
  • 布施 望(独立行政法人国立がん研究センター)
  • 渡部 歌織(東京大学医学部附属病院 臨床研究推進センター)
  • 城本 由記子(大阪大学医学部附属病院 未来医療開発部)
  • 桑木 多佳子(国立がん研究センター 東病院 臨床研究支援部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
862,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ICH E6 revision2にて品質マネジメントに関する記載が付加され、日本でも「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」(令和元年 7 月 5 日薬生薬審発 0705 第3号)においても品質マネジメントシステム(以下、QMS)の運用が明記され、被験者保護及び試験結果の信頼性を確保する上ではリスクに応じた医療機関内でのプロセス管理が重要であることが示されている。
また、「医療法の一部改正(臨床研究中核病院関係)の施行等について」(令和3年9月9日医政発0331第69号)においても、「病院管理者は、当該病院において過去に行われた特定臨床研究について、研究データのねつ造、改ざん、盗用が疑われる事案や、医薬品医療機器等法及び臨床研究法への不適合事案等の特定臨床研究に係る不適正事案の有無について調査を行い、不適正事案を認めた場合には、その原因を究明するとともに、再発防止策の策定や関係者の処分等の是正措置を講じること。」と明記され、臨床研究中核病院としても不適正事案が発生した場合には施設内でCorrective Action/Preventive Action (是正措置・予防措置(以下CAPA))を通じてのプロセス管理が求められている。
これらに基づいて、各臨床研究中核病院では不適正事案を含む問題事例が発生した場合には、CAPAが立案され、それが各種委員会での検討が行われ適正な臨床研究の実施を担保するためのIssue Managementのプロセスが構築されている。
そこで、本研究では不適正事案を含む問題事例に関して、各臨床研究中核病院における発生時の検討プロセスを明らかにすることで、各医療機関でのQMS体制について可視化するとともに、それらが各臨床研究中核病院およびその他の医療機関で共有されることによって臨床研究の質の向上を図ることを目的とする。
研究方法
分担研究課題:不適切事案に関する用語の定義に関する調査(分担研究者:布施望/佐藤典宏)
臨床研究中核病院における不適正事案発生時の検討プロセスについて、それが不適正事案かどうかを判断するための用語の定義に関する調査を法令検索及び文献的に行った。

分担研究課題:各臨床研究中核病院の不適正事案等の検討プロセスの調査(分担研究者:桑木多佳子/布施望/城本/渡部歌織)
上記で定義される不適正事案についての検討がどのように施設内で行われているかを各施設へのアンケート調査を通じて行い各施設でのIssue Management方法に関する調査を行った。

分担研究課題 :各臨床研究中核病院の不適切事案報告内容の調査(分担研究者:桑木多佳子/城本由紀子/佐藤暁洋)
上記で検討された不適正事案が報告されている公開文書である臨床研究中核病院実績報告書の様式7を用いて、どのような事象が実際に報告されているかを分析した。

上記を通じて、様々な制度下において多数の臨床研究が実施される臨床研究中核病院において、不適正事案やそれにつながる可能性のある問題事例の検討・改善プロセスの可視化、用語・定義の整理、適切な報告基準などを研究班として整理した。
結果と考察
用語の定義については各種規制間で異なっており、検討プロセスについても施設間で多少の差異があること、その結果、業務報告書様式7で報告される件数や内容には施設間での大きな差になっていることが示唆された。
結論
臨床研究のモデルケースとなるべき臨床研究中核病院における不適正事案等の管理体制をより良くしていくことは、日本全体の臨床研究の質向上につながる。各規制間での用語・基準の統一が進むとともに、臨床研究中核病院間で、本報告書を含む事例共有等によって、より適切な体制構築につながることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
2024-01-15

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202206022C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究で得られた結果は、臨床研究中核病院を中心とした医療機関にてどのように不適切事案が検討され、是正・再発防止がとられているかのプロセスを明らかにするとともに、関連法規についての整理を行った。この結果については、広く周知するとともに、臨床研究中核病院のみならず臨床研究に携わる医療機関に対して、臨床研究の質を向上させる目的で情報提供を行う。
臨床的観点からの成果
本研究は臨床研究ではないため、臨床的観点からの成果はない。
ガイドライン等の開発
今後、審議会などで活用されるように検討を行う。
その他行政的観点からの成果
今後、審議会などで活用されるように検討を行う。
その他のインパクト
本研究にて、臨床研究中核病院での不適正事案の取り扱いや、各種規制などでの用語に関する定義の違いが明らかになった。このことによって、より適切な取り扱いや用語の統一が図られることが期待される。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
202206022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,120,000円
(2)補助金確定額
1,120,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 5,700円
その他 856,300円
間接経費 258,000円
合計 1,120,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
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