重症心不全患者の自己心筋幹細胞を用いた心筋・血管ハイブリッド組織シート移植治療の臨床研究開発

文献情報

文献番号
200906003A
報告書区分
総括
研究課題名
重症心不全患者の自己心筋幹細胞を用いた心筋・血管ハイブリッド組織シート移植治療の臨床研究開発
課題番号
H20-再生・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
浅原 孝之(財団法人先端医療振興財団 先端医療センター 血管再生研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 川本 篤彦(財団法人先端医療振興財団 先端医療センター 血管再生研究グループ )
  • 澤 芳樹(大阪大学医学系研究科 外科学講座 心臓血管外科学)
  • 清水 達也(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
  • 増田 治史(東海大学 医学部 再生医療科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
37,996,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症心不全の患者から心筋幹細胞を分離し、臨床応用できるレベルの培養システムを開発し、治療可能な細胞品質を有する心筋幹細胞を同定するための品質管理システムを構築し、心筋分化および血管分化誘導を応用したハイブリッドシート作製法の確立、およびその評価研究を進める。
研究方法
大阪大学からの臨床心筋サンプルを用いて、ヒト心筋幹細胞(hCSC)を培養し、その基礎データを採取した。このhCSCで未分化hCSCシートあるいは心筋分化シート・血管分化シートの開発を進めた。この開発シートをヌードラット心筋梗塞モデルに移植し、機能検査および組織検査を試行し、移植効果を確認した。
結果と考察
1.臨床における心筋幹細胞培養の確立
臨床の全ての心疾患患者からhCSCは単離可能であること、右心房からの分離効率が高いことが明らかになった。hCSCを臨床採取組織から分離する際のコラゲナーゼ反応時間、培養開始の際の播種細胞密度を最適化した。
2.未分化hCSCシート開発
hCSC細胞シート作製のための適正播種細胞密度を確認し、あらかじめ積層化したものを移植することが適切であることが判明した。
3.心筋分化誘導hCSCシート開発
心筋分化誘導hCSCシート化のための細胞播種密度を最適化した。hCSCの心筋細胞への分化誘導の最適化を心筋初期遺伝子の持続的な発現と心筋構造タンパク質の有意な増加で確認した。4.血管分化誘導hCSCシート開発
血管分化誘導培養のための、培養条件、hCSC細胞播種数及び分化培養期間を最適化した。
5.シート移植方法の検討
未分化hCSCシートおよび心筋分化シート移植群両群が有意に左室機能を回復させていることが判明した。免疫組織染色では、移植した未分化細胞の一部はラット心臓の梗塞境界領域に生着し、心筋・血管平滑筋・血管内皮細胞分化が確認された。
結論
臨床応用可能は心筋幹細胞の分離・培養・品質管理のシステムがほぼ完成した。心筋・血管分化ハイブリッドシートの完成により、重症心不全治療の臨床応用の可能性が示唆された

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
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