タトゥー施術等の安全管理体制の構築に向けた研究

文献情報

文献番号
202206020A
報告書区分
総括
研究課題名
タトゥー施術等の安全管理体制の構築に向けた研究
課題番号
22CA2020
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
小野 太一(国立大学法人政策研究大学院大学 政策研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 米村 滋人(東京大学・大学院法学政治学研究科)
  • 佐伯 仁志(中央大学 法務研究科)
  • 加藤 英明(横浜市立大学 附属病院感染制御部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
2,762,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来医師法上の「医行為」と整理されてきたタトゥー施術行為について、令和2年(2020年)9月16日最高裁決定において「医行為」には当たらないとされたことから惹起された2つの論点(従来からの行政解釈によって「医行為」であるため医師法で規制していた行為に関し、その外延に「医療及び保健指導に属する行為」であるという要件が加わったことで、その「医療関連性」の範囲についての理解と、およそ保健衛生上の危険が想定される行為について医師法での規制が及ぶものかどうかが問われるようになったこと、及び令和2年最高裁決定は、従来は(少なくとも法制度上は)医師法により規制が講じられていたタトゥー施術行為について、医師以外の者、具体的には彫師、タトゥーイストなどの施術者が行うことについて安全規制の法律がなくなったことを意味することから、感染症対策等をはじめとした保健衛生上からの一定のルール等を定める必要が生じたこと)に関し、科学的な見地から検討を加え、タトゥースタジオにおける衛生管理に関するガイドラインを作成するとともに、令和2年最高裁決定の射程について法学的見地から整理を行った。
研究方法
第1回全体班会議の後、基本的に法律班、安全管理ガイドライン作成班それぞれによる各論の分析、研究を行った。法律班においては、医師法第17条に係る学説・判例等についてレビューの上分析を行うとともに、令和2年最高裁決定及び下級審における判決に対し詳細な検討を加え、その上で今後の医行為規制のあり方について考察を加えた。また安全管理ガイドライン班においては、滅菌や血液暴露の危険性等を共有する、例えば理容師やあん摩師・鍼師等の業務に係るガイドラインや関連の論文を収集、分析するとともに、感染制御に係る専門家やタトゥー施術等の被害に関する知見を持つ専門家等の講演を通じて、タトゥー施術行為のリスクを把握し、一般社団法人日本タトゥーイスト協会の協力も得て、ガイドラインに盛り込む安全管理のポイントを検討した。
さらに並行して、研究班全体として、タトゥースタジオ1か所、アートメイクを実施する診療所2か所を訪問し、実際の施術の模様を見学するとともに、タトゥー施術者(彫師)やアートメイクを実施する医師等と意見交換を行うことなどを通じ、実態に関する共通の認識を構築した。
結果と考察
「タトゥースタジオにおける衛生管理に関するガイドライン」として、施術者、被施術者両者の感染症発症リスクへの対応のため、1)施設の設置、2)施設内各区域の設置と管理、3)器具の管理、4)リネン、環境の管理、5)職員、施設の衛生管理の5項目に関して、具体的な対応策を取りまとめた。
また医師法第17条による規制の対象となる「医行為」への該当性の根拠に関し、令和2年最高裁決定及び学説・判例を通じた整合的なロジックを構築した。
結論
安全管理ガイドライン班が取りまとめたガイドラインは日本タトゥーイスト協会の協力を得たものであるが、同協会の加入者以外も含め、全ての施術者(彫師)やそのスタジオにおいて、遵守されることが期待される。行政や同協会においては、協会外の関係者への効果的な周知方法について検討することが期待される。
 また行政においては、法律班が示した令和2年最高裁判決を踏まえた医行為該当性に関する整理を、今後の医師法第17条の解釈及び運営に活かすことが期待される。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202206020C

収支報告書

文献番号
202206020Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,590,000円
(2)補助金確定額
1,173,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,417,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 343,418円
人件費・謝金 0円
旅費 2,364円
その他 0円
間接経費 828,000円
合計 1,173,782円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-12-13
更新日
-