文献情報
文献番号
200905028A
報告書区分
総括
研究課題名
国際比較を通じた医療人的資源供給体制の最適化に関する研究
課題番号
H21-特別・指定-028
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 昌範(東京大学 政策ビジョン研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 石原明子(熊本大学大学院 社会文化科学研究科)
- 清水佐知子(大阪大学 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医師・看護師・コメディカル等医療人的資源に関する国際的な状況を調査することで、適正な医療人的資源の供給体制を構築するための判断・分析枠組みを提示することを目的としている。各国の状況を把握することで、人的資源不足の問題への解決策を根拠に基づいて考察・提示が可能になる。また、医療人的資源の機能・役割と現状を提示することは、病院運営業務における人的資源管理に関しても大きな含意を提供すると考えられる。加えて、医療IT化の進展の中で、人的資源管理のあり方がどのように変化するかを検討するために、医療情報システムのデータを用いて医療従事者の労働を可視化する試みを行った。
研究方法
医療人的資源に関する国際的状況に関しては、文献調査、2次利用可能な公開データ、医療機関・政府機関等のウェブサイトから情報を収集した。また、特に人的資源管理研究や政策が充実しているアメリカとイギリスに焦点をあて、アメリカとイギリスの医療人的資源の状況と実際の人員配置等を検討した。医療IT化の影響の考察のために、病院情報システムから収集されたデータから人的資源管理のための考察を行った。
結果と考察
OECD諸国と比較した際に、人口1000人あたりの医師数は、相対的に低い数であった。小児科や産科医は、他国と比べて相対的にそれほど低いレベルではないが、麻酔科医は圧倒的に低いレベルであった。人口1000人あたりの看護師数は、近年の増加によりOECDレベルでの比較でも十分な数の看護師が養成されていることが分かる。アメリカやイギリス、ドイツとの比較で見てもほぼ同程度の看護師数である。日本の特異性としては、平均在院日数の長さがあり、他の国と比較して突出して長くなっている。また業務の専門特化の点で大きな相違があることが分かった。
医療ITによるデータを用いた研究によって、リアルタイムな業務量把握による人的資源管理の向上の可能性を指摘した。
医療ITによるデータを用いた研究によって、リアルタイムな業務量把握による人的資源管理の向上の可能性を指摘した。
結論
医療人的資源の正確な定義の確立が必要であり、また医療の質や安全性・効率性と合わせた研究が必要であることを確認した。その際に、医療のIT化は大きな貢献をなし得る可能性がある。
公開日・更新日
公開日
2010-06-11
更新日
-