文献情報
文献番号
200905025A
報告書区分
総括
研究課題名
副反応モニタリング体制の検討に関する研究
課題番号
H21-特別・指定-023
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 達夫(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 楠 進(近畿大学医学部)
- 森島 恒雄(岡山大学大学院歯薬学総合研究科)
- 山縣 然太朗(山梨大学大学院)
- 五十嵐 隆(東京大学大学院医学系研究科)
- 多屋 馨子(国立感染症研究所感染症情報センター)
- 工藤 宏一郎(国立国際医療センター国際疾病センター)
- 岡部 信彦(国立感染症研究所感染症情報センター)
- 田代 眞人(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
国が新型インフルエンザ(A/H1N1)の予防接種事業を実施するにあたり副反応報告体制を提案し、今後の日本における予防接種後副反応モニタリングシステムの在り方について検討する。
研究方法
新型インフルエンザ(A/H1N1)の予防接種後副反応報告体制と過去の副反応報告について比較を行い、同時に医学雑誌、インターネット、等の情報を基に諸外国、特に先進国の予防接種後副反応報告のシステムを調査し予防接種後副作用報告体制のあり方について検討する。
結果と考察
通常のワクチンによる有害事象の監視システムについては、先進国5カ国におけるワクチンによる有害事象モニタリングシステムをその法律の有無、有害事象報告者、報告の規制、特別のモニタリングシステムの有無、特別の報告用紙の有無、有害事象の判断のためのシステムの有無、補償システムの有無についてまとめた。報告のためのシステム、規制などは、各国で異なる。一方、日本における予防接種後副反応報告には薬事法による報告と定期の予防接種に対する予防接種実施要領による報告が存在する。両者は目的を異にするため、システムや報告内容等には違いがあるものの他国と比較しても、ほぼ、必要な項目を兼ね備えている。定期の予防接種における副反応報告に関しては、医療機関等から自治体への報告があり、それが厚生労働省に報告されることになっているが義務ではない。一方、海外では、多くの場合、接種者側から国に直接報告を行うこととなっている。この利点として、国が一括してその有害事象の頻度、種類の把握を行うことによって、そのデータが逐次アップデートされるということがあげられる。特に重要なのは、市販後に多数の患者に接種した際に起こりうる稀な有害事象、副反応を継続的にモニターしていくことである。今回の新型インフルエンザワクチンにおいては、既存の有害事象のみならず、新しい有害事象の発生も十分考慮して、各国では、既存のモニタリングシステムを駆使し、その現状の把握に努めている。今回、日本においては、有害事象報告を義務的に、かつ、海外と同様に、国に全ての有害事象を報告するシステムを初めて導入したが、これは、新しいワクチンの起こり得る有害事象の把握には、非常に重要な方法であり、今後導入が期待される新しいワクチンの有害事象の把握にも有用であると考える。
結論
ワクチンの副反応のモニタリングシステムは、諸外国において異なる。報告される有害事象とワクチンとの因果関係を直接的に判断するのは困難であり、それらを包括的にモニタリングするシステムを確立することが重要である。
公開日・更新日
公開日
2010-06-03
更新日
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