文献情報
文献番号
200905024A
報告書区分
総括
研究課題名
医療観察法導入後における触法精神障害者への対応に関する研究
課題番号
H21-特別・指定-017
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
吉住 昭(国立病院機構花巻病院)
研究分担者(所属機関)
- 竹島 正(国立精神神経医療研究センター精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
措置入院制度が適切に運用されているか、医療観察法と精神保健福祉法との役割分担が適切に行われているかを明らかにする。
研究方法
「検察官通報に関する研究」は、2008年度全国の自治体において、法第25条通報がなされた事例を対象とし、記載マニュアルを参照し転記してもらった。「医療観察法入院前に精神保健福祉法入院となった事例に関する研究」は、全国の指定入院医療機関に、開設日から2009年10月までの間に、医療観察法入院となった事例を対象に、入院処遇前に精神保健福祉法入院があるかどうかを調査した。「触法精神障害者に対する自治体の対応に関する研究」は、全国の自治体の精神保健福祉主管課あてにアンケート調査を行い、第24、25条、26条の運用状況、医療観察法の対象行為該当と判断される事例数、自殺企図と判断される事例数などについて質問した。
結果と考察
・1056例の通報例が得られ、2001年度の調査結果と比較した。その結果、今回、総数や女性の比率がやや増加したこと、診察未実施が増えたこと、措置入院180日後の措置解除が増加したことや措置入院期間が短縮したことなどが明らかになった。また、診断では、F2が66.3%を占めるが、今回、F8の発達障害が増加していた。
・医療観察法入院前に精神保健福祉法入院となった事例に関する研究
831例の回答が得られた。精神保健福祉法入院が認められたのは全体の14.2%であった。精神保健福祉法入院が用いられた理由は、興奮等、判決から確定までの「つなぎ」などであった。検察から入院した事例で、医療観察法を視野に置いた運用がなされているようであったが、警察から直接入院した事例では精神保健福祉法による入院期間が有意に延長していた。
・触法精神障害者に対する自治体の対応に関する研究
56か所の自治体から回答があった(回答率86.2%)。第24条、26条による通報件数などは著しく増加しており、通報制度の運用の変化が背景にあると考えられた。第25条の通報件数などはあまり増加しておらず、医療観察法と第25条のトリアージが行われるようになった成果と考えられた。また、医療観察法の地域処遇については、自治体が一定の経験を積みつつあることなどが明らかになった。
・医療観察法入院前に精神保健福祉法入院となった事例に関する研究
831例の回答が得られた。精神保健福祉法入院が認められたのは全体の14.2%であった。精神保健福祉法入院が用いられた理由は、興奮等、判決から確定までの「つなぎ」などであった。検察から入院した事例で、医療観察法を視野に置いた運用がなされているようであったが、警察から直接入院した事例では精神保健福祉法による入院期間が有意に延長していた。
・触法精神障害者に対する自治体の対応に関する研究
56か所の自治体から回答があった(回答率86.2%)。第24条、26条による通報件数などは著しく増加しており、通報制度の運用の変化が背景にあると考えられた。第25条の通報件数などはあまり増加しておらず、医療観察法と第25条のトリアージが行われるようになった成果と考えられた。また、医療観察法の地域処遇については、自治体が一定の経験を積みつつあることなどが明らかになった。
結論
医療観察法が措置入院制度に一定の変化を及ぼしたことは明らかとなったが、一方で措置入院制度の運用では多くの課題や新たな問題が生じていた。
公開日・更新日
公開日
2010-05-31
更新日
-