文献情報
文献番号
200905019A
報告書区分
総括
研究課題名
新型インフルエンザ (インフルエンザA/H1N1sw1) 発生への検査、調査についての準備及び初期対応の総括と、病原体検査や感染者調査に関する今後の国と地方との連携強化及び対応能力強化に関する緊急研究
課題番号
H21-特別・指定-021
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
宮村 達男(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
- 藤井 紀男(国立感染症研究所企画調整主幹)
- 渡辺 治雄(国立感染症研究所 副所長 細菌第一部)
- 岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
- 田代 眞人(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
- 林 謙治(国立保健医療科学院)
- 田中 智之(堺市衛生研究所)
- 小田切孝人(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
- 谷口 清州(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
72,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新型インフルエンザに対しての事前準備、流行分析、ウイルス検査、感染者調査情報を世界の最新情報とあわせ、いかに行政施策に反映させたかを記載した。特に国立感染症研究所(感染研)と地方衛生研究所(地研)との連携について初期対応を検証し、今後の感染症対策に資する。
研究方法
行動計画の策定、研究施設組織の体制整備、地研等との連携強化、ウイルス診断技術の標準化等の準備を記載。初期対応として、危機管理体制の構築、病原体検査、感染者調査、海外情報の収集、分析、情報の発信、国際会議の参画による情報収集と積極的提言、研究推進について感染研と地研の連携を中心に記載した。また地域における公衆衛生従事者に対する研修、情報の共有を記載する。
結果と考察
2009年3月策定の感染研新型インフル対策行動計画は4月27日発足した。高病原性鳥インフルエンザからの新型発生を想定したが、対応の根本は変わらず所の対応の基盤となった。4月1日、感染研インフルエンザウイルス研究センターが発足、感染症情報センターと共にウイルス検査、感染者調査の核が完成。事前のPCR診断講習会は全国規模の検査体制確立に寄与した。感染研設計のパンデミック株のPCR検査キットが全国地研、検疫所に配布され(5月2日)、標準検査体制が早期に確立した。WHOの各種国際会議に感染研幹部が出席、最新情報を収集し、対応を提言した。全数報告(4月29日?7月24日)で重症例把握、超過死亡を調査した。学校欠席者や薬局サーベイランスが感染拡大の把握に有用であった。地研分離の変異株の遺伝子情報が検査法の改良に寄与した。地研のアンケート調査は今後のサーベイランス体制、検査機器整備、人員の充実、感染研―地研の役割分担、地研の法的位置付け等の課題を明らかにした。全国各地で現地と協力した積極的疫学調査、また神戸、大阪では血清疫学調査が行われた。初の感染者は成田検疫所で確認、感染研でウイルスが分離された。ウイルスは日本のプロトタイプとなった。医療科学院では健康危機管理教育研修と情報ネットワークの活用を含め国の初期対応を検証した。
結論
初期対応は国内外の連携を基盤に概ね適切であった。原因ウイルスが季節性なみの病原性であったことは幸いした。国内外の関係機関の連携の維持、基礎、基盤研究の充実、国民に信頼される感染症対策を築く強い国のポリシー確立のための教訓を得た。
公開日・更新日
公開日
2010-07-01
更新日
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