ASEANにおける活動的で健康的な高齢期の推進に関する研究

文献情報

文献番号
202205007A
報告書区分
総括
研究課題名
ASEANにおける活動的で健康的な高齢期の推進に関する研究
課題番号
20BA2002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院 )
研究分担者(所属機関)
  • 林 玲子(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 荒井 秀典(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 理事長室)
  • 菖蒲川 由郷(新潟大学医歯学系 十日町いきいきエイジング講座)
  • 中川 雅貴(国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部)
  • 佐々木 由理(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
5,360,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和3年度から更にアップデートした①改訂版ASEAN-JAPAN Healthy & Active Ageing Index (HAAI) の作成とその適用可能性の検討、②高齢化指標を改善するための好事例のまとめ、③ASEAN諸国に展開するための「Revised ASEAN-JAPAN Healthy & Active Ageing Index(改訂版HAAI)とその活用に関するポリシーガイド」の作成を行った。
研究方法
① 改訂版HAAIとして6領域43指標を作成した。具体的には、Domain 1.政策・統計について10指標、Domain 2. 所得と生活保障について7指標、Domain 3. 健康と生活の質について12指標、Domain 4. ソーシャル・キャピタルについて6指標、Domain 5. キャパシティと実現環境について6指標、Domain 6. COVID-19について2指標である。それらの各指標について重みづけを行い、アジアのいくつかの国のデータを実際に入力し、数値を出すことで、各国での適用可能性について確認した。
② これらについて公益財団法人日本国際交流センター(Japan Center for International Exchange: JCIE)ならびに東アジア・アセアン経済研究センター(Economic Research Institute for ASEAN and East Asia: ERIA)が、日本政府によるアジア健康構想(Asia Health and Wellbeing Initiative: AHWIN)の一環として共催する、アジア各国から健康長寿の達成、高齢者ケアの向上に資する取り組みを募集・表彰するアジア健康長寿イノベーション賞(Healthy Aging Prize for Asian Innovation: HAPI)において表彰された事例などを好事例として活用し、合計38事例をまとめた。そのうち、ドメインごとに特に重要と考えられたいくつかの事例を抽出した。
③ ①と②などに基づいて、「Revised ASEAN-JAPAN Healthy & Active Ageing Index(改訂版HAAI)とその活用に関するポリシーガイド」をまとめた。
結果と考察
各分担者との連携によって改訂版HAAI及びそのポリシーガイドを作成した。アジア諸国の実際のデータを改訂版HAAIに入力し数値を出すことで、いずれの指標が集計しやすい(しにくい)ものであるのかを把握することができた。
改訂版HAAIのいくつかの指標に対して、改善が期待される好事例が存在した。また、これらの各事例は1つの指標にとどまらず、別の指標の改善にも寄与している可能性が考えられた。事例で挙げられたイノベーションが具体的に指標の改善にどの程度寄与しているのかといったエビデンスの構築は今後の課題である。
結論
ASEAN諸国をはじめとするアジア各国で、高齢化政策の立案・実施・評価に役立てる目的で、改訂版HAAI及び「Revised ASEAN-JAPAN Healthy & Active Ageing Index(改訂版HAAI)とその活用に関するポリシーガイド」を作成した。
ASEAN諸国をはじめとするアジア地域の高齢化政策推進のためのパートナーシップはますますその重要性を増しており、わが国がそれに積極的に関わり、協働していくことは、お互いの国益に適い、地域の安定に大きく貢献するものと考えられる。
今後、改訂版HAAIおよびそのポリシーガイドを効果的なツールとして活用し、わが国とアジア各国とのパートナーシップが強化されることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2023-08-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-08-02
更新日
2023-09-05

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202205007B
報告書区分
総合
研究課題名
ASEANにおける活動的で健康的な高齢期の推進に関する研究
課題番号
20BA2002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院 )
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ASEANにおける高齢化政策の更なる整備・推進に資するため、平成29年に開発したASEAN-JAPAN Healthy & Active Ageing Indicators(HAAI)に基づいて、ASEAN各国の現状分析を行い、必要な改訂を行った。また、今後の更なる取組推進に向けて、主にASEAN諸国の健康的で活動的な高齢期推進に関する好事例を収集・整理すると共に、英語版および日本語版の「Revised ASEAN-JAPAN Healthy & Active Ageing Index(改訂版HAAI)とその活用に関するポリシーガイド」を作成することを目的とした。
研究方法
2017年に開発したASEAN-JAPAN Healthy & Active Ageing Indicators(HAAI)に基づき、以下の手順で改訂版HAAIおよびガイドを作成した。
①国際機関やASEAN諸国の調査結果や既存の3つの HAAIと、改訂前のASEAN-JAPAN HAAIの比較検討に基づき、6領域43指標からなる改訂版HAAI(ASEAN-JAPAN Healthy & Active Ageing Index)を作成し、算定方法を設定した。さらに日本、インドネシア、タイ、ミャンマー、マレーシア、ベトナム、フィリピンについて、指標値の収集を行い、領域別に指標を視覚化した。
②ミャンマーにおける訪問・電話調査により得られたコホート調査データを用いて、改訂版HAAIのいくつかの領域の指標について、妥当性や適用可能性などを検証した。
③指標改善のための具体的な対策について、ASEAN諸国を中心とした高齢化対策の好事例を収集し、改訂版HAAIのどの指標に対応するかを分析・整理した。
④上記の①から③に基づいて、改訂版HAAIのガイドをまとめた。
結果と考察
各分担者との連携によって改訂版HAAIのガイドを作成した。アジア諸国の実際のデータを改訂版HAAIに入力し数値を出すことが可能となった。いずれの指標が集計しやすい(しにくい)ものであるのかを把握するプロセスを踏み、適用可能性の高い改訂版HAAIを作成した。
改訂版HAAIのいくつかの指標に対して、改善が期待される好事例が存在した。また、これらの各事例は1つの指標にとどまらず、別の指標の改善にも寄与している可能性が考えられた。事例で挙げられたイノベーションが具体的に指標の改善にどの程度寄与しているのかといったエビデンスの構築は今後の課題である。
改訂版HAAIのIndex算定にあたっては、統一した定義のデータが得にくく、すべての指標を揃えることは不可能であること、また、国ごとに同種の指標でも微妙な定義の差があることが明らかとなった。更に、社会・文化的背景による解釈など、数字の背後にある事情をより詳しく把握する必要性が考えられた。各指標がどこにあり、どのように定義され計測されているのかを把握すること自体が高齢者施策の充実につながる可能性が考えられた。
結論
ASEAN諸国をはじめとするアジア地域の高齢化政策推進のためのパートナーシップはますますその重要性を増しており、わが国がそれに積極的に関わり、共同していくことは、お互いの国益に適い、地域の安定に大きく貢献するものと考えられる。
今後、改訂版HAAIおよびそのポリシーガイドを効果的なツールとして活用し、わが国とアジア各国とのパートナーシップが強化されることが期待される。


公開日・更新日

公開日
2023-08-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-08-02
更新日
2023-09-05

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202205007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ASEAN諸国等のHealthy & Active Ageingに関する好事例を整理し、現地調査に関する事項も交え、「Revised ASEAN-JAPAN Healthy & Active Ageing Indexとその活用に関するポリシーガイド」を作成した。
各指標の欠損値や原数値のばらつきを適切に扱い、レーダーチャートで表すことで、視覚的に理解が促進されるよう工夫し、大まかな現状把握や比較が可能となった。政策開発の現場で、実際的に役立つエビデンスとして活用できるインデックスを作成できた。
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
英語版および日本語版の「Revised ASEAN-JAPAN Healthy & Active Ageing Index(改訂版HAAI)とその活用に関するポリシーガイド」を作成した。今後、改訂版HAAI及びポリシーガイドを効果的なツールとして活用し、わが国とアジア各国とのパートナーシップが強化されることが期待される。
その他行政的観点からの成果
本改訂版HAAIには、SDGsと関連する指標が一定数含まれており、効率的に適切な数値を入手できること、各国の高齢化政策のSDGs全体における位置づけもより明確になることが期待される。
その他のインパクト
第12回IAGGアジア/オセアニア国際老年学会議(2023年6月12日-14日)のシンポジウム(Social Science 10. Healthy and Active Ageing Index in ASEAN countries)において、本研究の成果を発表した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Yuri Sasaki, Yugo Shobugawa, Ikuma Nozaki et al.
Association between happiness and economic status among older adults in two Myanmar regions.
Int. J. Environ. Res. Public Health , 19 (6) , 3216-  (2022)
原著論文2
Yuri Sasaki, Yugo Shobugawa, Ikuma Nozaki et al
Rural–Urban Differences in the Factors Affecting Depressive Symptoms among Older Adults of Two Regions in Myanmar
Int. J. Environ. Res. Public Health , 18 (6) , 2818-  (2021)
原著論文3
Yuri Sasaki, Yugo Shobugawa, Ikuma Nozaki et al
Association between depressive symptoms and objective/subjective socioeconomic status among older adults of two regions in Myanmar
PloS one , 16 (1) , e0245489-  (2021)
原著論文4
Win HH, Nyunt TW, Lwin KT et al
Cohort profile: healthy and active ageing in Myanmar (JAGES in Myanmar 2018): a prospective population-based cohort study of the long-term care risks and health status of older adults in Myanmar
BMJ Open , 10 (10) , e042877-  (2020)

公開日・更新日

公開日
2023-06-22
更新日
2023-06-23

収支報告書

文献番号
202205007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,050,000円
(2)補助金確定額
485,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,565,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,252円
人件費・謝金 0円
旅費 427,466円
その他 54,160円
間接経費 0円
合計 485,878円

備考

備考
自己資金878円

公開日・更新日

公開日
2024-03-29
更新日
-