新人看護職員研修のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200905009A
報告書区分
総括
研究課題名
新人看護職員研修のあり方に関する研究
課題番号
H21-特別・指定-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
上泉 和子(公立大学法人 青森県立保健大学 健康科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西澤 寛俊(全日本病院協会)
  • 羽生田 俊(日本医師会)
  • 坂本 すが(東京医療保健大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,640,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は,新人看護職員の教育および研修の実態を明らかにするとともに,施設種別・規模に関わらず導入可能となる多様な新人看護職員研修プログラムのあり方を示す資料を提示することである。
研究方法
 本研究は,新人看護職員の教育・研修をとりまく制度および既存研究の成果などをもとにした現状の整理・検討と実態調査で構成した。
結果と考察
 調査の結果,職員研修に対する組織文化は,「関心がある」「重要である」「協力的である」意識が高かったが,環境整備についての充足率は低かった。
 新人看護職員研修の実施時期は4~5月に集中し過密状況にあった。また,ほとんどの研修は8か月までで終了していた。研修方法の多くは,OJTで実施されており,集合研修の実施率が高い項目は,安全管理と急変時の対応,看護職としての心構えなどであった。また,新人看護職員研修の担当者のほとんどは,業務上の配慮がなかった。新人看護職員が少ない施設では,外部研修や地域で支える研修体制への期待が示された。
 新人看護職員の研修期間終了時点での新人看護職員の到達目標と達成度は,概ね厚生労働省ガイドラインに準じた結果であったが,看護業務実施状況と期待する習得レベルが伴わない項目もあった。
 新人看護職員研修の教育担当者のほとんどは兼任で,業務上の配慮がなかった。新人看護職員の教育担当者研修の受講率は低く,受講した研修内容は,教育担当者に求められる企画力を備えるための研修内容とは異なっていた。
結論
・組織における職員研修に対する必要性の認識は高いが,その環境整備については今後さらなる充実が求められる。
・新人看護職員の研修体制については,研修時期を分散させるとともに,継続的・反復的な方法の導入や,OJTと集合研修を組み合わせたスパイラルな方法を取り入れる必要がある。また,研修担当者への業務上の配慮も必要である。
・新人看護職員が少ない施設では,施設内の研修体制を支援する外部研修や地域で支える研修体制の構築が期待される。
・新人看護職員の研修期間終了時点での新人看護職員の到達目標と達成度は,概ね厚生労働省ガイドラインに準じたものであった。
・新人看護職員の教育担当者については,なんらかの業務上の配慮が必要である。また,教育担当者研修は,教育計画の企画に関する研修内容とする必要があり,研修にあたっては,短期間分散型にするなどの配慮が必要である。

公開日・更新日

公開日
2010-06-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200905009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 本研究の結果,組織における新人看護職員研修に関する実態が示され,新人看護職員研修努力義務化による研修状況の変化や成果を継続的に把握していくための基礎資料を提供することができた。
 また,新人看護職員体制の現状から,今後の新人看護職員研修のあり方として,研修方法,研修内容,研修担当者配置について,示唆が得られた。新人看護職員研修を効果的に企画・運営するにあたって,これらの結果を参考にすることができる。また,新人看護職員の採用が少ない施設における研修体制についてのその在り方の検討する一助となる。
臨床的観点からの成果
 新人看護職員の期待する到達目標と達成度,業務実施状況を把握することができた。これらの結果は新人看護職員研修で習得すべき項目の見直しや,各習得項目のゴール設定時期の検討に活用することができる。
 教育担当者研修について,研修受講状況,研修内容,研修方法等の実態を示す資料を得ることができ,今後の教育担当者研修の在り方を検討する際の資料を提供することができる。
 本研究の成果は,多様な施設における新人看護職員研修の在り方を検討するために必要な資料として活用することができる。

ガイドライン等の開発
なし。
その他行政的観点からの成果
なし。
その他のインパクト
本研究結果の一部についてダイジェスト版報告書を作成。研究者の所属施設ホームページhttp://www.auhw.ac.jp にて公開中。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
研究者の所属機関ホームページ http://www.auhw.ac.jp への報告書(ダイジェスト版)の掲載

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-