ICTとAIを活用した患者の病院間搬送支援システムの構築研究

文献情報

文献番号
202203017A
報告書区分
総括
研究課題名
ICTとAIを活用した患者の病院間搬送支援システムの構築研究
課題番号
22AC1004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
中田 孝明(国立大学法人千葉大学 大学院医学研究院救急集中治療医学)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 拓(千葉大学 災害治療学研究所)
  • 島田 忠長(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 服部 憲幸(千葉大学 医学部附属病院)
  • 大網 毅彦(千葉大学 医学部附属病院)
  • 砂原 聡(千葉大学 医学部附属病院)
  • 竹内 公一(千葉大学医学部附属病院地域医療連携部)
  • 織田 成人(千葉市立海浜病院)
  • 西田 修(藤田保健衛生大学医学部 麻酔・侵襲制御医学講座)
  • 山尾 恭生(株式会社Smart119)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
15,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症患者の迅速な転院搬送を実現するため、転院搬送が必要な重症患者の状態に関する情報を電子カルテから自動で抽出・集約するシステムの開発を行い、また、医療連携プラットフォーム等を介した重症者用病床の空床状況等の見える化を整備して、重症患者と必要な医療を提供できる医療機関を迅速にマッチングするシステムを構築する必要がある。
 本研究では、ICT及びAIを用いて、重症患者の病態等に関する情報集約システムを開発するとともに、地域の重症患者用病床の空床状況等を見える化するプラットフォームを作成し、転院搬送が必要な重症患者と医療機関を迅速にマッチングするシステム(「重症患者転院搬送支援システム(仮称)」)を構築することを目的とする。
研究方法
 研究初年度である本年度は、以下2点の達成を目標に研究を遂行した。
1) 患者の重症度及び臓器障害等を判定するにあたり必要な検査結果等の医療情報を電子カルテ等から自動で抽出し集約するシステムの構築
2) 重症者用病床の空床状況等が電子カルテ等から自動でリアルタイムに抽出され、医療連携プラットフォーム等を介して、関係者がリアルタイムに把握することができるシステムの構築

また、目標達成においては研究協力施設が必須であるため、2022年7月に千葉メディカルセンターとの研究協力体制を整備した。千葉メディカルセンターは、二次救急医療機関であり、自院での対応が困難な重症患者が発生した際に、支援を要請する医療機関として、重症患者受入医療機関へ搬送を依頼する施設となり得る。そのため、同医療機関を研究協力施設とすることで、より地域の現状に即した搬送支援システムの構築が可能になると考え、研究協力を依頼した。
同年8月に千葉メディカルセンターの医療関係者ならびにシステム担当者へ向けた研究説明会を計2回実施した(オンラインと対面で各1回、1回あたり約1時間の説明を実施した)。対面での研究説明においては、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策を厳守したうえで実施した。訪問時には、直接医療従事者から現状を聴取し、実際に使用している医療・電子機器を確認した。また、システム担当者を通し、同医療機関が使用している医療・電子機器メーカー担当者(2社)と連絡を取り、メーカーの意向に合わせ、必要時は秘密保持契約(NDA)を締結した。各メーカーのシステムエンジニアとも連絡を取り、円滑かつ緻密に研究が遂行できるよう体制を整備した。
結果と考察
本年度の成果は、搬送支援システムの構築環境を整備したことである。支援を要請する医療機関になり得る千葉メディカルセンターから研究協力の承諾を得られたことは意義深い。そして、関係各所と繋がり、搬送支援システム構築において連携が必須である電子カルテおよびバイタルモニターに関する必要情報を獲得できたことは大きな成果といえる。これらの医療・電子機器との連携方法の検討の継続は必要であるが、搬送支援システムの試作は完了しつつあり、現在、一部の項目はテストデータを使用して搬送支援システムと医療・電子機器との連携を確認・修正する段階に達している。この段階に到達できたことは、次年度以降の円滑な研究遂行に結び付く本年度の成果だと考える。
また、医療・電子機器との連携に要する費用を算出することもできた。搬送支援システムに必要な情報の獲得において、現在の標準連携では獲得困難な情報があること、その情報を獲得するためには追加の費用を要することを初年度で把握できたことは、搬送支援システム構築におけるイニシャルコストやランニングコストの算出に重要な意味をもたらすといえる。
結論
本年度の目的であった、1)患者の重症度及び臓器障害等を判定するにあたり必要な検査結果等の医療情報を電子カルテ等から自動で抽出し集約するシステムの構築、2)重症者用病床の空床状況等が電子カルテ等から自動でリアルタイムに抽出され、医療連携プラットフォーム等を介して、関係者がリアルタイムに把握することができるシステムの構築を達成することができた。

公開日・更新日

公開日
2024-02-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202203017Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,300,000円
(2)補助金確定額
15,300,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,543,056円
人件費・謝金 4,627,854円
旅費 0円
その他 9,129,090円
間接経費 4,590,000円
合計 19,890,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-02-29
更新日
-