文献情報
文献番号
200905008A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機器の安定供給の確保に関する研究
課題番号
H21-特別・指定-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
上塚 芳郎(東京女子医科大学 医学部・医療・病院管理学)
研究分担者(所属機関)
- 坂巻 弘之(名城大学薬学部 臨床経済学研究室)
- 田倉 智之(大阪大学医学部附属病院未来医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成20年12月、骨髄採取に用いられる医療機器の供給が停止する間際の事態が発生した。このような医療機器の供給停止は、国民の生命を脅かす事態となる。本調査研究では、こうした事態の再発防止のため、医療機器の安定供給維持のための対策や、安定供給に支障が生じた場合の対策について検討する。
研究方法
国内調査では、米国医療機器・IVD工業会(AMDD)の加盟企業に対しては電子メール、日本医療機器工業会及び日本医療器材工業会の加盟企業に対しては郵送法により、調査票の配布と回収を行った。なお、補完的調査として大手企業数社へのインタビューも実施した。国外調査では、米国と欧州(仏国、独国)の関係機関および米国の医療機器メーカーを訪問し、各国の現状と対策について聞き取り調査を行った。
結果と考察
国内調査の結果、①販売する特定保険医療材料は、「心・脈管系材料」が最も多い、②内資系企業では、「骨格系材料」の販売が多く、「皮膚・組織系材料」「眼・耳鼻咽喉科系材料」は少ない、③企業内の一部変更承認申請などに係る情報管理部門は、「薬事部門」、「品質管理部門」が多い、④代替製品の少ない医療機器の販売が将来的に滞る場合、医療機関に「販売中止又は一時停止の通知を行う」「代替製品の情報を提供する」という回答が多い、ということがわかった。米国調査からは、FDAによる医療材料のフォローは現実的ではなく、企業への不採算な医療材料の生産要求は困難であり、稀少な医療機器については手続簡素化などのインセンティブが必要という見解を得た。欧州調査からはEudamedやDIMDIVなどの医療機器データベースに関する知見を得た。
医療材料の安定供給上の問題として、① 欧米に比べ国内の医療材料数が少ない、② 行政にとって医療材料の欠品予測が困難、③ 治療用医療材料の多くが輸入品、という3点が考えられた。輸入品をすぐに国内メーカーが代替することは困難であるため、欠品予想時は、速やかに行政に報告・相談をすることや、生命に係わる医療機器に関しては、代替品の有無を含めたデータベースの完備が必要と考えられる。
医療材料の安定供給上の問題として、① 欧米に比べ国内の医療材料数が少ない、② 行政にとって医療材料の欠品予測が困難、③ 治療用医療材料の多くが輸入品、という3点が考えられた。輸入品をすぐに国内メーカーが代替することは困難であるため、欠品予想時は、速やかに行政に報告・相談をすることや、生命に係わる医療機器に関しては、代替品の有無を含めたデータベースの完備が必要と考えられる。
結論
医療材料の安定供給が滞ることがあってはならない。安定供給の確保のために今後も政策上の研究が必要である。PMDAの審査体制の充実、稀少疾患対象の医療材料メーカーへのインセンティブ付与、データベースの対象となる医療材料の範囲についてなどが検討課題である。医療上の重要性と代替性の評価法の検討が必要と思われる。
公開日・更新日
公開日
2010-06-10
更新日
-