歯学教育及び歯科医師臨床研修において一貫して利用できるオンライン評価システムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
202203014A
報告書区分
総括
研究課題名
歯学教育及び歯科医師臨床研修において一貫して利用できるオンライン評価システムの開発に関する研究
課題番号
22AC1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
長島 正(大阪大学 歯学部附属歯学教育開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 田口 則宏(鹿児島大学 学術研究院医歯学域歯学系 大学院医歯学総合研究科)
  • 長澤 敏行(北海道医療大学 歯学部)
  • 新田 浩(東京医科歯科大学 歯学部附属病院)
  • 大澤 銀子(日本歯科大学 生命歯学部)
  • 秋葉 奈美(新潟大学 医歯学総合研究科生体歯科補綴学分野)
  • 和田 尚久(九州大学 歯学研究院)
  • 木内 貴弘(東京大学 医学部附属病院)
  • 野崎 剛徳(大阪大学 歯学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
11,530,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 令和3年3月に歯科医師臨床研修制度が改正され、到達目標が大幅に見直され、従来から用いられてきた歯科臨床研修評価システム(DEBUT)をはじめとする既存の評価システムでは新しい評価方法に対応できなくなった。そこで、本研究は、ICTを活用した卒前・卒後で一貫した評価システムの開発を目的として実施した。
研究方法
 まず、全国29の歯科大学・歯学部が公開している臨床実習に関するシラバスを調査対象とし、臨床実習における学習項目一覧を作成した。さらに、先行研究である「シームレスな歯科医師養成に向けた歯科医師臨床研修の評価についての研究」にて示された評価の視点・観点の例示を参照することで、臨床研修における学習項目一覧を抽出した。その上で、両者を比較・検討することによって、臨床研修修了に必要な症例項目一覧を作成するとともに、研修目標との関連付けを作成した。
 次に、これらの研究成果を踏まえた上で、これまでオンライン歯科臨床研修評価システム(DBEBUT)および電子版臨床実習・臨床研修連携ログブック(e-logbook)の開発に関わった経験を生かし、新しく開発するシステムに必要な要件および仕様を策定するとともに、策定された仕様に基づいた評価システムを開発した。
結果と考察
 各大学のシラバスの調査および臨床実習担当者への聞き取り、並びに先行研究である「シームレスな歯科医師養成に向けた歯科医師臨床研修の評価についての研究」の研究成果から共通の評価項目(学習項目)一覧を作成した結果、別添資料1に示したとおり153項目が選択された。さらに、これらの学習項目と歯科医師臨床研修の研修目標C領域との関連付けを検討した結果、各々の研修目標に対して1〜26個の学習項目が関連付けられた。
 次に新しく開発する評価システムの要件について検討し、研修歯科医が日々経験する症例を記録する学習履歴管理システムと、研修目標への到達度を評価する臨床研修評価システムの2つのシステムとして開発することとした。さらに、学習履歴管理システムに必要な要件として、
① 日常の診療等の業務への影響が少なくなるよう、研修歯科医、指導歯科医の双方にとって短時間で入力が可能であること。
② 患者の個人情報保護に対して十分な対策がなされること。
③ 信頼性の高いデータが保存できること。
④ 卒前に実施される臨床実習での学習履歴とシームレスに記録できること。
の4項目を選定するとともに、臨床研修評価システムに必要な要件として、
① 厚生労働省が示している歯科医師臨床研修の到達目標に則した評価が可能であること。
② 先行研究である「シームレスな歯科医師養成に向けた歯科医師臨床研修の評価についての研究(令和2、 3 年度厚生労働科学研究費補助金)」で示された「歯科医師臨床研修 評価ガイドライン」(以下、評価ガイドライン)にて示された評価の視点・観点に準拠していること。
③ 学習履歴管理システムで蓄積された研修実績を根拠とした評価が可能であること。
の3項目を選定した。
 次に、これらの要件を満たすために必要なシステムの基本方針ならびに仕様を策定した。さらに、策定された仕様にもとづいたシステムを開発した。
 新しく開発されたシステムでは、臨床研修の到達目標への評価を行う際に、それまでの研修実績(経験症例数)を根拠として示すことが可能となった。したがって、より客観的な評価が可能となると共に、指導歯科医が評価を下す際の強力な支援ツールとしての側面を併せ持っている。さらに、卒前に実施される臨床研修との連携についても十分考慮されている。したがって、本システムは、全国で統一した評価基準に基づいた研修歯科医の評価が可能となるだけでなく、個々の研修歯科医の臨床実習における学習効果を踏まえた臨床研修の実施が可能となり、その意義は大きいと考える。
結論
 全国29の歯科大学・歯学部大学のシラバスによる臨床実習の実体調査および臨床実習担当者への照会によって臨床実習との連携を意識した臨床研修の学習項目を策定するとともに、これらの項目を採用した学習履歴管理システムを開発した。さらに学習履歴管理システムと連携して動作する臨床研修評価システムを開発することで、臨床実習から臨床研修に一貫して活用できるオンライン評価システムを開発した。

公開日・更新日

公開日
2023-06-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202203014Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,989,000円
(2)補助金確定額
13,992,561円
差引額 [(1)-(2)]
996,439円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 922,561円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 9,611,000円
間接経費 3,459,000円
合計 13,992,561円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-06-13
更新日
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