標準化クリニカルパスに基づく、医師行動識別センサや問診AIなどのICTを用いた医師の業務負担軽減手法に関する研究

文献情報

文献番号
202203010A
報告書区分
総括
研究課題名
標準化クリニカルパスに基づく、医師行動識別センサや問診AIなどのICTを用いた医師の業務負担軽減手法に関する研究
課題番号
21AC1002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
中島 直樹(国立大学法人九州大学 大学病院)
研究分担者(所属機関)
  • 中尾 浩一(済生会熊本病院)
  • 岡田 美保子(一般社団法人医療データ活用基盤整備機構)
  • 羽藤 慎二(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター) 消化器外科)
  • 杉田 匡聡(NTT東日本関東病院 産婦人科)
  • 若田 好史(独立行政法人国立病院機構九州医療センター 医療情報管理センター)
  • 井上 創造(九州工業大学大学院生命体工学研究科)
  • 筒井 裕之(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院)
  • 的場 哲哉(九州大学病院 循環器内科)
  • 佐藤 寿彦(株式会社プレシジョン)
  • 山下 貴範(九州大学 病院 メディカル・インフォメーションセンター)
  • 平田 明恵(国立大学法人九州大学 大学病院)
  • 奥井 佑(九州大学 病院)
  • 野原 康伸(熊本大学大学院先端科学研究部)
  • 横地 常広(一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会)
  • 井口 健(大阪医科薬科大学 情報企画管理部)
  • 内海 健(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 検査技術科)
  • 松本 晃太郎(久留米大学 バイオ統計センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
23,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、医師業務負担軽減のあるべき姿を広い視野から考察すると同時に、標準型クリニカルパスシステム(ePath)、医師行動識別アプリ、問診支援システムなどのICTを用いて、データに基づいた医師の業務負担軽減の実証を行う。解析の結果で業務削減、他職種へのタスクシフト/シェア、あるいはICTへの置換をePath改訂で実施する実証試験を行い、医師の業務負担軽減全体の医療への影響、つまり医療の質や安全性に関しての影響や、他職種の業務への影響(看護師の業務量、検査技師の病棟業務の拡大)について検証する。3年間で実施する本研究の最終目的は、それらの成果を合わせて、クリニカルパスを用いた医師の業務削減に関するガイドライン案を策定することである。
研究方法
 令和4年度は、令和3年度に承認された介入研究の倫理審査の計画書に基づいて、ePathを用いた病棟における医師業務負担軽減の実証研究準備の継続と、年度後半からは実証研究実施、さらには令和5年度研究(改定クリニカルパスやICTシステム実装)の準備を行った。
研究準備)
・研究用クリニカルパスの運用開始
①経皮的心筋焼灼術(アブレーション)パス②経皮的冠動脈形成術(PCI)パス③胸腔鏡下肺切除術(VATS)パスの改定および新規の急性心筋梗塞パス策定と各施設での電子カルテ実装
・医師行動識別アプリの設定
・医師業務負担軽減のための解析手法およびパス改定手法の確立
・医師、看護師向けアンケートの策定
・ガイドライン案の準備(令和5年9月末に提出予定)
・病棟に新設する臨床検査技師の業務調査(令和5年度からタスク・シフト実施)
・問診AIシステムのコンテンツ策定(令和5年度から使用開始)
研究実施)
・4種類のクリニカルパスの病棟における実施(循環器パス(3種類)を3病院(九州大学病院、済生会熊本病院、NTT東日本関東病院)で、VATSパスを3病院(九州大学病院、済生会熊本病院、国立四国がんセンター)で実施開始)
・医師行動識別センサーデータ収集を九州大学病院循環器センターで実施(令和4年12月~令和5年3月)
・パスデータを4施設から回収(令和4年9月~令和5年3月分)
・パスデータ解析の実施
を進めた。
また、以下の会議を行った。
令和4年07月09日全体会議
令和4年11月05日WGリーダ会議
令和5年03月14日全体会議
その他、月に4回程度のプロジェクト管理会議を令和3年度に引き続き実施した。さらには、国立四国がんセンター、NTT東日本関東病院への研究説明会なども実施した。
結果と考察
 令和4年度は、改定前パスのシステム実装や開始に施設間の差があったものの順調に研究を進めることができた。同意書取得に課題があり当初は症例数が伸び悩んだが、令和5年3月末時点において4疾患で計399症例を収集した。
 医師の業務負担軽減については、WG7を中心に議論を進めた。特に、ePathにおける多施設でのLearning Health System(医療PDCAサイクル)の考え方も重要だが、そもそもクリニカルパス未導入施設/疾患での新規導入、クリニカルパスの施設間でのベンチマーク実施のそれぞれの時点で大きな医師業務負担軽減のチャンスがある、という点も改めて確認した。
結論
 令和4年度は、承認された介入研究の倫理審査の計画書に基づいて、ePathを用いた病棟における医師業務負担軽減の実証研究準備の継続と、年度後半からは実証研究実施、さらには令和5年度研究(改定クリニカルパスやICTシステム実装)の準備を行った。
 令和5年度9月末にクリニカルパスを用いた医師の業務負担軽減に関するガイドライン案を提出する。

公開日・更新日

公開日
2023-06-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202203010Z