『AIの眼』による医療安全確保に関する研究

文献情報

文献番号
202203006A
報告書区分
総括
研究課題名
『AIの眼』による医療安全確保に関する研究
課題番号
20AC1006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
大鹿 哲郎(筑波大学 医学医療系眼科)
研究分担者(所属機関)
  • 喜連川 優(東京大学 生産技術研究所)
  • 上浦 尚武(兵庫県立大学 大学院工学研究科電子情報工学専攻)
  • 田淵 仁志(広島大学 大学院医系科学研究科医療のためのテクノロジーとデザインシンキング)
  • 松村 由美(京都大学医学研究科皮膚科学)
  • 三宅 正裕(京都大学 大学院医学研究科眼科学)
  • 川崎 良(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 長原 一(大阪大学 データビリティフロンティア機構)
  • 中島 悠太(大阪大学 データビリティフロンティア機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
15,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、3年間の研究機関を通じ、眼科手術を題材に、手術の技術的側面に関する医療安全課題、および、手術前後の周辺領域に関わる患者認識や対象部位認識と誤認防止等の視点からの医療安全課題に対して、AIを用いた研究を行った。研究対象として、最も手術工程が標準化され、最も件数が多く(年165万件)、既に国内で医療安全AI(本人認証、左右取り違え防止、手術動画解析)開発が行われている3つの強みを有する白内障手術をモデル事例として取り上げ、これまでの取り組みが薄かった手術領域を大量の事例がある白内障手術を第一の事例として医療安全AI開発、手術関連AI開発を行うことを目的とした。
研究方法
本研究は以下の4つの柱で研究を行った:
❶ 学会主導の手術動画の統一的な収集
❷ 既に国内で開発されている医療安全AIの効果実証
❸ 前述AIの横展開に際してのロードブロックの評価
❹ AIが「眼」となることでロボット手術の展開・手術リスク予知・サポート・教育などに資する種々のパイロット研究
結果と考察
学会が主導する手術動画の統一的な収集においては手術動画収集プラットフォームを設計しクラウドサービスとして動画を収集する仕組みが完成した。これを用いて来年度は研究協力者が手術動画の供出を行うことができる体制が整備された。既に国内で開発されている医療安全AIの効果実証として、術前医療安全AIのシーズである患者取り違え等の予防を目的として開発中のAI認証システム(顔認証、左右認証、機器選択時の取り違えを予防)の実証として医療情報部門との連携を経て実装することができた。AIの横展開に際してのロードブロックの評価としては関係学会および国立情報研究所、その他の医療情報および通信技術専門家、医療安全、倫理的・法的・社会的な課題(ELSI)研究者と研究開発及び実証におけるロードブロックとなる課題を抽出し優先度、解決法と時期等の評価を開始した。コンピュータやロボットの「眼」としてロボット手術の進展・手術リスク予知・手術サポート・手術教育などに資する、種々の手術動画解析AIのパイロット研究としては手技習熟度を評価AI、手術工程の抽出と指標化、器具軌跡に基づく定量的な手技習熟度指標開発を開始し成果を報告した。
結論
 本研究により最も実証に適したケースで短期間に開発から実証までのサイクルを回すことでAIを医療安全分野で利活用する際のロードブロックの表出と解決を図ることにつながると期待している。その知見を報告・共有することは、医療の全領域における医療安全AIの開発・実証・実装の加速が期待され、厚生労働省のAI活用施策に大きく貢献すると考えられる。
 本研究により手術安全に関する人工知能を用いた検証を行うにあたって手術件数が多く、比較的容易に安定した動画情報を得ることができる顕微鏡手術である白内障に対する手術を用いた研究を行った。短期間に新たなAIシーズ開発研究、医療安全に関する既存シーズの実証、単施設から始めた複数施設での検証などのサイクルを回すことができた。AIを医療安全分野で利活用する際のロードブロックについても具体的な事例を検討するなどして意見交換の取り組みができた。今後本研究の知見を共有し、横展開を図ることは、医療の全領域における医療安全AIの開発・実証・実装の加速が期待され、厚生労働省のAI活用施策に大きく貢献すると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2023-06-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202203006B
報告書区分
総合
研究課題名
『AIの眼』による医療安全確保に関する研究
課題番号
20AC1006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
大鹿 哲郎(筑波大学 医学医療系眼科)
研究分担者(所属機関)
  • 喜連川 優(東京大学 生産技術研究所)
  • 上浦 尚武(兵庫県立大学 大学院工学研究科電子情報工学専攻)
  • 田淵 仁志(広島大学 大学院医系科学研究科医療のためのテクノロジーとデザインシンキング)
  • 松村 由美(京都大学医学研究科皮膚科学)
  • 三宅 正裕(京都大学 大学院医学研究科眼科学)
  • 川崎 良(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 長原 一(大阪大学 データビリティフロンティア機構)
  • 中島 悠太(大阪大学 データビリティフロンティア機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
3年間の研究機関を通じ、眼科手術を題材に、手術の技術的側面に関する医療安全課題、および、手術前後の周辺領域に関わる患者認識や対象部位認識と誤認防止等の視点からの医療安全課題に対して、AIを用いた研究を行った。研究対象として、最も手術工程が標準化され、最も件数が多く(年165万件)、既に国内で医療安全AI(本人認証、左右取り違え防止、手術動画解析)開発が行われている3つの強みを有する白内障手術をモデル事例として取り上げ、これまでの取り組みが薄かった手術領域を大量の事例がある白内障手術を第一の事例として医療安全AI開発、手術関連AI開発を行うことを目的とした。
研究方法
本研究は以下の4つの柱で研究を行った:
❶ 学会主導の手術動画の統一的な収集
❷ 既に国内で開発されている医療安全AIの効果実証
❸ 前述AIの横展開に際してのロードブロックの評価
❹ AIが「眼」となることでロボット手術の展開・手術リスク予知・サポート・教育などに資する種々のパイロット研究
結果と考察
学会が主導する手術動画の統一的な収集においては手術動画収集プラットフォームを設計しクラウドサービスとして動画を収集する仕組みが完成した。これを用いて来年度は研究協力者が手術動画の供出を行うことができる体制が整備された。既に国内で開発されている医療安全AIの効果実証として、術前医療安全AIのシーズである患者取り違え等の予防を目的として開発中のAI認証システム(顔認証、左右認証、機器選択時の取り違えを予防)の実証として医療情報部門との連携を経て実装することができた。AIの横展開に際してのロードブロックの評価としては関係学会および国立情報研究所、その他の医療情報および通信技術専門家、医療安全、倫理的・法的・社会的な課題(ELSI)研究者と研究開発及び実証におけるロードブロックとなる課題を抽出し優先度、解決法と時期等の評価を開始した。コンピュータやロボットの「眼」としてロボット手術の進展・手術リスク予知・手術サポート・手術教育などに資する、種々の手術動画解析AIのパイロット研究としては手技習熟度を評価AI、手術工程の抽出と指標化、器具軌跡に基づく定量的な手技習熟度指標開発を開始し成果を報告した。
結論
研究により得られた成果の今後の活用・提供:本研究により最も実証に適したケースで短期間に開発から実証までのサイクルを回すことでAIを医療安全分野で利活用する際のロードブロックの表出と解決を図ることにつながると期待している。その知見を報告・共有することは、医療の全領域における医療安全AIの開発・実証・実装の加速が期待され、厚生労働省のAI活用施策に大きく貢献すると考えられる。
研究により得られた成果の今後の活用・提供:本研究により手術安全に関する人工知能を用いた検証を行うにあたって手術件数が多く、比較的容易に安定した動画情報を得ることができる顕微鏡手術である白内障に対する手術を用いた研究を行った。短期間に新たなAIシーズ開発研究、医療安全に関する既存シーズの実証、単施設から始めた複数施設での検証などのサイクルを回すことができた。AIを医療安全分野で利活用する際のロードブロックについても具体的な事例を検討するなどして意見交換の取り組みができた。今後本研究の知見を共有し、横展開を図ることは、医療の全領域における医療安全AIの開発・実証・実装の加速が期待され、厚生労働省のAI活用施策に大きく貢献すると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2023-06-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202203006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1) 学会主導の手術動画の統一的な収集:動画収集サイトの構築を終了し、運用を開始。収集した動画はAI開発に利用した。
(2) 国内で開発されている医療安全AIの効果実証:顔認証、左右眼認証、IOL認証の医療安全AIシーズを多施設で検証し、医療過誤防止効果があることを確認。
(3) AIの横展開:AI開発、医療安全AIシーズの多施設検証において技術的、倫理的、人的なロードブロック表出と論点整理を行った。新規導入先の施設運用に応じた問題点を抽出し、システム改修を行うことで、認証成績が向上。
臨床的観点からの成果
(1) AIが「眼」となること種々の応用に資するパイロット研究:手術動画を基にした教育及び医療安全への応用を想定したAI解析技術の開発と評価を行った。
本研究は3年間の研究機関を通じ、白内障手術を第一の事例として短期間に開発から実証までのサイクルを回すことでロードブロックの表出と解決を図る。その知見を報告・共有することは、医療の全領域における医療安全AIの開発・実証・実装の加速が期待され、厚生労働省のAI活用施策に大きく貢献すると考える。
ガイドライン等の開発
無し
その他行政的観点からの成果
無し
その他のインパクト
特許取得:手術覆布上からの左右眼識別、特願2020-084476、申請中、田淵仁志他

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
17件
その他論文(和文)
9件
その他論文(英文等)
3件
学会発表(国内学会)
42件
学会発表(国際学会等)
6件
その他成果(特許の出願)
1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

特許の名称
手術覆布上からの左右眼識別
詳細情報
分類:
特許番号: 2020-084476
発明者名: 田淵仁志
権利者名: 田淵仁志
出願年月日: 20200513
国内外の別: 国内

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Wang B, Li L, Nakashima Y, Kawasaki R, Nagahara H.
Real-time estimation of the remaining surgery duration for cataract surgery using deep convolutional neural networks and long short-term memory.
BMC Med Inform Decis Mak , 23 (1) , 80-  (2023)
doi: 10.1186/s12911-023-02160-0. PMID: 37143041; PMCID: PMC10161556.
原著論文2
Li L, Verma M, Wang B, Nakashima Y, Nagahara H, Kawasaki R
Automated grading system of retinal arterio-venous crossing patterns: A deep learning approach replicating ophthalmologist's diagnostic process of arteriolosclerosis.
PLOS Digit Health  (2023)
doi: 10.1371/journal.pdig.0000174. PMID: 36812612; PMCID: PMC9931248.
原著論文3
Maruyama K, Mei S, Sakaguchi H, Hara C, Miki A, Mao Z, Kawasaki R, Wang Z, Sakimoto S, Hashida N, Qu
Diagnosis of Choroidal Disease With Deep Learning-Based Image Enhancement and Volumetric Quantification of Optical Coherence Tomography.
Transl Vis Sci Technol.  (2022)
doi: 10.1167/tvst.11.1.22. PMID: 35029631; PMCID: PMC8762713.
原著論文4
Kiuchi G, Tanabe M, Nagata K, Ishitobi N, Tabuchi H, Oshika T
Deep Learning-Based System for Preoperative Safety Management in Cataract Surgery.
J Clin Med.  (2022)
doi: 10.3390/jcm11185397. PMID: 36143048; PMCID: PMC9503842.
原著論文5
Tabuchi H, Morita S, Miki M, Deguchi H, Kamiura N.
Real-time artificial intelligence evaluation of cataract surgery: A preliminary study on demonstration experiment.
Taiwan J Ophthalmol.  (2022)
doi: 10.4103/tjo.tjo_5_22. PMID: 35813791; PMCID: PMC9262019.
原著論文6
Tabuchi H.
Understanding required to consider AI applications to the field of ophthalmology.
Taiwan J Ophthalmol.  (2022)
doi: 10.4103/tjo.tjo_8_22. PMID: 35813809; PMCID: PMC9262026.

公開日・更新日

公開日
2023-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
202203006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,000,000円
(2)補助金確定額
20,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,028,641円
人件費・謝金 992,463円
旅費 1,886,080円
その他 3,492,816円
間接経費 4,600,000円
合計 20,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-06-13
更新日
-