文献情報
文献番号
202202004A
報告書区分
総括
研究課題名
患者調査の効率的な実施手法の確立に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21AB1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
星 佳芳(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 木村 映善(国立大学法人愛媛大学 大学院医学系研究科 医療情報学講座)
- 豊田 章宏(独立行政法人労働者健康安全機構 中国労災病院 治療就労両立支援センター)
- 立道 昌幸(東海大学医学部 基盤診療学系衛生学公衆衛生学)
- 水島 洋(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
- 佐藤 洋子(静岡社会健康医学大学院大学)
- 辻 雅善(近畿大学九州短期大学 生活福祉情報科)
- 小林 健一(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
- 上野 悟(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
- 西大 明美(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
(1) 患者調査に関する文献レビューを行い、患者調査の効率化等に関する先行研究等の内容を明らかにする。
(2) 厚生労働省・病院・一般診療所における患者調査に係る作業実態を明らかにして効率化を妨げる要因を明らかにする。
(3) 歯科の傷病名については、調査票に示されている傷病名等16区分への分類作業の際の課題を明らかにして効率化に繋がる歯科ライブラリと、そのライブラリを導入したICTツールを開発し提案する。
(4)患者調査効率化を妨げる要因の解決に繋がるICTツール(小規模病院・診療所で使用するものと厚生労働省内でのコーディング作業を想定したもの)を開発する。そのICTツールプロトタイプを利用し、令和2年患者調査データを用いて、検証作業を行う。
(5)患者調査の効率化を図る為の提案を行う。
(2) 厚生労働省・病院・一般診療所における患者調査に係る作業実態を明らかにして効率化を妨げる要因を明らかにする。
(3) 歯科の傷病名については、調査票に示されている傷病名等16区分への分類作業の際の課題を明らかにして効率化に繋がる歯科ライブラリと、そのライブラリを導入したICTツールを開発し提案する。
(4)患者調査効率化を妨げる要因の解決に繋がるICTツール(小規模病院・診療所で使用するものと厚生労働省内でのコーディング作業を想定したもの)を開発する。そのICTツールプロトタイプを利用し、令和2年患者調査データを用いて、検証作業を行う。
(5)患者調査の効率化を図る為の提案を行う。
研究方法
(1)患者調査の効率的な実施手法に関する先行研究があるか確認し、患者調査に関する先行研究について、研究の概要(内容)をまとめる。文献レビューを行う際の文献検索対象データベースは、医中誌Web、厚生労働科学研究成果データベース、Ovid-MEDLINEとする。
(2)患者調査の効率化について、効率化を妨げる要因を調査するために、厚生労働省・病院・診療所へのアンケート調査/インタビュー調査を行う。
(3)歯科の傷病名について、歯科診療所にて患者調査(令和2年)の該当診療所であったことを想定して患者調査票に模擬的に記入してもらい、実際にレセプト病名でカルテに記載されていたものと、病態に即した臨床病名とそのICD-10コードを回答してもらう。その際の病名選択の際の課題をインタビュー調査する。その結果に基づき、歯科ライブラリを作成し、ICTツールに導入して、歯科の病名16区分の選択の効率化を図れるツールを開発する。
(4)効率化を妨げる要因の解決に繋がるICTツールプロトタイプの開発は、(2)での調査結果を反映して効率化を図るICTツールのプロトタイプ仕様を検討する。病名選択の際に病名候補とICD-10コードを同時に表示するツールを開発する。
(5)患者調査の効率的な実施手法に関する提案を行う。
(2)患者調査の効率化について、効率化を妨げる要因を調査するために、厚生労働省・病院・診療所へのアンケート調査/インタビュー調査を行う。
(3)歯科の傷病名について、歯科診療所にて患者調査(令和2年)の該当診療所であったことを想定して患者調査票に模擬的に記入してもらい、実際にレセプト病名でカルテに記載されていたものと、病態に即した臨床病名とそのICD-10コードを回答してもらう。その際の病名選択の際の課題をインタビュー調査する。その結果に基づき、歯科ライブラリを作成し、ICTツールに導入して、歯科の病名16区分の選択の効率化を図れるツールを開発する。
(4)効率化を妨げる要因の解決に繋がるICTツールプロトタイプの開発は、(2)での調査結果を反映して効率化を図るICTツールのプロトタイプ仕様を検討する。病名選択の際に病名候補とICD-10コードを同時に表示するツールを開発する。
(5)患者調査の効率的な実施手法に関する提案を行う。
結果と考察
(1) 文献検索の結果、既に、患者調査の総患者数の推計方法に関する研究、平均診療間隔や再来外来患者数推計値に関する研究、曜日別診療状況と総患者数の推計方法に関する研究等が行われていたが、主傷病名の選択やICDコーディングの効率化に関する研究は行われておらず、この研究が新規性の高いものであると考えられた。
(2)厚生労働省担当課へのインタビューの結果、患者調査を効率的に行う為には、病院内での適切な病名記入と、その情報の電子報告(紙調査票では文字の誤記等が発生する)、ICD病名コーディングの効率化に資するICTツールの開発が一助となることが示唆された。
(3)歯科診療所への調査の結果、担当医による病名確認の作業に長時間を要する診療所もあった。電子レセプトは利用しているが、電子カルテはなく、データ抽出はマニュアルで行い、電子レセプトコンピュターと紙カルテの内容を照合しつつ紙調査票への記入をすることが最も効率的である歯科診療所もあった、調査票の16の病名の選択にて迷う事例が多く、候補病名を提示する「患者調査歯科用候補病名提示ライブラリ」を作成することで効率化が図れる可能性が示唆された。
(4)病名決定やICDコーディングの効率化を図るICTツールのプロトタイプの仕様を検討した。CANDLSライブラリ(MEDIS/T辞書企画)を導入して病名・ICD-10コードを同時に候補として表示するツールプロトタイプを開発した。
(5) 厚生労働省内で、ICD-10病名へのコーディング作業を行っているので、将来は、病院調査票記入の時点からICDコードを報告してもらうことを提案する。調査票記入者とコーディング作業者の両者の作業を効率化するために、ICTツールを提案する。歯科病名については、16区分の候補にて提示するための歯科ライブラリの開発を提案する。
また、厚生労働省内のコーディングの効率化の為に、約10万件の傷病名に対応するICTツール利用を提案する。
(2)厚生労働省担当課へのインタビューの結果、患者調査を効率的に行う為には、病院内での適切な病名記入と、その情報の電子報告(紙調査票では文字の誤記等が発生する)、ICD病名コーディングの効率化に資するICTツールの開発が一助となることが示唆された。
(3)歯科診療所への調査の結果、担当医による病名確認の作業に長時間を要する診療所もあった。電子レセプトは利用しているが、電子カルテはなく、データ抽出はマニュアルで行い、電子レセプトコンピュターと紙カルテの内容を照合しつつ紙調査票への記入をすることが最も効率的である歯科診療所もあった、調査票の16の病名の選択にて迷う事例が多く、候補病名を提示する「患者調査歯科用候補病名提示ライブラリ」を作成することで効率化が図れる可能性が示唆された。
(4)病名決定やICDコーディングの効率化を図るICTツールのプロトタイプの仕様を検討した。CANDLSライブラリ(MEDIS/T辞書企画)を導入して病名・ICD-10コードを同時に候補として表示するツールプロトタイプを開発した。
(5) 厚生労働省内で、ICD-10病名へのコーディング作業を行っているので、将来は、病院調査票記入の時点からICDコードを報告してもらうことを提案する。調査票記入者とコーディング作業者の両者の作業を効率化するために、ICTツールを提案する。歯科病名については、16区分の候補にて提示するための歯科ライブラリの開発を提案する。
また、厚生労働省内のコーディングの効率化の為に、約10万件の傷病名に対応するICTツール利用を提案する。
結論
主傷病名の記入に、臨床病名決定とICD -10コーディングを支援するICTツールの開発を行った。歯科病名は16区分の候補から選択するライブラリの作成を行い病名決定支援に繋げられるICTツールとした。また、厚生労働省内でのコーディング作業を支援する目的で、約10万件の病名に対して一括で候補病名とICDコードを表示するツールを開発した。
公開日・更新日
公開日
2024-06-06
更新日
2025-01-19