途上国における健康教育教材としての小学校教科書の役割強化に関する研究

文献情報

文献番号
200903013A
報告書区分
総括
研究課題名
途上国における健康教育教材としての小学校教科書の役割強化に関する研究
課題番号
H21-地球規模・若手-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
野中 大輔(国立国際医療研究センター 国際臨床研究センター 国際保健医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 溝上 哲也(国立国際医療研究センター 国際臨床研究センター 国際保健医療研究部)
  • 小林 潤(国立国際医療研究センター 国際医療協力部 )
  • 神馬 征峰(東京大学 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小学生用の理科や保健等の教科書は、基本的な衛生スキルや疾患の予防方法等の保健情報を提供している。開発途上国においては特に、教科書は最も身近にある健康教育教材としても重要な役割を担っている。先進国における教科書でさえも時に、その記述に科学的な誤りがあることが報告されているが、途上国における教科書の保健情報の質は、これまでほとんど調べられて来なかった。本研究の目的は、教科書の保健情報を科学的見地から点検し、さらにその保健情報と対象国内の保健動向や国際的な保健動向との整合性を解析することによって、健康教育教材としての教科書の役割強化に貢献する知見を得ることである。
研究方法
本研究は、アジア・アフリカ地域の途上国8カ国(ラオス、カンボジア、スリランカ、ネパール、バングラデシュ、ガーナ、ニジェール、ベナン)を対象とする。教科書は、各対象国の教育省の協力の下に入手する。同時に、教科書担当官等にインタビューも行う。保健省からは、対象国の疫学情報や政策ペーパー(ナショナル・ヘルス・ポリシー)を収集する。研究の一年目は、文献レビューと質問票の作成、ベナン国における調査を行った。二年目・三年目は他の途上国7カ国を対象に、資料の収集やデータの解析、論文作成を行う。
結果と考察
当初の計画通り本年度は、文献レビュー、質問票の作成、およびデータの収集・解析の試行を行った。ベナン国保健省と教育省担当官に対して、作成した質問票の試行を行い、妥当性を検証した。また、ベナン国小学生・中学生用の教科書を収集し解析の試行を行った。保健政策ペーパーも入手し、翻訳を行っている。その他に、スリランカ国、ラオス国、ネパール国、及びバングラデシュ国の研究協力者と連携し、教科書等の収集を開始した。三年計画の初年度が終了した段階であるため、当初の計画通り全てのデータの収集が終了していない。しかしながら収集が終了したベナン国の教科書において、マラリアは当該国において主要な死因であるにも関わらず、極めて不十分な記述(一頁のみ)と、保健政策で重視されている対策(殺虫剤処理蚊帳の使用)が教科書では一切触れられていないことが判った。
結論
研究は計画通りに進行している。教科書の収集が終了したベナン国の小学生用教科書には、マラリアに関する不十分な記述・保健政策と乖離した記述が確認され、他の対象途上国の教科書解析の重要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-11-15
更新日
-