保険収載されている医療技術の再評価方法を策定するための研究

文献情報

文献番号
202201018A
報告書区分
総括
研究課題名
保険収載されている医療技術の再評価方法を策定するための研究
課題番号
22AA2005
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 西岡 祐一(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 小野 孝二(東京医療保健大学 看護学部 大学院看護学研究科)
  • 明神 大也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
9,277,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2年に1度の診療報酬改定では、診療報酬における医療技術(医師等による手技など)の適正な評価の観点から、医療技術評価分科会において、学会等から提出された医療技術評価・再評価提案書に基づき、新規医療技術の評価及び既存医療技術の再評価に関する検討を行っている。具体的には、診療報酬改定の度に約1000件程度の提案書が提出され、150~400件程度が新規医療技術として保険適用されている。しかしながら、既存医療技術の再評価については、十分に実施されておらず、中医協総会においても指摘されている。本研究では、既存医療技術の再評価手法を中立的かつ専門的な観点から適切に議論されるよう、具体的な評価方法を検討することを目的とする。
研究方法
本研究では下記4点から医療技術の再評価にかかる情報収集・検証を行った。
①分科会での再評価:過去の分科会で行った医療技術の再評価について検証を行った。
②NDBオープンデータの分析:厚生労働省は、審査支払機関において審査後に匿名化処理を施された電子レセプト情報(健康保険または医療扶助を使った場合に限る)をレセプト情報・特定健診等情報データベースに格納しており、平成26年度診療分以降の診療行為等の情報をNDBオープンデータとして公開している。NDBには紙レセプトの算定件数は含まれず、NDBオープンデータには全額公費(主に医療扶助)の情報が除外されている。しかし何らかの健康保険を使い、電子請求されたレセプト情報は網羅的に格納・集計されており、研究遂行に有用である。
本研究では第1回から第7回までのNDBオープンデータ(平成26年度~令和2年度診療分)と、社会保険診療報酬支払基金が公開している診療行為マスターを用いて、算定されなかった医科診療行為(第1章の基本診療料を除く)を検索した。
③ヒアリング:②の結果をもとに、放射線関連の診療行為の実情を把握するため、職能団体である診療放射線技師会にヒアリングを行った。
④NDBの第三者提供:NDBオープンデータでは地域詳細や合併する傷病などが把握できないため、NDBの第三者提供申請を行った。
結果と考察
①分科会での再評価:平成16年度改定~平成26年度改定の間に、医療技術再評価について議論された内容を整理した。
②NDBオープンデータの分析:診療行為マスターには存在するのにNDBオープンデータには算定されなかった診療行為一覧を整理した。例えば第6回オープンデータ(平成31年4月~令和2年3月診療分)ではマスターに存在する診療行為がNDBオープンデータでは算定されなかったのが、区分番号Bでは253件中21項目、区分番号Cでは339件中2項目、区分番号Dでは1464件中33項目、区分番号Eでは227件中26項目、区分番号Fでは33件中0項目、区分番号Gでは63件中0項目、区分番号Hでは103件中4項目、区分番号Iでは152件中9項目、区分番号Jでは434件中13項目、区分番号Kでは2738件中125項目、区分番号Lでは163件中5項目、区分番号Mでは78件中0項目、区分番号Nでは41件中0項目であった。この項目のうち、「医療技術が古くて算定していないもの」と「技術的に算定する可能性はあるが、まれなもの」の2種類に分かれると考えられる。
③ヒアリング:②の結果をもとに、診療放射線技師会に対してヒアリングを行い、画像検査についてはアナログからデジタル化に移行し、現在、臨床現場では利用されていない医療技術であることが確認された。確実にその医療技術が利用されていないかどうかの検証のためには医療メーカとの連携も必要であるとの認識に至った。
④NDBの第三者提供:NDBオープンデータでは分析できる内容に限界があるため、NDB特別抽出データの第三者提供の申出を行った。
令和4年6月の匿名医療情報等の提供に関する専門委員会にて条件付き承諾を得て、条件も解消されたため、同年8月に抽出依頼を行った。データはまだ提供されておらず、令和5年5月以降になる見通しである。
結論
1年目は方法と結果に示した研究を行った。
①分科会での再評価については、2年目は平成26年以降の振り返りを実施する予定である。
②のNDBオープンデータの結果についてはデータが多岐にわたる。今回は算定されていないコードを抽出したが、算定件数が大きく減ったコードや100件未満や10件未満の算定が限られているコードなども多数存在する。これらは算定が少ないだけで必ずしも不必要というわけではないが、実態が不明瞭である。そのため今後提供される④NDB第三者提供のデータをもとに、より地域性を考慮したより精緻な分析を進めていく。
③のヒアリングについても、診療放射線技師会との連携を継続するとともに、他の団体にもヒアリングを行いつつ、医療技術再評価の策定基準を検討していく。

公開日・更新日

公開日
2023-05-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202201018Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,740,000円
(2)補助金確定額
9,740,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,135,725円
人件費・謝金 2,061,168円
旅費 556,337円
その他 523,770円
間接経費 463,000円
合計 9,740,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-12-19
更新日
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