診療現場の実態に即した医療ビッグデータ(NDB等)を利活用できる人材育成促進に資するための研究

文献情報

文献番号
202201012A
報告書区分
総括
研究課題名
診療現場の実態に即した医療ビッグデータ(NDB等)を利活用できる人材育成促進に資するための研究
課題番号
21AA2007
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
康永 秀生(国立大学法人東京大学 大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学)
研究分担者(所属機関)
  • 中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科)
  • 田宮 菜奈子(国立大学法人筑波大学 医学医療系 / ヘルスサービス開発研究センター)
  • 笹渕 裕介(自治医科大学データサイエンスセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,740,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、NDB・DPCなどの保健医療ビッグデータや介護ビッグデータを用いた大規模データベース研究が拡大している。本研究は、これらの研究をさらに発展させるためには、臨床医学・疫学・統計学の知識に加えて、データベースに関連する知識や技能に精通した人材育成のプログラム開発と実践を目的とした。
研究方法
令和4年度において、令和3年度に開発したコンテンツ(NDBのeラーニング型教育コンテンツやオンデマンド型教育用ビデオコンテンツから構成される20コンテンツ)を用いた人材育成プログラムを実践した。コンテンツは以下を含めた:1. NDB・DPC等の公的データベースの動向、2. NDBガイドラインの理解度テスト、3. SQL入門、4. SQLを用いたレセプトデータのハンドリング、5. NDBを用いた研究、6. DPCデータを用いた研究1、7. DPCデータを用いた研究2。8. DeSCデータを用いた研究、9. JMDCデータを用いた研究、10. 傾向スコア、11. 高次元傾向スコア、12. 操作変数法、13. 不連続回帰デザイン・差の差分析、14. 時間依存性交絡と周辺構造モデル、15. 生存時間分析における競合リスクモデル、16. 欠測データの取り扱いと多重代入法、17. マルチレベル分析、18. 自己対照ケースシリーズ、19. 機械学習、20. データベースにおけるバリデーション研究。
また、大規模データ(NDB,DPC,JMDCデータ等)を用いた研究を継続的に実践した。
結果と考察
医療従事者のみならず多くの職種から1158人が参加登録し、のべ7411人から受講後アンケートの回答を得た。理解度・満足度ともに概ね高い結果となった。コンテンツの難易度について、「とてもわかりやすい」と「わかりやすい」を合計した割合は、コンテンツ番号3,5,6,7,8,9,10,16,17,18,20は90%を超え、番号1,4,11,12,13,14,15,19は80%を超えていたのに対し、番号2は49%と低かった。「本講義で疑問に感じたこと、不明点」に関するフリーコメントについて、内容的には本講義で紹介されなかった内容の追加を求める声が圧倒的に多かった。コメントを参考に今後のコンテンツの改良を行う予定である。
NDB、DPCなどの大規模データベースを用いた研究を引き続き実施し、2022年は英文原著論文が117編出版された。
結論
日常臨床のクリニカル・クエスチョンをデータベース活用により解明する研究実践能力を持つ研究者を多数育成し、データハンドリング技術と臨床研究実践能力の両方に長けた人材も多数育成することにより、わが国の大規模データベース研究の進歩を加速できる。

公開日・更新日

公開日
2023-05-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202201012B
報告書区分
総合
研究課題名
診療現場の実態に即した医療ビッグデータ(NDB等)を利活用できる人材育成促進に資するための研究
課題番号
21AA2007
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
康永 秀生(国立大学法人東京大学 大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学)
研究分担者(所属機関)
  • 中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科)
  • 田宮 菜奈子(国立大学法人筑波大学 医学医療系 / ヘルスサービス開発研究センター)
  • 笹渕 裕介(自治医科大学データサイエンスセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、NDB・DPCなどの保健医療ビッグデータや介護ビッグデータを用いた大規模データベース研究が拡大している。本研究は、これらの研究をさらに発展させるためには、臨床医学・疫学・統計学の知識に加えて、データベースに関連する知識や技能に精通した人材育成のプログラム開発と実践を目的とした。
研究方法
研究代表者・康永秀生は、ビッグデータ研究実践能力およびデータハンドリング技術養成プログラムを実践した。令和4年度において、令和3年度に開発したコンテンツ(NDBのeラーニング型教育コンテンツやオンデマンド型教育用ビデオコンテンツから構成される20コンテンツ)を用いた人材育成プログラムを実践した。また、大規模データ(NDB,DPC,JMDCデータ等)を用いた研究を継続的に実践した。研究分担者・中山健夫らは、NDBデータ研究の実践と人材育成プログラム開発・検証を実施した。研究分担者・田宮菜奈子らは、医療・介護データ活用による研究を通して、特に博士課程・研修医・若手教員を対象にした人材育成を実施した。研究分担者・笹渕裕介は、統計ソフトRの双方向型オンラインプログラムを開発実践した。
結果と考察
医療従事者のみならず多くの職種から1158人が参加登録し、のべ7411人から受講後アンケートの回答を得た。理解度・満足度ともに概ね高い結果となった。NDB、DPCなどの大規模データベースを用いた研究を引き続き実施し、2021年には106編、2022年は117編の英文原著論文が出版された。
中山健夫らの分担研究では、令和3・4年度において、アカデミアにおける研究者養成とは異なる形式での保健医療介護ビッグデータ研究人材育成の可能性について検討した。
田宮菜奈子らの分担研究では、令和3・4年度において、医療・介護保険レセプトデータやDiagnosis Procedure Combination (DPC)データなどの医療ビッグデータを用いた研究を推し進め、特に博士課程・研修医・若手教員を対象にした人材育成に一層力を入れた。
笹渕裕介らの分担研究では、令和3年度に研究計画立案、統計解析用ソフトウェアRについて双方向型オンラインプログラムの開発に着手し、令和4年度にその開発を行い、研究者へ提供した。
結論
今回我々が実践した研究は、NDBばかりでなくあらゆる保健・医療・介護ビッグデータに対応できる人材育成に関連するものである。開発されたプログラムやそれに基づく研究を継続的に実践することにより、ビッグデータのデータハンドリング、データベースマネージメントに関する総合的な技術を持つ研究者を多数輩出できる。また、日常臨床のクリニカル・クエスチョンを既存のビッグデータを用いて解明する研究実践能力を持つ研究者を多数輩出できる。さらに、データハンドリング技術と臨床研究実践能力の両方に長けた人材を多数育成でき、それによりわが国の医療ビッグデータ研究の進歩を加速できる。

公開日・更新日

公開日
2023-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202201012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
NDBのeラーニング型教育コンテンツやオンデマンド型教育用ビデオコンテンツから構成される20コンテンツを用いた人材育成プログラムを実践し、1,158名の参加者から概ね高評価を得た。
本研究を通じて、医療・介護ビッグデータ研究の後進の育成実績およびそのノウハウが順調に蓄積されている。これは、今後の医療人材のあるべき方向にも沿ったものであり、かつ学生や若手自身が自ら意欲的に取り組める内容でもあり、適切な指導により高い成果につなげられることが示唆された。
臨床的観点からの成果
大規模データ(NDB,DPC,JMDCデータ等)を用いた研究を継続的に実践し、2021年に106編、2022年に117編の英文原著論文を出版した。
開発されたプログラムやそれに基づく研究を継続的に実践することにより、データハンドリング技術と臨床研究実践能力の両方に長けた人材を多数育成でき、それによりわが国の医療ビッグデータ研究の進歩を加速できる。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
本研究は、NDBばかりでなくあらゆる保健・医療・介護ビッグデータに対応できる人材育成に関連するものである。様々なビッグデータ解析の結果は厚生労働行政に資する基礎資料として間接的に活用されることが期待される。さらに、英文論文化されたエビデンスは全世界の臨床家・公衆衛生実務家・民間企業のプラクティスに間接的に活用されるだろう。
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
117件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
50件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Abe H, Sumitani M, Matsui H, et al.
Use of naldemedine is associated with reduced incidence of hyperactive delirium in cancer patients with opioid-induced constipation: a nationwide retrospective cohort study in Japan.
Pharmacotherapy. , 42 (3) , 241-249  (2022)
原著論文2
Abe H, Sumitani M, Matsui H, et al.
Gabapentinoid use is associated with reduced occurrence of hyperactive delirium in older cancer patients undergoing chemotherapy: a nationwide retrospective cohort study in Japan.
Anesthesia & Analgesia , 35 (2) , 362-369  (2022)
原著論文3
Chinen T, Sasabuchi Y, Matsui H, et al.
Oxaliplatin- versus cisplatin-based regimens for elderly individuals with advanced gastric cancer: A retrospective cohort study.
BMC Cancer , 22 (1) , 460-  (2022)
原著論文4
Hashimoto Y, Matsui H, Michihata N, et al.
Incidence of sympathetic ophthalmia after inciting events: a national database study in Japan.
Ophthalmology , 129 (3) , 344-352  (2022)
原著論文5
Hashimoto Y, Michihata N, Yamana H, et al.
Safety of topical ophthalmic antibiotics in pregnant women with hordeola, chalazia, blepharitis, or bacterial conjunctivitis: propensity score analyses.
EYE , 36 (5) , 1066-1073  (2022)
原著論文6
Hirano Y, Kaneko H, Konishi T, et al.
Short-Term Outcomes of Epidural Analgesia in Minimally Invasive Esophagectomy for Esophageal Cancer: Nationwide Inpatient Data Study in Japan.
Annals of Surgical Oncology , 29 (13) , 8225-8234  (2022)
原著論文7
Ishimaru M, Ono S, Morita K, et al.
Prevalence, incidence rate and risk factors of medication-related osteonecrosis of the jaw (MRONJ) in patients with osteoporosis and cancer: a nationwide population-based study in Japan.
Journal of Oral and Maxillofacial Surgery. , 80 (4) , 714-727  (2022)
原著論文8
Itoh H, Kaneko H, Okada A, et al.
Age-Specific Relation of Cardiovascular Health Metrics With Incident Cardiovascular Disease.
American Journal of Cardiology. , 177 , 34-39  (2022)
原著論文9
Kaneko H, Suzuki Y, Ueno K, et al.
Association of Life's Simple 7 with incident cardiovascular disease in 53,974 patients with cancer.
European Journal of Preventive Cardiology. , 29 (18) , 2324-2332  (2022)
原著論文10
Konishi T, Fujiogi M, Michihata N, et al.
Association between body mass index and incidence of breast cancer in premenopausal women: A Japanese nationwide database study.
Breast Cancer Research and Treatment. , 192 (2) , 315-325  (2022)
原著論文11
Konishi T, Goto T, Fujiogi M, et al.
New machine learning scoring system for predicting postoperative mortality in gastroduodenal ulcer perforation: A study using a Japanese nationwide inpatient database.
Surgery , 171 (4) , 1036-1042  (2022)
原著論文12
Kumazawa R, Jo T, Matsui H, et al.
Direct oral anticoagulants versus warfarin for secondary prevention of cerebral infarction and bleeding in older adults with atrial fibrillation.
Journal of the American Geriatrics Society. , 70 (7) , 2029-2039  (2022)
原著論文13
Kutsuna S, Ohbe H, Matsui H, et al.
Effectiveness of fluoroquinolone antimicrobials in addition to tetracyclines for Japanese Spotted Fever: A retrospective analysis using a national inpatient database.
International Journal of Infectious Diseases , 123 , 70-75  (2022)
原著論文14
Matsuda K, Jo T, Shimura A, et al.
Risk of febrile neutropenia in very elderly patients aged ≥80 years receiving their first cycle of R-CHOP regimen: a nationwide real-world study in Japan.
British Journal of Haematology. , 197 (3) , e37-e41  (2022)
原著論文15
Matsuoka S, Kaneko H, Kamon T, et al.
Incorporation of Retinal Arteriolosclerosis into Risk Stratification of Blood Pressure Category According to the 2017 ACC/AHA Blood Pressure Guideline.
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis. , 29 (10) , 1487-1498  (2022)
原著論文16
Miyachi H, Konishi T, Kumazawa R, et al.
Treatments and outcomes of generalized pustular psoriasis: a cohort of 1516 patients in a nationwide inpatient database in Japan.
Journal of the American Academy of Dermatology , 86 (6) , 1266-1274  (2022)
原著論文17
Ohbe H, Goto T, Nakamura K, et al.
Development and validation of early prediction models for new-onset functional impairment at hospital discharge of ICU admission.
Intensive Care Medicine , 48 (6) , 679-689  (2022)
原著論文18
Ohbe H, Matsui H, Yasunaga H.
ICU versus high-dependency care unit for patients with acute myocardial infarction: a nationwide propensity score-matched cohort study.
Critical Care Medicine , 50 (6) , 977-985  (2022)
原著論文19
Okada A, Hashimoto Y, Goto T, et al.
A machine learning-based predictive model to identify patients who failed to attend a follow-up visit for diabetes care after recommendations from a national screening program.
Diabetes Care , 45 (6) , 1346-1354  (2022)
原著論文20
Suzuki Y, Kaneko H, Okada A, et al.
Comparison of cardiovascular outcomes between SGLT2 inhibitors in diabetes mellitus.
Cardiovascular Diabetology , 22 (1) , 67-  (2022)

公開日・更新日

公開日
2023-08-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
202201012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,040,000円
(2)補助金確定額
10,040,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 787,634円
人件費・謝金 677,202円
旅費 218,700円
その他 6,056,464円
間接経費 2,300,000円
合計 10,040,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-12-19
更新日
-