地球規模での保健課題に対応する人材養成に係る研究

文献情報

文献番号
200903008A
報告書区分
総括
研究課題名
地球規模での保健課題に対応する人材養成に係る研究
課題番号
H21-地球規模・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
黒川 清(政策研究大学院大学)
研究分担者(所属機関)
  • 望月 友美子(国立がん研究センター)
  • 渋谷 健司(東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学)
  • 近藤 正晃ジェームス(特定非営利活動法人 日本医療政策機構)
  • 小野崎 耕平(特定非営利活動法人 日本医療政策機構)
  • 坂野 嘉郎(特定非営利活動法人 日本医療政策機構)
  • 原 聖吾(特定非営利活動法人 日本医療政策機構)
  • 隈丸 拓(特定非営利活動法人 日本医療政策機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、過去10年にわたり国際的な投資額が急増し、世界的に喫緊の課題とされている国際保健の分野において、将来当分野で国際的に活躍する日本の人材養成のため、1. 国際的な意思決定機会の同定と戦略的な人材配置の分析及び2. 国際保健の情報基盤構築と国内の啓発・意識向上を目的とする。
研究方法
1. 地球規模の健康と経済の課題として、たばこ規制を題材に、WHOたばこ規制枠組条約の政策形成過程とそこに関与する主導国における政府機関やNGO、専門家・機関の貢献について分析し、WHOによる本格的な規制の開始までのマイルストーンの提示、またアドボカシーの重要性を聴取した。

2.国際保健のステークホルダー群の中からNGOを取り上げ、成功事例として7団体を抽出し、それぞれに、組織の属性・活動、国際保健分野NGO成功の秘訣、日本のNGOの更なる発展のための施策の3項目を焦点にインタビューを実施、分析し、今後のNGO発展のための施策をまとめた。
結果と考察
1. FCTCは、WHOの1970年以来の世界保健総会決議・勧告、及び加盟国におけるたばこ規制の評価、などをベースとしたWHOとNGOや専門家の協同が根底にあり、条約策定における政府間交渉過程においても、WHOは積極的に各国のNGOや専門家の育成のために、シードグラントによる国際的なNGO同盟の結成を促した。

2. NGOの成功事例を『ODA型』、『寄付・オペレーション有り型』、『寄付・オペレーション無し型』の3つの類型に分け、ODA予算のNGOへの配分の増額、活動の質と量の拡大など国際保健NGO発展のための施策が検証された。
結論
1. 意図的な人的資源の開拓を伴う財政調達計画に基づく政策形成は条約策定を潤滑に進め、交渉過程でのNGOや専門家によるアドボカシーは各国政府代表団の方針に影響を与えた。アドボカシーと政策形成の関わりについて、日本のたばこコントロールをめぐる状況を調査し、地球規模課題に取り組むことのできる人材育成プログラムの原型を作ることが重要である。

2. 国際保健分野における日本の貢献をより深めていくためには、各ステークホルダーの取組みのみならず、今後国際社会において当分野で活躍する人材育成の取組みを強化することが重要である。そのため、本研究により蓄積した国際保健におけるステークホルダーの協働体制への知見を活用し、ワークショップなどを通じ、国際保健分野の人材養成のためのプログラムの実施が急務である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-