国連ミレニアム開発目標達成のための保健人材強化に関する研究

文献情報

文献番号
200903006A
報告書区分
総括
研究課題名
国連ミレニアム開発目標達成のための保健人材強化に関する研究
課題番号
H21-地球規模・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
神馬 征峰(東京大学大学院 医学系研究科 国際地域保健学)
研究分担者(所属機関)
  • 狩野繁之(国立国際医療研究センター研究所 熱帯医学・マラリア研究部)
  • 溝上哲也(国立国際医療研究センター研究所 国際保健医療研究部)
  • 柳澤理子(愛知県立大学看護学部)
  • 小林潤(国立国際医療研究センター、国 際医療協力部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2004年以来世界規模の保健人材危機が指摘されてきた。2008年のG8北海道洞爺湖サミットでも保健システム強化が強調され、とりわけ保健人材分野で、もっとも多くのコミットメントがなされた。本研究では3つの保健関連MDG(4,5,6)に注目し、その改善に保健人材強化がいかに寄与しうるかを知ることを第1の目的とした。次いで近年注目をあびてきている途上国の生活習慣病対策をとりあげ、保健関連MDG対策から得られた教訓をもとに、途上国の実情にあった生活習慣病対策モデルを保健人材不足の途上国において構築することを第2の目的とした。
研究方法
方法は2つからなる。第1は、途上国の遠隔地で保健システムが十分機能し得ていない地域における保健人材強化策として、コミュニティヘルスワーカーに注目した。そして、主にカンボジアにおける村落マラリアワーカーの活動を、質問用紙を用いてフィールド調査した。第2にはMDG対策のための世界の潮流を知り、かつその流れに影響を及ぼすべく、世界保健人材連盟やマラリア・エイズ関連の国際学会を介した情報収集を行った。
結果と考察
カンボジアでの調査結果からは、保健医療システムのインフラが整備されていない遠隔地の森林地域においても、村落マラリアワーカーの活動によって適切な診断・治療へのアクセスが改善されたことが示唆された。その一方で、マラリアや媒介蚊に関する知識が非常に乏しい現状もまた浮き彫りになった。サービスの質やマラリア予防策・媒介蚊対策の実践についても不十分であり、村落マラリアワーカー間で格差が認められた。世界の保健人材政策に関しては、重要な会議への参加を介して、その流れを把握すると同時に、2010年から2011年における世界会議において重要な役割を果たすこととなった。
結論
MDG対策の一つとしてマラリアに焦点を当てた調査をした結果、カンボジアで村落マラリアワーカーは診断や治療において一定の役割を果たしてはいるものの、マラリア予防や媒介蚊対策においては実践が不十分であり、これらの分野においても、より一層の活躍をすべきである。一方、世界保健人材会議や世界エイズ学会において、重要な役割を果たせるようになってきているので、フィールド調査の成果をうまく世界の保健政策にいかしていくことの重要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
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