コムギ無細胞タンパク質合成法を活用したマラリアワクチン候補抗原の網羅的探索技術の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200903005A
報告書区分
総括
研究課題名
コムギ無細胞タンパク質合成法を活用したマラリアワクチン候補抗原の網羅的探索技術の開発に関する研究
課題番号
H21-地球規模・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
坪井 敬文(国立大学法人 愛媛大学 無細胞生命科学工学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 遠藤 弥重太(国立大学法人 愛媛大学 無細胞生命科学工学研究センター)
  • 澤崎 達也(国立大学法人 愛媛大学 無細胞生命科学工学研究センター)
  • 鳥居 本美(国立大学法人 愛媛大学大学院 医学系研究科)
  • 竹尾 暁(国立大学法人 愛媛大学 無細胞生命科学工学研究センター)
  • 石野 智子(国立大学法人 愛媛大学大学院 医学系研究科)
  • 大槻 均(国立大学法人 愛媛大学大学院 医学系研究科)
  • 橘 真由美(国立大学法人 愛媛大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
38,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
マラリアワクチン開発は最重要世界保健課題の一つである。その実用化のためには、既知のワクチン候補のみの研究では限界に達しており、新たなワクチン候補分子の探索が緊急の課題となっている。本申請では、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を基盤とするハイスループットなマラリアワクチン候補抗原探索系の技術開発を目的とした。本研究において新規のワクチン候補抗原が同定できれば、国際的なマラリアワクチン研究開発を先導することが期待できる。
研究方法
以下に列挙する。1)コムギ無細胞系を用いたビオチン化マラリア原虫タンパク質ライブラリーの作製。2)抗原抗体反応を検出するための高速免疫スクリーニングシステムの確立。3)マラリア原虫組換えタンパク質ライブラリーから防御免疫を保有していると考えられるマリ共和国マラリア免疫ヒト血清を用いた抗原タンパク質の同定。4)マラリア免疫ヒト血清の原虫増殖阻害率の測定。5)ネズミマラリア原虫をモデルとした、簡便なin vivoワクチン効果判定系の確立。
結果と考察
コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いて、熱帯熱マラリア原虫cDNAライブラリーから合計744種類の組換えタンパク質を合成した。次に、マリ共和国ヒト血清試料の熱帯熱マラリア原虫増殖阻害活性を測定した。52人分の血清試料の増殖阻害活性は、最高92%から最低4%と幅広く分布していた。これらを用いたスクリーニングの試行の結果、184種のタンパク質が少なくとも1種の血清サンプルと反応し、その内45種のタンパク質で抗体価と増殖阻害活性が正に相関した。また、既知ワクチン候補抗原MSP-1タンパク質免疫マウスを用いたin vivoワクチン評価系はスクリーニングに利用出来ることを示した。
結論
上記の結果により、ゲノムワイドな新規マラリアワクチン候補抗原のスクリーニングが可能となる技術基盤ができたと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-06-10
更新日
-