F-SOAIPを用いた特別な支援の必要な保護者対応の記録システムの開発

文献情報

文献番号
202201002A
報告書区分
総括
研究課題名
F-SOAIPを用いた特別な支援の必要な保護者対応の記録システムの開発
課題番号
21AA1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
上田 敏丈(公立大学法人 名古屋市立大学 大学院人間文化研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 勝浦 眞仁(桜花学園大学 保育学部)
  • 小嶋 章吾(国際医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科)
  • 嶌末 憲子(埼玉県立大学 保健医療福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
1,948,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、保育所において、特に配慮や支援の必要な保護者への対応を保育士が行う上で、どのような支援体制の構築が可能となるのかを明らかにすることである。
 このような困難さが保育士としての離職につながっていることも想定されよう。
 従って、配慮や支援の必要な保護者に対して、どのように保育士が対応し、支援プロセスを構築しているのか、また課題はどこにあり、どのような組織的体制の構築が可能であるのかを明らかにすることが喫緊の課題である。
そのために、特に本年度は、次の具体的な課題を明らかにする。
⑴ 保護者支援に対して、海外の子育て支援ではどのように行われているのかを文献研究から明らかにする(分担報告1、資料1)。
⑵昨年度実施した保育士の行う保護者支援プロセスをアンケート調査から、保育士が困難を抱える事例の特徴を明らかにする(分担報告2、資料2)。
⑶配慮の必要な保護者に対して、利用者支援専門員はどのように支援を行っているのか、そのプロセスを明らかにする(分担報告3)。
⑷配慮や支援の必要な保護者の情報を共有するツール(パイロット版)について、その使用感と課題をインタビュー調査から明らかにする(分担報告4)。
研究方法
本研究を行うにあたり、インタビュー・アンケート調査については、研究者間で項目の精選・確認を行い、筆頭著者の所属する大学において、倫理審査委員会の承認を得ている。また、実際に調査を行う際には、牌畏怖先の所属機関との事前協議の上、内諾を頂き、拒否・無回答しても何の不利益もないことを確認した上で、依頼を行った。インタビュー調査については、事前に研究内容の説明を行い、書面にて同意を得た。
 個別の研究協力者の概要については、分担報告書等に記載されている。
結果と考察
⑴保護者支援に対して、海外の子育て支援ではどのように行われているのか
保護者支援における保育士の抱える困難感を文献研究からモデル化することを試みた勝浦ら(2021)を踏まえて、特徴的な取り組みをしている国の子育て支援について文献研究から検討した。
⑵保育士が困難を抱える事例の特徴
アンケート調査は、A県の保育士に対して実施をし、209名から回答を得た。その結果、困難さを感じた事例として、①子どもに由来する困難感、②保護者に由来する困難感、③保育士自身に由来する困難感、④文化や組織に由来する困難感に分類された。保育士が保護者支援において感じる困難感の背景は多様であり、単独での解決は難しく組織的な対応が求められる。特に保護者に由来する困難感については、行政等からの介入などの支援も必要であることが示唆された。
⑶配慮の必要な保護者に対する利用者支援専門員の支援プロセス
利用者専門支援員の支援プロセスについて、大きくは相談期、対応期、支援期という3つの期にわかれた。
本調査から保育士だけでの支援が困難であること、支援には園を超え、地域を含めたネットワークが重要であることが示唆された。
⑷情報を共有するツール(パイロット版)の使用感と課題

F-SOAIPに基づく記録の有効性として、プロセスの整理がなされること、情報の共有が図られることが明らかになった。また、さらに、本システムを用いることで、F-SOAIPのFのみを抽出し、長期的な記録とできること、また、外部の関係者からコメントを得ることで、F-SOAIP記録を媒介とした簡易なカンファレンスができる可能性が亜明らかになった。
結論
これらの支援システムの構築には、情報共有を短時間かつ効率的に行うことが求められるだろう。そのためにF-SOAIPの記録システム(パイロット版)を作成し、実際の使用感のフィードバックを得たことから、より使いやすいシステムへとブラッシュアップが求められる。

公開日・更新日

公開日
2023-06-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202201002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,532,000円
(2)補助金確定額
2,532,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 901,000円
人件費・謝金 227,276円
旅費 374,770円
その他 437,878円
間接経費 584,000円
合計 2,524,924円

備考

備考
分担者(嶌末)の謝金支払いについて、想定よりも作業が早く終了し、当初予定よりも若干だが、時数が短縮されたため。

公開日・更新日

公開日
2023-12-19
更新日
-