死亡統計データベースの作成とその研究利用のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200902001A
報告書区分
総括
研究課題名
死亡統計データベースの作成とその研究利用のあり方に関する研究
課題番号
H20-統計・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
安村 誠司(福島県立医科大学 医学部公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

文献情報

文献番号
200902001B
報告書区分
総合
研究課題名
死亡統計データベースの作成とその研究利用のあり方に関する研究
課題番号
H20-統計・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
安村 誠司(福島県立医科大学 医学部公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 辻 一郎(東北大学大学院医学系研究科 社会医学講座公衆衛生学分野)
  • 中村好一(自治医科大学 地域医療学センター公衆衛生学部門)
  • 岡山 明(結核予防会第一健康相談所)
  • 橋本修二(藤田保健衛生大学医学部衛生学講座)
  • 岡村智教(国立循環器病センター予防検診部)
  • 味木和喜子(国立がんセンターがん対策情報センターがん情報・統計部 地域がん登録室)
  • 大橋靖雄(東京大学大学院医学系研究科 公共健康医科学専攻 生物統計学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
人口動態統計を用いた疫学研究・臨床研究は、保健・医療・福祉の適切な政策の決定における根拠として、極めて重要である。人口動態統計の効率的な研究活用の課題を検討し、死亡統計データベースの作成の必要性に関する提言を行うための基礎資料を得ることである。
研究方法
1.人口動態調査死亡票の項目について、オンライン報告システムの入力状況、磁気媒体への転写状況を整理した。2.大規模コホートJALSの人口動態統計目的外使用の申請を行い、照合し原死因の確定を行い、照合に影響を与える要因を検討した。3.川崎病、プリオン病のデータを用い、人口動態統計活用の意義を明らかにする。4.吹田研究コホートにおける人口動態統計の死亡情報の有用性を検討する。5.「統計法第33条の運用に関するガイドライン」に基づいて申請書を作成し、検討する。6.データベースが整備されているデンマークのの概要等を調査する。7.米国国立保健統計センター(NCHS)を視察し、NDIに関して情報収集を行った。文献データベース(pubmed)を用いて、論文を分類し、諸外国のNDI等について分析した。
結果と考察
死亡データの医学研究への利用には、匿名化よりもオーダーメイド集計などの検討を進めることが大切である。JALSにおける人口動態統計データとの照合率は、99%近くに達することが予想された。人口動態統計では、生年月日入力のエラーチェックの方法や死因情報の二次病名化も検討する必要があろう。川崎病、プリオン病のデータから、死亡データ利用で質の高い疫学研究が実施できることが明らかになった。長期的な国民の利益のためには、統計情報の学術研究への柔軟な利用について、今後、法整備も含め検討していく必要がある。
改正統計法下でがん登録資料の適正な整備と利用が図られるよう、今後も関係機関との調整を進めていくことが重要である。デンマークでは多くの研究成果が発信され、人々の健康と福祉に貢献していた。NDIが導入された国で、研究が振興していた。NCHSにおけるNDIに関する調査から、NDIは研究の促進の点からその意義が極めて高く、その恩恵は国民全体が得らていた。
結論
新統計法下においても、NDI導入の有効性・必要性は異論がないと考えられた。他国の状況を勘案すると、導入のための環境整備・課題に対する対策に関する継続的な研究が必須である。国民の利益の視点から、国民の理解が得られるような取り組みが最大の課題であると考える。

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200902001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究班は、統計法が60年ぶりに改正される中で組織された。新統計法下でも人口動態統計の目的外利用申請で死亡データは利用可能であり、従来よりも申請から許可までの時間の短縮が図られていた。しかし、疫学研究・臨床研究の更なる推進を通じて、国民の保健・医療・福祉政策に寄与するためには、米国等で導入されている死亡者データベースの意義、重要性は極めて高い。その点を、現制度の中で、文献、コホート研究の実態、目的外利用申請による実態、さらに、米国等における調査など、多面的に明らかにしたことの意義は極めて高い。
臨床的観点からの成果
本研究班は、人口動態統計における死亡情報の適切で、有効な利用を促進するための基盤整備を念頭に置いて研究がすすめられた。地域がん登録を用いたがん研究や、循環器疾患のリスク要因の解明研究などのコホート研究や、臨床研究、例えば、がんによる生存率等についての臨床研究などで、死亡情報は必須である。今後、日本における臨床研究の促進のためには、死亡者データベースの必要性を明示できた点は意義深いと考える。
ガイドライン等の開発
特にありません。
その他行政的観点からの成果
特にありません。
その他のインパクト
日本医学会社会部会の平成22年4月28日開催の「Japan-CDC(仮称)創設に関する委員会」で参考人(アドバイザー)として、本研究班の概要について説明した。本研究班で検討した死亡者データベース(NDI)導入の意義、必要性について説明した。
平成22年2月9日の平成21年度厚生労働科学研究統計情報総合研究講演会「厚生労働統計の活用について」で研究成果の概要を報告した。
平成22年1月9日の国際疫学会西太平洋地域学術会議における日韓セミナーで、本研究班顧問の児玉和紀先生が研究成果の概要を報告した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
厚生労働省における人口動態統計の目的外利用申請に対する対応の迅速化に貢献したと考える。
その他成果(普及・啓発活動)
3件
日本医学会社会部会「Japan-CDC(仮称)創設に関する委員会」、厚生労働科学研究統計情報総合研究講演会、国際疫学会西太平洋地域学術会議日韓セミナーで、研究成果の概要を報告した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-23
更新日
-