ワーク・インテグレーションに取り組む社会的企業の機能条件と支援政策に関する研究-就業支援と雇用促進の日本型モデル構築の基礎分析

文献情報

文献番号
200901044A
報告書区分
総括
研究課題名
ワーク・インテグレーションに取り組む社会的企業の機能条件と支援政策に関する研究-就業支援と雇用促進の日本型モデル構築の基礎分析
課題番号
H21-政策・若手-012
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松本 典子(駒澤大学 経済学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西村 万里子(明治学院大学 法学部)
  • 橋本 理(関西大学 社会学部)
  • 吉中 季子(大阪体育大学 健康福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
3,128,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、「労働市場への統合を目指す社会的企業(WISE)」の実態調査を行い、WISEによるソーシャル・インクルージョンの促進に必要な政策提起を目的とする。
研究方法
当該事業年度は、日本のWISEの現段階での活動状況を詳細に示す。(1)東京圏と関西圏におけるWISEの概数および活動形態・分野(WISEのマッピング)と、(2)障害者支援およびホームレス支援に取り組むWISEの活動の意義と課題を分析する。具体的には、東京圏と関西圏に存在するWISEの一覧作成、先駆的団体のインタビュー調査を行う。
 以上の調査をもとに、WISEの日本型モデル構築に向けて、経営学・経済学・法学・社会学・社会福祉学の観点から分析し、その条件整備に必要な社会保障政策および社会福祉政策を明らかにする。
 なお、実証研究では倫理面に細心の注意を払う。
結果と考察
 政策形成の前提となる日本におけるWISEの基礎データを作成するため、都市部(東京圏と関西圏)を対象にWISEの活動形態・活動分野を考察した。その上で、日本の先進事例への訪問インタビュー調査を行い、活動の阻害要因、求められる支援システムを検討してきた。
 当該事業年度は、WISEという概念を用いるうえで導き出される論点2点を考察した。1つは、各事業組織の資源の動員についての問題であり、もう1つは当事者の働き方に関わる問題である。
結論
 日本のWISEは、資金調達・確保の困難性に直面している。積極的に事業を開拓している組織もあるが、自主事業収入のみでは構成員の生活を保障できないことも少なくない。したがって、行政の委託事業や指定管理者制度、社会的事業所制度の補助金収入などに頼らざるを得ない現実を否定できないが、総収入に占める割合が増えるほど行政の意向に左右されやすいという課題に直面する。今後、WISEが多数出現するようになれば、労働統合の対象者に対する就労支援だけではなく生活支援も含めた包括的かつ継続的な支援の役割を担うことが求められるようになるだろう。WISEの包括的・継続的な運営を可能にするためには、行政の委託や補助金のあり方を検討することも含めて、社会的企業全体が持続的に発展できるような、5年、10年先を見据えた支援体制を整備することがますます重要になるであろう。

公開日・更新日

公開日
2010-06-17
更新日
-