地域の子育て支援としての一時保育事業の学習機能に関する研究-ファミリー・サポート・センター事業に着目して-

文献情報

文献番号
200901041A
報告書区分
総括
研究課題名
地域の子育て支援としての一時保育事業の学習機能に関する研究-ファミリー・サポート・センター事業に着目して-
課題番号
H19-政策・若手-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
東内 瑠里子(佐賀女子短期大学 こども学科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
1,806,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、本事業が「親の学習」機能を持っていることを過去2年間の研究で明らかにしてきた。最終年度である平成21年度は、アドバイザーへの調査によって「親の学習」機能を明らかにすることを目的とした。
研究方法
先進地アドバイザーへのヒアリング(飯塚市、貝塚市、沖縄市、山口市)と全国のアドバイザーへの質問紙調査を実施した。
結果と考察
1.ヒアリング調査では、これまでの行政の隙間を埋める形でかなり個別・柔軟な活動が展開されているケースがあり、過重労働という課題を抱えながらも地域課題の克服に寄与していることがわかった。
2.全国アンケート調査は、2010年2月14日~25日に実施した。調査対象は、過去の調査との整合性をもたせるために、親調査、保育者調査の際配布した508団体へ郵送した。つまり、508名のアドバイザーが調査対象である。有効回収表は、256票(回収率52.2%)であった。
結果は、親の発達に関する質問について、肯定的回答が、否定的回答の2倍以上の数となったものが、多くあったことは、注目に値する。アドバイザーは、活動の中で、本事業を利用することによる親の変化を感じ取っているのである。親の経験に関する質問ついては、32項目中20項目で、6割以上の回答者数が、肯定的回答を選択している。つまり半数以上の項目において、親と同様、アドバイザーも本事業を利用することによって親が様々な経験をしていることを実感しているのである。特に、「5我が子にいろいろな人が関わって育ててくれていると実感した。(90.0%)」「31提供会員やファミリー・サポート・センター事業は、いざと言うとき助けてくれる存在になった。(91.7%)」は、回答者が9割を超えた。アドバイザーの専門性に関する質問は、「7政府は貧困家庭に対して支出しすぎている。」の項目以外、すべて肯定的回答(「4.ややそう思う」「5.非常にそう思う」)が上回った。その中でも7割を超える肯定的回答があったものが、6項目であった。
結論
アドバイザーは、単に託児を提供しているだけというよりも、ソーシャルワーカーの専門性と同様に、対象者のニーズにそって、人とあらゆる人的社会資源をつなげる役割を担っているといえる。突き詰めて言えば、アドバイザーの専門性は社会関係資本形成に寄与しており、その中で親の学習が促されている可能性があるといえよう。

公開日・更新日

公開日
2010-06-04
更新日
-

文献情報

文献番号
200901041B
報告書区分
総合
研究課題名
地域の子育て支援としての一時保育事業の学習機能に関する研究-ファミリー・サポート・センター事業に着目して-
課題番号
H19-政策・若手-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
東内 瑠里子(佐賀女子短期大学 こども学科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、本事業初設置15年を経過したいま、「託児、育児不安解消以外の『学習機能』が本事業にある」という仮説を立て、検証し、今後の子育て支援政策を展望するものである。
研究方法
1年目(平成19年度)は、本事業の提供者・利用者に対する、基本的、概括的な資料収集を行った。2年目(平成20年度)は、「1.前年度調査のクロス集計および分析」「2.学会における議論」「3.イギリスの家庭支援調査」「先進地フィールド調査」を行った。3年目は、①全国のアドバイザーへの質問紙調査を実施した。本調査は、2010年2月14日~25日に実施した。②先進地のアドバイザー(沖縄市、貝塚市、山口市、飯塚市)へヒアリング調査を行った。
結果と考察
本事業は、子どもを預ける、預かるという行為をきっかけにして、親にとっては、さまざまな経験の機会となっていることがわかった。次元得点平均は、第Ⅲ因子<地域とのつながりを学ぶ経験>については、3.18であり、他の因子と比較して高い。また、第Ⅳ因子<地域づきあいの煩わしさを知る経験>は、1.20と最も低い。そして経験因子と、柏木(1995)による親の発達因子「柔軟性」「自己抑制」「運命・信仰・伝統の受容」「生き甲斐・存在感」「自己の強さ」の関係について明らかにした。<子どもとの関わり方を学ぶ経験>、<家事や育児の方法を学ぶ経験>、<地域とのつながりを学ぶ経験>に値は大きくないが有意差がみられた。また保育者の回答からも、親の変化がわかった。
全国のアドバイザーへの質問紙調査からは、アドバイザーが本事業を利用することによる親の変化を感じ取っていることがわかった。また親と同様、アドバイザーも本事業を利用することによって親が様々な経験をしていることを実感している。さらにアドバイザーは、単に託児を提供しているだけというよりも、ソーシャルワーカーの専門性と同様に、対象者のニーズにそって、人とあらゆる人的社会資源をつなげる役割を担っているといえる。突き詰めて言えば、アドバイザーの専門性は社会関係資本形成に寄与しており、その中で親の学習が促されている可能性があるといえよう。
結論
本事業には、託児や育児不安解消以外の『学習機能』があると言える。

公開日・更新日

公開日
2010-06-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200901041C

成果

専門的・学術的観点からの成果
単著「地域の住民による一時保育と親の学習-ファミリー・サポート・センター事業の全国調査を通して-」『日本社会教育学会』第45号、日本社会教育学会発行2009年(査読付き)
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
吉田正幸『遊育』pp.25、2010に成果が掲載された。
平成21年厚生労働科学研究政策科学推進研究事業公開シンポジウムパネリスト、KDDIホール、2010年2月24日。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
6件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-