DV対策など、女性支援施策の効果的展開に関する調査研究

文献情報

文献番号
200901039A
報告書区分
総括
研究課題名
DV対策など、女性支援施策の効果的展開に関する調査研究
課題番号
H21-政策・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
戒能 民江(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 湯澤 直美(立教大学コミュニティ福祉学部)
  • 堀 千鶴子(城西国際大学福祉総合学部)
  • 吉田 容子(立命館大学法科大学院)
  • 齋藤 百合子(明治学院大学国際学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,429,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
DV防止法の2回の改正を経て、日本におけるDV政策はセカンドステージに移行した。被害の顕在化が進む一方、自立支援策および多様化する被害への対応の不十分さなど、総合的な被害者支援システムの欠落がもたらす問題点が明らかになってきた。本研究では以上の課題を踏まえ、被害/被害者類型別のモデル的支援システムの検討を行い、官民・諸機関連携モデルの構築など、「切れ目のない」長期的な女性支援システムの構築をめざす。
研究方法
DV被害者支援の現状を把握し、課題を析出するために、1)DV被害者支援にあたる公的/民間機関の事例調査、2)被害者を対象とした郵送によるアンケート調査および弁護士への聞き取りによる保護命令調査、3)自治体に対する郵送による母子福祉政策の運用実態調査、4)民間支援団体への聞き取り調査、5)海外の民間シェルターへの聞き取り調査、6)資料・文献調査、7)研究会の開催を行った。
結果と考察
各都道府県のDV基本計画の改訂では、デートDVなどの新たな課題への取り組みが行われ、都道府県DVセンターでは、既存の社会資源を活用した被害者の生活再建支援事業が展開している。市の基本計画策定やDVセンター設置は少ないのだが、地域の民間団体と連携して独自の生活再建支援政策を行っている。しかし、財政が十分ではないことと、一時保護措置権限が都道府県にあることが制度上のネックになっている。外国籍の被害者への支援については、意識的に推進されているとは言えず、支援の必要性の認識が不十分である。保護命令については法制上・運用上、改善の余地があるものの、被害者支援における積極的意義が認められた。
結論
緊急一時保護体制の整備は一定程度進展したが、被害者の生活再建支援や多様な被害/被害者への支援体制は依然として不十分である。「切れ目のない支援」体制を構築するために不可欠な地域のネットワーク型支援体制の整備も課題である。自治体におけるDV被害者支援事業が、既存の制度や民間団体などの社会資源を活用して展開しており、一定の成果を上げている。しかし、自治体独自の支援制度が構築されておらず、被害者のニーズに即した実効性ある支援体制は十分ではない。今後、他地域の事例調査を進め、現行支援制度が機能しない要因分析を進め、既存の社会福祉制度を活用した被害者の生活再建支援事業の検討および外国籍女性など複合的困難を抱える女性への支援の現状分析をさらに進めていく。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
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