医療・介護・検診情報を接合した総合的パネルデータ構築と地域医療における「根拠に基づく健康政策(EBHP)」の立案と評価に関する研究

文献情報

文献番号
200901036A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・介護・検診情報を接合した総合的パネルデータ構築と地域医療における「根拠に基づく健康政策(EBHP)」の立案と評価に関する研究
課題番号
H21-政策・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
岩本 康志(東京大学大学院経済学研究科 現代経済専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 甲斐 一郎(東京大学大学院医学系研究科)
  • 小林 廉毅(東京大学大学院医学系研究科)
  • 石崎 達郎(京都大学大学院医学研究科)
  • 鈴木 亘(学習院大学経済学部)
  • 両角 良子(富山大学経済学部)
  • 湯田 道生(中京大学経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療制度改革で地域化が重視される一方、地域単位でのデータ整備は遅れており、地方自治体で「根拠に基づく健康政策(EBHP)」を推進するのは難しいのが現状である。本研究は、福井県の協力の下、医療費・介護費と健診に関する総合的データベースの構築とそれに基づく政策立案・政策評価を定量的に示す事を目的とする。
研究方法
福井県国民健康保険団体連合会が保有する平成15-20年の国民健康保険・介護保険の月次データと20年度特定健康診査(特定健診)の情報を個人間で接合し、総合的パネルデータを構築した。今年度は、19年度の年齢別一人当たり医療費・介護費の推計、24年度の医療費・介護費の将来推計、24年度の保険財政予測、20年度の特定健診検査値と一人当たり医療費の関係の分析等を行った。今年度の分析では、介護保険については18-20年のデータを用いた。
さらに社会心理的側面を捕捉するため、県内5町で国民健康保険に加入の前期高齢者を対象とした質問紙調査を実施した。調査データは健康保険・特定健診の情報と個人間で接合する。
結果と考察
19年度の年齢別一人当たり医療費(74歳以下)を推計した所、60歳代前半までは年齢が上がるにつれ緩やかに増加し、60代後半から増加率が大きくなる事が示された。24年度の医療費の将来推計では、医療費の増加が確認され、その主因は一人当たり医療費の伸びである事が示唆された。24年度の財政予測では、保険給付費・後期高齢者医療支援金・介護納付金と一人当たり保険料の増加が確認された。
19年度の年齢別一人当たり介護費用(65歳以上)を推計した所、介護費は80歳代後半から急激に上昇する事が示された。24年度の介護費の将来推計では、40歳以上一人当たり介護費の増加が確認された。24年度の財政予測では、介護給付金・第一号被保険者の一人当たり介護保険料の増加が予測された。
20年度特定健診受診者(40-74歳)の疾病リスクは、18年度国民健康・栄養調査結果と比較して少なかった。これにより各年齢層ともに医療費が節約されていると推計された。健診の受診者と未受診者の一人当たり医療費を比較した所、未受診者の方が高かった。
結論
比較的、健康寿命が長いとされる福井県においても、今後の医療費・介護費の増加を見据えた財政を検討する必要がある事が示された。しかしながら、特定健診等の健康増進施策により、医療費の伸びを抑制できる可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-06-17
更新日
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