高齢者の生体リズム異常とライフスタイルに関する研究

文献情報

文献番号
199700572A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の生体リズム異常とライフスタイルに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 清久(国立精神・神経センター武蔵病院)
研究分担者(所属機関)
  • 貴邑冨久子(横浜市立大学医学部)
  • 山岡貞夫(獨協医科大学)
  • 柴田重信(早稲田大学人間科学部)
  • 菱川泰夫(秋田大学医学部)
  • 白川修一郎(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 高野謙二(自治医科大学)
  • 堀忠雄(広島大学総合科学部)
  • 渡辺泱(京都府立医科大学)
  • 井上雄一(鳥取大学医学部)貴邑冨久子(横浜市立大学医学部)
  • 山岡貞夫(獨協医科大学)
  • 柴田重信(早稲田大学人間科学部)
  • 菱川泰夫(秋田大学医学部)
  • 白川修一郎(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 高野謙二(自治医科大学)
  • 堀忠雄(広島大学総合科学部)
  • 渡辺泱(京都府立医科大学)
  • 井上雄一(鳥取大学医学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
平成10(1998)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまで多くの調査研究から、高齢者における睡眠の障害は、社会適応を障害し、社会への進出を障害し、QOLや健康な生活の確保において重大な間題となっていることが判明した。この観点から我々は高齢者のリズムの特性とその生活上への影響を観察し、さらに望ましライフスタイルに関して、特に睡眠覚醒リズムという視点から動物実験も含め検討を重ねてきた。
これまで多くの研究から人の健康な生活には生体リズムが大きく係わっていることが明らかにされている。とりわけ老人ではそのリズムは崩れやすく、健康あるいは精神保健上、重要な問題を引き起こす。これまでの調査でも、高齢者における睡眠の障害は、社会適応を障害し、社会への進出を障害し、QOLや健康な生活の確保において重大な間題となっていることが判明した。この観点から我々は高齢者のリズムの特性とその生活上への影響を観察し、さらに望ましライフスタイルに関して、特に睡眠覚醒リズムという視点から動物実験も含め検討を重ねてきた。
研究方法
1.老化モデル動物の開発 山岡らはモデル動物として有用なZitterラットについては視交叉上核の培養によるバゾプレッシン分泌リズム・脳波記録による睡眠リズムの変化についても検討した。柴田らは老化促進マウス(SAM8)を用い、明暗サイクルの位相を急激に変位させた際に、メラトニンが新親明暗サイクルへの再同調を促進させることを認めた。貴邑らは老齢ラツトを用いて生活空間量の制限が、拘束ストレス負荷時の海馬内アセチルコリン(Ach)分泌量の変化にどの様な影響を及ぼすのかを検討した。2.高齢者のライフスタイルに関する研究-とくに昼寝とQOL-掘らは高齢者200名を対象に、社会的自信度と情緒適応性得点の合計で序列化し、上位45名、下位45名を抽出し群間比較を行った。白川らは高齢期での睡眠問題発生に強く開係していると考えられる中年期において、睡眠健康に対する散歩や運動の影響を検討するため調査を行った。高野らは高齢者における睡眠障害とクオリテイ・オブ・ライフ(QOL)を調べる目的で睡眠ー生活アンケート調査を高齢者におこなった。このうち可能な限り性格テストを施行した。朝田・高橋らは国立精神・神経センター武蔵病院を受診したNICDS-ADRDAによりprobable ADと診断された248名を対象とした。17項目からなるリスクファクター調査票を作成し、その中にライフスタイルに関連した嗜好品、趣味、配偶者の死、昼寝の習慣の項目を加えた。3.加齢の睡眠に及ぼす影響 三島らは3年の長期経過を観察し、睡眠障害非発症者29名及び、精神生理性不眠発症者18名を解析対象とし、深部体温、活動・休止および血中メラトニン分泌リズムを測定した。4.夜間睡眠を妨げる要因としての夜間頻尿 渡辺らは50歳以上の男性で睡眠や排尿に影響をおよぼす疾患で治療を受けている群と疾患なしの群の間で唾眠と排尿の状態を比較した。5.痴呆老人の睡眠リズム異常とメラトニンの効果 井上ら高齢者痴呆における睡眠時無呼吸が老年期痴呆のリスクファクターになりうるか、についての検討を行った。また、彼らは7名の高齢者不眠症を対象にメラトニンの効果について検討した。メラトニン3mgの就寝1時間前投与を1週間行いVisual analog scale による自覚症状の変化とポリソムノグラフイ指標の変化について検討した。
1.老化モデル動物の開発 動物モデルの開発は引き続き山岡によってすすめられた。今回はZitterラット、尿崩症ラットとも近交系化を続け現在8代目となっているので、その後の経過と、Zitterラットについては視交叉上核の培養によるバゾプレッシン分泌リズム・脳波記録による睡眠リズムの変化についても検討した。柴田らは老化促進マウスの光同調低下に対するメラトニンの作用を観察した。老化促進マウス(SAM8)を用い、明暗飼育条件を8時間位相前進させた際の、新親環境への再同調について調べた。貴邑らは老齢ラツトを用いて生活空間量の制限が、拘束ストレス負荷時の海馬内アセチルコリン(Ach)分泌量の変化にどの様な影響を及ぼすのかを検討した。2.高齢者のライフスタイルに関する研究-とくに昼寝とQOL-掘らは老人大学、熟年大学受講生200名を対象に、社会的自信度と情緒適応性得点の合計で序列化し、上位45名、下位45名を抽出し群間比較を行った。白川らは高齢期での睡眠問題発生に強く開係していると考えられる中年期において、睡眠健康に対する散歩や運動の影響を検討するため調査を行った。彼らは計画的昼寝に、夕方の眠気の予防効果や夜間主睡眠の質的改善効果があるか否かを検証する目的で、睡眠にやや問題のある高齢者を対象として実験を行った。高野らは高齢者における睡眠障害とクオリテイ・オブ・ライフ(QOL)を調べる目的で睡眠ー生活アンケート調査を高齢者におこなった。このうち可能な限り性格テストを施行した。アンケート方法としては、原則として聴き取りとした。朝田・高橋らは国立精神・神経センター武蔵病院を受診したNICDS-ADRDAによりprobable ADと診断された248名を対象とした。17項目からなるリスクファクター調査票を作成し、その中にライフスタイルに関連した嗜好品、趣味、配偶者の死、昼寝の習慣の項目を加えた。3.加齢の睡眠に及ぼす影響 三島らは概日リズムの加齢変化が睡眠障害の発症に果たす意義に関する縦断研究を行った。3年の長期経過を観察し、睡眠障害非発症者29名及び、精神生理性不眠発症者18名を解析対象とし。深部体温、活動・休止および血中メラトニン分泌リズムを測定した。4.夜間睡眠を妨げる要因としての夜間頻尿 渡辺らは50歳以上の男性を対象とし睡眠と排尿の状態を検討した。睡眠や排尿に影響をおよぼす疾患で治療を受けている群と疾患なしの群の間で唾眠と排尿の状態を比較した。5.痴呆老人の睡眠リズム異常とメラトニンの効果 井上らは痴呆高齢者における睡眠時無呼吸症候群の痴呆病態合併の因果閑係について調べ、高齢者痴呆における睡眠時無呼吸が老年期痴呆のリスクファクターになりうるか、についての検討を行った。また、彼らは7名の高齢者不眠症を対象にメラトニンの効果について検討した。メラトニン3mgの就寝1時間前投与を1週間行いVisual analog scale による自覚症状の変化とポリソムノグラフイ指標の変化について検討した。
結果と考察
1.老化モデル動物の開発
新生仔Zitterラットの視交叉上核分散培養のリズム振幅は低いが、バゾプレッシンリズム自体は正常ラットとの有意な変化は認められなかった。また12カ月齢のZitterラットの睡眠リズムを比較し、SDラットの24カ月齢以上の睡眠リズムと同じであった。SAMの活動リズムが明暗周期の急激な位相前進以後再同調するまでの日数は、対照群に比べ長くなった。メラトニンを投与したところ再同調に要する日数はメラトニン投与群で短縮した。高齢動物では拘束ストレスによる海馬内Ach分泌反応が低下する傾向が認められた。2.ライフスタイル特に睡眠や昼寝とQOLの関連について 睡眠健康得点の高い群は低い群と比較して早朝覚醍、起床時の疲労惑、1晩に3回以上の中途覚醍、睡眠環境の不満等を訴える者の割合が少なかった。高齢者を含めて、散歩の睡眠健康に対する効果を検討したところ、週3日以上、習慣的に散歩をしているものは、すべての睡眠問題得点が有意に低く、散歩に夜間不眠の予防効果のあることが推定された。さらに習慣的昼寝の高齢者夜間睡眠に対する改善効果調べ、昼寝により入眠時刻と起床時刻は有意に後退し、中途覚醒は滅少し、睡眠効率は上昇していた。痴呆のリスクファクターとして、全身麻酔、配偶者の死、昼寝の習慣がリスクとして指摘された。発病の5年以内の麻酔手術に限ったところ、4倍の危険率が明らかになった。昼寝の有無だけでは有意でなかったが、30分以内に限って検討したところ危険性が0.2倍になった。3.加齢の睡眠に及ぼす影響 不眠症群では非不眠症群に比較して、睡眠障害発現時の深部体温リズムの平均値が高く、振幅が減少していた。また夜間メラトン分泌量及びピーク値の有意な低下が認められた。さらに、不眠症群では、エントリー時点ですでに深部体温リズムの振幅及び夜間メラトニン分泌量及びピーク値の有意な低下が認められていた。4.夜間睡眠を妨げる要因としての夜間頻尿 睡眠障害全体のうち中途覚醒を訴えるものが47%と最も多かった。排尿については、夜間の排尿状態に関する不満度はやや不満以上が19%であった。5.痴呆老人の睡眠リズム異常とそのメラトニンの効果 常習イビキの頻度、SASの存在が強く擬われる率、いずれも血管性痴呆群がアルツハイマー型痴呆群や対照群よりもその頻度が高かった。不眠症高齢者では夜間血中メラトニン値は不眠群で低値を示していたメラトニン服用中に入眠感の有意な改善が得られたが、熟眠感、朝の覚醒感については一定の変化は無かった。
考察:以上の結果よりZitterラットは加齢のモデルとしての利用が可能であると考える。この動物を用いて加齢の進行を抑制することが可能であるかについて今後検討を進める。老化促進マウスにおける再同調低下が、メラトニン投与により改善されることは明らかであるが、メラトニンは活動期の始まる1-2時間前に投与することによって、位相前進を引き起こす効果が、再同調促進に一部関与している可能性も考えられる。拘束ストレスは急性的に海馬内Ach分泌量を上昇させるが、加齢はこのAch分泌反応を減弱させることが示唆された。高齢者のライフスタイルと活動休止リズムに関しても種々の興味ある知見が得られた。意欲的な高齢者群は低い群に比較して睡眠問題が少なく、夜間の主睡眠は効率的であり、日中も気分よく過ごしていることが分かった。また、散歩に夜間不眠の予防効果のあることが示唆された。また、習慣的昼寝が高齢者夜間睡眠に対する改善効果を示し、頂点位相近傍での計画的な短時間の昼寝は、夕方の眠気を減少させ、夜間の睡眠相を後退させるともに、主睡眠の質的改善効果を示すことを明らかにした。痴呆のリスクファクターとして、昼寝を30分以内に限って検討したところ危険性が0.2倍になることが明らかになった。この事実は他の班員による、習慣的な短時間仮眠が自信や社会適応能力が向上するという観察と一致する。メラトニンによる高齢者不眠の治療に関しては,軽症症例においてのみ有効な可能性が推測された。。1.老化モデル動物の開発
新生仔Zitterラットの視交叉上核分散培養のリズム振幅は低いが、バゾプレッシンリズム自体は正常ラットとの有意な変化は認められなかった。また12カ月齢のZitterラットの睡眠リズムを比較し、SDラットの24カ月齢以上の睡眠リズムと同じであった。継代5-8代目の尿崩症ラットおよびチオウラシル投与により作製した甲状腺機態低下ラットの活動リズムおよびFos様蛋白発現の槻日リズムの加齢による変化はSDラットと有意な差は認められなかった。SAMの活動リズムが明暗周期の急激な位相前進以後再同調するまでの日数は、対照群に比べ長くなった。メラトニンを投与したところ再同調に要する日数はメラトニン投与群で短縮した。高齢動物では拘束ストレスによる海馬内Ach分泌反応が低下する傾向が認められた。2.ライフスタイル特に睡眠や昼寝とQOLの関連について 睡眠健康得点の高い群は低い群と比較して早朝覚醍、起床時の疲労惑、1晩に3回以上の中途覚醍、睡眠環境の不満等を訴える者の割合が少なかった。日中の活動性には群間差は見られないが、睡眠期は低群は夜間主睡眠中も日中の仮眠中も体動量が高群に比べ有意に高く、睡眠期の活動性低下が十分でないことが分かった。睡眠間題愁訴率は50歳代が最も多く19.9%に達しており、3割弱の者が、何らかの睡眠問題を抱えて困っていることが判明した。また、高齢者を含めて、散歩の睡眠健康に対する効果を検討したところ、週3日以上、習慣的に散歩をしているものは、すべての睡眠問題得点が有意に低く、散歩に夜間不眠の予防効果のあることが推定された。さらに習慣的昼寝の高齢者夜間睡眠に対する改善効果調べ、昼寝により入眠時刻と起床時刻はそれぞれ21分、19分と有意に後退し、中途覚醒は5.8%(27分)に滅少し、睡眠効率は5.8%に上昇していた。痴呆のリスクファクターとして、全身麻酔、配偶者の死、昼寝の習慣がリスクとして指摘された。発病の5年以内の麻酔手術に限ったところ、4倍の危険率が明らかになった。配偶者との死別は5.7倍であり、昼寝の有無だけでは有意でなかったが、30分以内に限って検討したところ危険性が0.2倍になった。3.加齢の睡眠に及ぼす影響 不眠症群(PI)では非不眠症群(NS)に比較して、睡眠障害発現時の深部体温リズムの平均値が高く、振幅が減少していた。また夜間メラトン分泌量及びピーク値の有意な低下が認められた。さらに、PI群ではNS群に比較して、エントリー時点ですでに深部体温リズムの振幅及び夜間メラトニン分泌量及びピーク値の有意な低下が認められていた。4.夜間睡眠を妨げる要因としての夜間頻尿 睡眠障害全体のうち中途覚醒を訴えるものが47%と最も多かった。排尿については、夜間の排尿状態に関する不満度はやや不満以上が19%であった。夜間の排尿状態につき治療を受けたいと答えた者が31%であり、それらの平均睡眠時尿回数は2.1回であったのに対し、受ける必要はないと答えた者の睡眠時平均排尿回数は1.1回であった。
5.痴呆老人の睡眠リズム異常とそのメラトニンの効果 痴呆高齢者における睡眠時無呼吸症候群(SAS)の合併痴呆病態との因果閑係について調べた。常習イビキの頻度、SASの存在が強く擬われる率、いずれも血管性痴呆群がアルツハイマー型痴呆群や対照群よりもその頻度が高かった。高齢者不眠症に対するメラトニンの関連では、夜間血中メラトニン値は不眠群で低値を示していたメラトニン服用中にVASスケールでの入眠感の有意な改善が得られたが、熟眠感、朝の覚醒感については一定の変化は無かった。以上の結果より尿崩症ラット・甲状腺機態低下ラットは概日リズムの加齢のモデルとしての利用はできないがZitterラットは加齢のモデルとしての利用が可能であると考える。この動物を用いて加齢の進行を抑制することが可能であるかについて今後検討を進める。老化促進マウスにおける再同調低下が、メラトニン投与により改善されることは明らかであるが、メラトニンは活動期の始まる1-2時間前に投与することによって、位相前進を引き起こす効果が、再同調促進に一部関与している可能性も考えられる。拘束ストレスは急性的に海馬内Ach分泌量を上昇させるが、加齢はこのAch分泌反応を減弱させることが示唆された。高齢者のライフスタイルと活動休止リズムに関しても種々の興味ある知見が得られた。意欲的な高齢者群は低い群に比較して睡眠問題が少なく、夜間の主睡眠は効率的であり、日中も気分よく過ごしていることが分かった。また、散歩に夜間不眠の予防効果のあることが示唆された。また、習慣的昼寝が高齢者夜間睡眠に対する改善効果を示し、頂点位相近傍での計画的な短時間の昼寝は、夕方の眠気を減少させ、夜間の睡眠相を後退させるともに、主睡眠の質的改善効果を示すことを明らかにした。痴呆のリスクファクターとして、昼寝を30分以内に限って検討したところ危険性が0.2倍になることが明らかになった。この事実は他の班員による、習慣的な短時間仮眠が自信や社会適応能力が向上するという観察と一致する。メラトニンによる高齢者不眠の治療に関しては,軽症症例においてのみ有効な可能性が推測された。本研究結果からみて、メラトニンはその分泌の遅延していない群でも、一定の入眠効果が期待しうるものの、睡眠維持障害には効果は期待されず入眠障害型の不眠が適応になると判断された。
結論
1.Zitterラットは加齢のモデルとしての利用が可能である。2.老化促進マウスにおける再同調低下が、メラトニン投与により改善される。3.加齢は急性ストレス負荷によるAch分泌反応を減弱させる。4.意欲的な高齢者群は睡眠問題が少なく、夜間の主睡眠は効率的であり、日中も気分よく過ごしている。5.習慣的昼寝は高齢者の夜間睡眠を改善する。頂点位相近傍での計画的な短時間の昼寝は、夕方の眠気を減少させ、夜間睡眠の質的改善効果を示す。6.痴呆のリスクファクターとして、全身麻酔、配偶者の死、昼寝の習慣がリスクとして指摘された。昼寝を30分以内に限ると危険性が0.2倍になった。7.睡眠時無呼吸と痴呆の合併頻度は多発梗塞型に高かった。8.メラトニンによる高齢者不眠の治療には、軽症例においてのみ有効な可能性がある。9.深部体温リズム振幅及び夜間メラトン分泌量及びピーク値の低下が高齢者の睡眠障害発症につながる可能性が示された。
1.Zitterラットは加齢のモデルとしての利用が可能である。2.老化促進マウスにおける再同調低下が、メラトニン投与により改善される。3.加齢は急性ストレス負荷によるAch分泌反応を減弱させる。4.意欲的な高齢者群は睡眠問題が少なく、夜間の主睡眠は効率的であり、日中も気分よく過ごしている。5.習慣的昼寝は高齢者の夜間睡眠を改善する。頂点位相近傍での計画的な短時間の昼寝は、夕方の眠気を減少させ、夜間睡眠の質的改善効果を示す。6.痴呆のリスクファクターとして、全身麻酔、配偶者の死、昼寝の習慣がリスクとして指摘された。昼寝を30分以内に限ると危険性が0.2倍になった。7.睡眠時無呼吸と痴呆の合併頻度は多発梗塞型に高かった。8.メラトニンによる高齢者不眠の治療には、軽症例においてのみ有効な可能性がある。9.深部体温リズム振幅及び夜間メラトン分泌量及びピーク値の低下が高齢者の睡眠障害発症につながる可能性が示された。

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