老後保障の観点から見た企業年金の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200901030A
報告書区分
総括
研究課題名
老後保障の観点から見た企業年金の評価に関する研究
課題番号
H21-政策・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人年金シニアプラン総合研究機構(財団法人年金シニアプラン総合研究機構)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は二ヵ年計画である。本研究では、老後保障に資する「理想的な」企業年金制度のあり方について法規制と税制優遇を含めて明確にすると伴に、老後保障の観点から見て企業年金制度の求められる要件に関して「格付け」類似の一定の指標を構築し、その有効性を検証することを目指す。
研究方法
森戸英幸上智大学教授(厚生労働省「企業年金研究会」座長)を座長とする研究会を設け、大学・民間研究者及び当機構研究員による調査研究活動を実施。先行研究である「年金格付け研究会」のレビュー及び各研究員からの「理想的な」企業年金についての調査報告を行い、我が国の公的年金と企業年金制度の現状を把握し、国際比較も踏まえてわが国の現行企業年金法制の基本構造と問題点を明らかにした。また、国内企業及び有識者に対して「企業年金のあり方に関するアンケート」調査を行い、理想的な企業年金像の考察を行った。
結果と考察
日本の企業年金制度は、①退職一時金等の特に法規制に服さない制度、②DB、DC法等で規制されたいわゆる企業年金制度、③厚生年金基金・特例適格年金制度(②の中で、より国民の老後所得保障に資する制度で、さらなる税制優遇されているもの)、という「三層構造」になっており、②③の規制は強行法的・労働法的規制ではなく税法的規制と位置づけられる。さらに、老後保障に資する「理想的な」企業年金制度の要件となりうる項目として、①給付水準、②給付設計(終身性)、③インフレリスクへの対応、④受給権保護、⑤資産運用の確実性とリスク、⑥財務状況など計31個の指標を仮に整理し、その妥当性についての考察を行った。
結論
税制優遇のあり方についての段階的な規制枠組みとして、次のような4つの「フェーズ」分けによる「新たなる法的枠組みのモデル」を提示した。①第1フェーズ:企業年金という「約束」の「任意性」は尊重する。②第2フェーズ:ただし「約束」の中身を明示する義務を課す。③第3フェーズ:資産の外部積立てにより「約束」の履行確実性を高める。企業年金という「約束」の履行確実性を高めるものについては一定の税制優遇の対象とする。④第4フェーズ:老後所得保障に資する制度を優遇し「約束」の中身を充実させる。国民の老後所得保障により資すると言える制度については、企業年金という「約束」の中身を充実させるものとして、より大きな税制優遇の対象とする。

公開日・更新日

公開日
2010-06-17
更新日
-