新しいチーム医療体制確立のためのメディカルスタッフの現状と連携に関する包括的調査研究

文献情報

文献番号
200901028A
報告書区分
総括
研究課題名
新しいチーム医療体制確立のためのメディカルスタッフの現状と連携に関する包括的調査研究
課題番号
H20-政策・一般-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
田林 晄一(東北大学 大学院医学系研究科 心臓血管外科)
研究分担者(所属機関)
  • 兼松 隆之(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学)
  • 富永 隆治(九州大学 大学院医学研究院・循環器外科学)
  • 前原 正明(防衛医科大学校 心臓血管外科学)
  • 伊藤 雅治(全国社会保険協会連合会)
  • 遠藤 久夫(学習院大学 医療経済学)
  • 西田 博(東京女子医科大学 心臓血管外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,186,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本型NP、PAの教育体制、業務内容についての検討を行う。さらに周術期チーム医療構想の具現化を図る。
研究方法
a.米国Emory大学を訪問し、特に教育内容について検討した。
b.周術期看護師制度導入に関し、日本外科学会代議員を対象にアンケート調査を行った。
c.東北大学病院、社会保険病院および厚生年金病院の看護師を対象に周術期管理の業務拡大に関する意識調査を行った。
d.周術期管理に関連した医行為をA絶対的医行為、B条件付相対的医行為、C相対的医行為の3つに区分した。
e.外科医週間タイムスタディ調査。
日本外科学会会員を対象として1週間の業務内容について調査を行った。
結果と考察
a. Emory大学医学部とその関連病院の視察で、PA養成に関しては修士課程で26~28ヶ月、取得単位数は合計119単位が必要とされ、修士課程は大きく学習(1,980時間)と実習(720時間)に区分されていた。PAの勤務条件に関しては満足度が高く外科医の労働環境改善への貢献も顕著であった。
b.外科医を対象とした「周術期看護師」あるいは「上級臨床技術士」制度の導入に関する意識調査では動脈圧モニターライン確保、薬剤量の変更、術後患者管理については賛成が多かった
c.周術期管理における看護師の業務拡大に関する意識調査。
東北大学病院の調査結果で業務拡大に関して男性看護師は賛成54%、女性看護師は
賛成61%であった。社会保険病院および厚生年金病院の調査結果もほぼ同様のものであった。
d.周術期管理に関した医行為は術前、術中、術後に分類して作成した。
e.外科医週間タイムスタディ調査
1人当たりの週間平均時間では手術以外の医療業務に携わっている時間が多かった。
 日本の外科医のおかれている現状は、若手外科医が進んで志望する状況にはあらず、今後、その傾向はますます拍車がかかることが懸念される。その原因は、外科に対する理想と現実の格差である。医師数の増加により労働環境の改善はある程度得られるが、外科技術の低下を招く危険性をはらんでいる。最も有効な解決策は、医師と看護師の中間職であるNP、PAの養成だと考える。NP、PAの養成にあたっては、これまでと異なる看護師の教育体制の確立が必要と思われる。
結論
日本の外科医の置かれている窮状を救う最大の方策は外科医と協働する医師と看護師の中間職の養成である。

公開日・更新日

公開日
2010-06-04
更新日
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