行政と住民ネットワークの連携による孤立予防戦略の検証

文献情報

文献番号
200901025A
報告書区分
総括
研究課題名
行政と住民ネットワークの連携による孤立予防戦略の検証
課題番号
H20-政策・一般-012
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 佳典(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 稲葉陽二(日本大学法学部)
  • 角野文彦(滋賀県健康福祉部健康推進課)
  • 星旦二(首都大学東京 大学院・都市環境科学研究科)
  • 松本真澄(首都大学東京 大学院・都市環境科学研究科)
  • 福島富士子(国立保健医療科学院・公衆衛生看護学部・ケアシステム開発室)
  • 小林江里香(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
  • 深谷太郎(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
  • 西真理子(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,306,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
首都圏のベットタウンを対象に、(1)頻回かつ定期的な外出・社会活動への参加の促進(2)近隣や友人、別居家族との交流を通じた私的なサポート・ネットワークによる声かけ、見守り(3)行政サービス等による異変察知・緊急通報システムの整備が強調されている。本研究班ではそれぞれ孤立の一次、二次、三次予防と定義した。1)追跡研究により地域で孤立している高齢者の実態把握、孤立に至る要因、予後の解明、2)介入研究により既存の社会活動が、副次的に日常の見守りに寄与するかの検証(二次予防)、3)三次予防における地域包括支援センターの役割について明らかにする。
研究方法
1)埼玉県和光市の65歳以上を対象に2008年度に実施した横断調査をもとに、独居高齢者の心理社会的な特徴を調べた。
2)川崎市多摩区内に散在する43箇所の集会式介護予防体操プログラムの会場を介入、対照の2地区に区分し、介入群にのみ体操運営ボランティアを媒介とした一般参加者の孤立予防に資する介入プログラムを考案した。
また、多摩市民を対象に、日常の居場所やサロン等の認知度と利用状況を尋ねるアンケートを実施した。
3)首都圏の3自治体(和光市、川崎市多摩区、東京都多摩市)の地域包括支援センター(全16事業所)の職員を対象にヒアリング調査を実施し、孤立死リスク高齢者を公的支援に結びつけるための把握方法や、公的支援の受け入れを拒否する問題事例について検討した。
結果と考察
和光市での初回調査によると、独居男性の自立度は低くないが、抑うつ度が高く、知的能動性、社会的役割が劣る。反面、社会とのつながりをもつ人では抑うつ度が低いことがわかった。独居女性は豊かな社会関係をもつ一方、将来への不安が高かった。
一次予防策では、既存の介護予防体操のネットワークを用いた、声かけ、仲間づくりへの行動・意識の変容を促す介入により、体操の運営を行う高齢者ボランティアにおいて「将来への不安」が軽減された。サロンの利用による予防策は、複数のサロンよりも特定のサロンを日常利用する方が孤立予防効果は高かった。
二次予防策では、孤立死のリスクのある問題事例については、住民からの情報提供が最重要であり地域包括支援センターとの連携体制の構築が急務と考えられた。
結論
孤立予防には、男女の特性に応じた策が必要であるとともに、住民と公的機関の重層的な連携が重要である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-