生活保護受給有子世帯の生活実態と養育・教育支援および就労支援方策に関する研究

文献情報

文献番号
200901007A
報告書区分
総括
研究課題名
生活保護受給有子世帯の生活実態と養育・教育支援および就労支援方策に関する研究
課題番号
H19-政策・一般-020
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
岡部 卓(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 副田 あけみ(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
  • 矢嶋 里絵(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
  • 稲葉 昭英(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
  • 和気 純子(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
  • 堀江 孝司(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
  • 槇野 葉月(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
  • 姜 恩和(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,562,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本年度は、次の3点を中心に研究を行う。1点目は、生活保護受給有子世帯の経年変化(1年間)を通し自立支援プログラムの成果と課題を究明する(①)。2点目は、全国調査を通して自立支援プログラムの動向と課題を究明する(②)。3点目は、生活保護自立支援プログラムを先進的に取り組んでいるA自治体で実施した各種プログラムの効果測定を通し成果と課題を究明する(③)。
研究方法
本研究は、研究会を定例開催し研究方法や調査結果等の検討を主任・分担研究者を中心として行う。また、調査対象である自治体の職員と自立支援プログラムについて会議を行い、さらには当該自治体職員に調査票の記入等について協力を得ている。
結果と考察
①については、高校進学率の向上や就労支援プログラム対象の世帯主の月収の増加等の成果が上がり、プログラムの活用度が増している。生活保護受給有子世帯全体からみれば、プログラムの実施数は必ずしも多いとはいえないが、活用世帯においては成果が上がっており、プログラムが利用者(被保護者)支援の生活再建につながっていると考える。これらを踏まえ今後、中期的な視点に立った支援と評価を行う必要がある。
②については、自立支援プログラムの策定・実施状況に関する全国調査(自治体調査)を通し自立支援プログラムが全国的に浸透してきていることが明らかとなっている。今後は、利害関係人(stakeholders)である利用者(被保護者)の調査並びに自立支援プログラムの成果に関わる調査を行うことにより真に利用者主体の自立支援プログラムの検討となること考えられる。
③については、自治体で実施されている各種プログラムの結果を通してプログラム活用により一定の成果が見られた。今後、自立支援プログラムをより促進するためには各種プログラムの内容・方法等の検討が必要と考える。
結論
全体を通して、生活保護受給有子世帯の生活課題である養育・教育・就労においては自立支援プログラムの策定・実施の必要性とその意義が明らかとなっている。今後の課題として自立支援プログラムの内容・方法等をより精査することにより生活保護受給有子世帯の生活再建・維持・向上を果たすことができると考える。

公開日・更新日

公開日
2010-09-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200901007B
報告書区分
総合
研究課題名
生活保護受給有子世帯の生活実態と養育・教育支援および就労支援方策に関する研究
課題番号
H19-政策・一般-020
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
岡部 卓(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 副田 あけみ(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
  • 矢嶋 里絵(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
  • 稲葉 昭英(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
  • 和気 純子(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
  • 堀江 孝司(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
  • 槇野 葉月(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
  • 姜 恩和(首都大学東京 都市教養学部 人文・社会系 社会学コース 社会福祉学分野 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年における生活保護の動向は、経済・雇用動向を反映し、稼働世帯が増加傾向にある。その中でも子どもを有する世帯においては、子どもの養育・教育支援と共に親の就労支援をどのように行うかが大きな課題となっている。
そこで本研究では、生活保護を受給している有子世帯の生活実態を通し生活課題を明らかにすると共に、社会的自立に向けて支援方策としての養育支援・教育支援・就労支援の実態とその在り方について検討することを目的とする。このことは、生活保護受給有子世帯の社会的自立だけではなく、貧困の再生産(世代間継承)を防止することにつながる。
研究方法
(1)先行研究の整理並びに調査枠組みの検討、調査票の設計等と、集計・分析並びに調査対象の自治体と連携・協力して生活保護における自立支援プログラムの策定と評価指標を開発した。
(2)生活保護受給有子世帯に対し、どのような制度・政策が展開されているかを検討、また前年度に引き続き生活保護受給有子世帯調査を実施し、実態・課題の析出と支援方策の検討を行った。
(3)調査の集計・分析・考察を行い、生活保護受給有子世帯に対する制度・政策並びにソーシャルワークの観点からの支援の課題と今後の在り方について提示した。また、上記の3年間の研究結果・成果を「総括・総合研究報告書」にまとめた。
結果と考察
(1)3年間を通した研究により、生活保護受給世帯においては生活困窮を基底としてさまざまな生活課題を有していることが一般的である。とりわけ生活保護受給有子世帯は一般的に稼働年齢層であることが多く、そこでは主として養育・教育・就労を中心として、多くの生活課題が析出された。
(2)これら課題に対処するため、A自治体と連携・協力して自立支援プログラムの開発・評価指標を開発した。
(3)上記の評価指標を基に自立支援プログラムの効果に関わる調査を実施しその集計・分析を行った。
(4)また自立支援プログラムの前提となる自立ならびに自立支援概念の検討、貧困の再生産防止に対するわが国の社会保障・社会福祉政策について、生活保護政策や貧困低所得母子世帯対策である児童扶養手当政策、貧困低所得高齢者世帯対策を例に検討した。
結論
全体を通して、生活保護受給有子世帯の生活課題である養育・教育・就労において自立支援プログラムの策定の必要性とその成果が明らかとなった。今後の課題として自立支援プログラムの内容・方法等をより精査することにより、生活保護受給有子世帯の生活再建を図ることが可能と論証された。

公開日・更新日

公開日
2010-09-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200901007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1)貧困再生産の対象となる生活保護受給有子世帯の生活実態の把握と生活課題の析出、自立支援プログラムの策定並びに評価指標の開発、効果測定、貧困の再生産防止に関する政策的検討。
(2)自立支援に関する理論的枠組みの提示、自立支援プログラムの策定・評価指標の開発、貧困・低所得対策の検討。
臨床的観点からの成果
(1)自立支援プログラムを通して組織的・体系的・継続的・計画的支援の必要性と具体的手法を提示し、利用者支援の実体化を図る。
(2)自立支援プログラムの内容・手順を詳細に提示することにより支援が円滑に行なわれる。
ガイドライン等の開発
・自立支援研究会(厚生労働省社会・援護局、2007年度)
・生活保護受給者の社会的居場所作りと新しい公共に関する研究会(厚生労働省社会・援護局、2010年度)
その他行政的観点からの成果
・国・自治体の自立支援プログラムのモデルとして数多く援用されている。
その他のインパクト
・新聞、ラジオ、テレビ、雑誌等メディアで数多く取り上げられている。とりわけ貧困再生産防止を目指す先駆的取り組み事例としてその成果が紹介されている。

発表件数

原著論文(和文)
20件
自立支援の理論的検討とプログラム開発・効果測定に関する研究
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
30件
貧困の再生産防止のための取り組みの検討や今後の支援の在り方の提示
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
生活保護受給有子世帯の生活実態と養育・教育支援及び就労支援方策に関する研究等
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
15件
行政職員・保護施設職員などを対象とした研修

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
岡部 卓
生活保護における自立支援
社会保障のモデルチェンジ ,  (24) , 152-166  (2009)
原著論文2
岡部卓・矢嶋里絵・稲葉昭英・和気純子他
生活保護における自立支援プログラム(2)
人文学報 ,  (409) , 55-103  (2009)
原著論文3
岡部卓・矢嶋里絵・稲葉昭英・和気純子他
生活保護における自立支援プログラム
人文学報 ,  (394) , 53-82  (2008)
原著論文4
岡部 卓
板橋区自立支援プログラムの位置づけと意義
生活保護自立支援プログラムの構築-官学連携による個別支援プログラムのPlan.Do.See- , 1-15  (2007)
原著論文5
副田あけみ・矢嶋里絵・稲葉昭英・和気純子他
板橋区自立支援プログラム実施要領、板橋区自立支援プログラム実施の手引き
生活保護自立支援プログラムの構築-官学連携による個別支援プログラムのPlan.Do.See- , 18-235  (2007)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-