次世代育成支援政策における産後育児支援体制の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200901005A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代育成支援政策における産後育児支援体制の評価に関する研究
課題番号
H19-政策・一般-018
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
福島 富士子(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部)
研究分担者(所属機関)
  • 中板 育美(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部 )
  • 宮里 和子(武蔵野大学 看護学部)
  • 齋藤 泰子(武蔵野大学 看護学部)
  • 濱松 加寸子(聖隷クリストファ-看護大学)
  • 藤原 佳典(東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 加藤 尚美((社)日本助産師会)
  • 待鳥 美光(NPO法人こども・みらい・わこう)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,106,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、産後4ヶ月までの育児支援に関する各自治体の取組みの推進に向けて地域特性に応じた効果的な支援について提言を行うことを目的としている。
研究方法
1.乳児全戸訪問事業の評価指標の作成するにあたって、実態調査結果から、自治体を選定し、フォーカスグループインタビューを繰り返し、さらに妥当性を含めて精査し、評価指標(案)として提示した。
2.S県の3市の子育て支援を通して、地域ぐるみで行われている産後の子育て支援活動の実態を明らかにし、各市の支援の実態を調査した。
3.S区の産後ケアセンターにおける介入研究として、利用者への事後アンケートの実施と同窓会を企画実施、また事例集を作成した。
4.産後早期退院に関する世界の実態調査や支援者の教育プログラムの開発を行った。また、出産後早期退院者の実態を把握し、産後の母子への支援、体制について検討した。
結果と考察
1.乳児全戸訪問事業の目的を成就するための条件として目標をあげ、その目標に沿った形で具体的な評価指標を検討、作成した。
2.住民主体の子育て支援活動が継続・発展し、地域ぐるみで子育てを支える社会を作り上げていくためには、住民の子育て支援の関心が広がるために、行政の関係部局や専門職が住民の活動を後押しする体制づくりを強化することが重要である。
3.宿泊型産後ケアセンターが日常的な関係性を紡ぐきっかけとなる可能性も大いにあることが示唆された。今後はさらに、地域の子育て支援資源とつながり、利用者が地域に帰っていく際の橋渡しの機能を持つことが望まれる。
4.今後日本でも、地域でのサポートシステムを早急に整え、機能をさせていく必要性が示唆された。
結論
現在日本では、産科医不足による分娩医療機関の激減などから、出産する場所がない妊婦がいる状況にある。そのため、早期退院制度を導入し、入院期間を1週間前後から3日から6日に短縮する取り組みが広がっている。このことは視点を変えれば、早く家庭に戻り生活の場になじむというプラスの側面もあると思われる。しかし、退院後に地域でいつでも身体や生活について相談できる体制は整っていないため、母親や家族の不安は大きいことも予測される。スムーズに、産褥早期退院が行われ家族での日常生活へのスムーズな移行に向けて、子産み・子育て支援体制を充実していくことが望まれている。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200901005B
報告書区分
総合
研究課題名
次世代育成支援政策における産後育児支援体制の評価に関する研究
課題番号
H19-政策・一般-018
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
福島 富士子(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部)
研究分担者(所属機関)
  • 中板 育美(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部)
  • 宮里 和子(武蔵野大学 看護学部)
  • 齋藤 泰子(武蔵野大学 看護学部)
  • 濱松 加寸子(聖隷クリストファ-看護大学)
  • 藤原 佳典(東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 加藤 尚美((社)日本助産師会)
  • 待鳥 美光(NPO法人こども・みらい・わこう)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、すべての母子及び家族が健やかに生活できる地域づくりを目指し、各自治体、医療機関等の取組みを推進するため、全国の実態を明らかにする。さらには現状の課題を分析、各自治体の今後の効果的な展開についての検討、最終的にその評価のための指標を作成・提言することにある。
研究方法
1年目は実態調査として、産後早期の訪問事業に関する市町村対象の全国調査を実施。また、東京都S区における先駆的事業「産後ケアセンター」において介入研究を行い、実際の運営が開始した。
2年目は調査データの分析と効果評価の枠組みの検討として様々な視点から事例を分析した。また、産後ケアセンターの効果評価を行い、さらに、産後の早期フォローアップ体制の現状を調査した。
3年目は乳児家庭全戸訪問事業の評価指標の作成や、新たな地域における産後ケアセンターの開設の介入研究、産後早期退院に関する世界の実態調査や支援者の教育プログラムの開発を行った。
結果と考察
乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)に関する調査の結果こんにちは赤ちゃん事業は、小地域単位での、包括的な家庭支援・母子社会資源との連携・住民組織活動の高揚・地域活性化の一助として取り組まれることが望ましい。新生児訪問については、専門性を持った基礎的かつ専門的な保健指導であり、全数に実施されることが望ましい。
先駆的事業「産後ケアセンター」における介入研究の結果、宿泊型産後ケアセンターが日常的な関係性を紡ぐきっかけとなる可能性も大いにあることが示唆された。今後はさらに、地域の子育て支援資源とつながり、利用者が地域に帰っていく際の橋渡しの機能を持つことが望まれる。
産後早期退院と助産師による早期新生児訪問に関する調査の結果、今後日本でも、地域でのサポートシステムを早急に整え、機能をさせていく必要性があり、産後入院期間の選択等に関して、女性が意思決定できるような環境作りをしていくこと、助産師が早期からの訪問活動をしていくための教育プログラムの開発・研修の普及等を推進していくことが重要であると考える。
結論
現在日本では、お産難民問題解決のため、早期退院制度の取り組みが広がっているが、退院後の地域のフォローアップ体制は整っていない。スムーズに、産褥早期退院が行われ家族での日常生活へのスムーズな移行に向けて、子産み・子育て支援体制を充実していくことが望まれている。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200901005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
子育て支援のひとつとして「産後育児支援体制」のプログラムを評価し、地域における市民参加の産後の育児支援のあり方の考察をした。
臨床的観点からの成果
産後早期退院と助産師による早期新生児訪問に関する調査に関して、諸外国の早期退院に関する調査、産後早期退院者への調査、早期家庭訪問員への研修プログラム開発を行った。その結果、早期退院にあたっては、地域でのサポートシステムを整え、それに伴う人材育成プログラムの作成が必要であることが判明した。今後日本でも、早急に早期退院が推進出来る仕組みを作る施策を提案した。
ガイドライン等の開発
本研究は、新生児家庭訪問調査は乳児全戸家庭訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)の創設に反映され、さらにこの事業の推進にむけた「乳児家庭全戸訪問事業ガイドライン/2009」作成への委員(厚労省)として研究班員が参加し、研究結果からの提言を行った。
その他行政的観点からの成果
産後ケアの研究は、国の妊産婦ケアセンター事業基盤補助金施策の創設に反映され、また、この研究結果は、今後全国の自治体において地域の課題に適応した産後支援の拠点として開設するための基盤資料となることが推測される。すでにW市で助産機能も加えた産後支援施設の開設準備が始まっているところである。
その他のインパクト
「子育てするならこの街で」AERA No.53.2008
生活WIDE「産後の入院短縮広がる」読売新聞 2009.12.15
"シリーズ・産み、育てる"日本初、産後ケアセンターが担うことTOKYO MXテレビ2008.7.2

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
16件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
13件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-