子ども家庭福祉分野における家族支援のあり方に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200901002A
報告書区分
総括
研究課題名
子ども家庭福祉分野における家族支援のあり方に関する総合的研究
課題番号
H19-政策・一般-014
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 重宏(社会福祉法人 恩賜財団 母子愛育会 日本子ども家庭総合研究所 子ども家庭福祉研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 本間 博彰(宮城県子ども総合センター 所長)
  • 小野 善郎(宮城県精神保健福祉センター 所長)
  • 岡本 正子(大阪教育大学教育学部 教授)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,546,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
児童相談所等における子ども虐待対応件数は増加の一途を辿っている。子ども虐待の初期対応については検討・実践が進められてきたが、家族再統合や支援システムの構築は未だ進んでいるとは言い難い。本研究では、国際的に普及が進む当事者参画型実践を参考とし、日本における実践モデルを検討した。加えて、平成18年度に実施したプロジェクト推進型研究の結果、実践課題としてあがった精神保健の必要があるケース、および性的虐待ケースへの支援枠組み、体制・システム、評価指標等について検討した。
研究方法
研究課題に応じ、(1)日本における家族参画型実践のモデルと教材の作成、(2)地域での支援枠組み構築において地域精神保健クリニックの有効性とあり方、(3)子どもを取り巻く環境と有機的に結びついた地域精神保健システムの検討、および(4)性的虐待の非加害親をエンパワメントする形での実践モデルの確立について研究分担班を設置した。
結果と考察
家族再統合については、(1)海外で先行する当事者参画型先行実践モデルを検討し、神奈川県が実践する合同ミーティングを基盤とした児童相談所版ファミリーグループ・カンファレンス実践模擬事例を作成し、教材を作成した。精神保健サービスについては、(2)児童相談所や情緒障害児短期治療施設等をはじめとして相談の重要性が確認されたが、その受け皿は不十分で今後の整備が必要であることが示された。また(3)地域も含めた支援枠組みについて、システム・オブ・ケアの概念に従い、国際的に標準化が進んでいる児童青年レベル・オブ・ケア評価尺度の日本語版とその評価ができた。加えて、性的虐待については(4)性的虐待をしていない非虐待親の活用の有効性と、そのために重要となるエンパワメントの重要性・方向性を示した。
結論
家族再統合に関して、(1)これまでの日本における実践に基づき、家族参画型実践モデルが提案できた。また、支援モデルのプロトタイプを作成し、研修用教材・アセスメントシート等のツールが作成できた。加えて課題となっていた精神保健ニーズと性的虐待への対応については、(2)児童相談における精神保健ニーズの重要性と今後のあり方の提案、および(3)国際的に標準化が進むシステム・オブ・ケアの概念に基づく日本版尺度が作成できた。また、(4性的虐待をしていない非虐待親を加えた支援の枠組みや方法について提示できた。

公開日・更新日

公開日
2010-09-15
更新日
-

文献情報

文献番号
200901002B
報告書区分
総合
研究課題名
子ども家庭福祉分野における家族支援のあり方に関する総合的研究
課題番号
H19-政策・一般-014
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 重宏(社会福祉法人 恩賜財団 母子愛育会 日本子ども家庭総合研究所 子ども家庭福祉研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 本間 博彰(宮城県子ども総合センター 所長)
  • 小野 善郎(宮城県精神保健福祉センター 所長)
  • 岡本 正子(大阪教育大学教育学部 教授)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子ども虐待への対応件数は増大の一途を辿っている。従来、保護段階に焦点が置かれてきたが、保護後の家族再統合や重篤ケースにおける支援システムの構築は未発達である。そこで、本研究では、諸外国における先行システムを参考に (1) 日本における当事者参画型実践モデルの提案、(2)精神科医療ニーズの把握と体制のあり方、(3)日本語版児童青年レベル・オブ・ケア評価尺度(以下、CASII)の信頼性・妥当性と活用の検討、(4)性的虐待における家族支援のあり方と援助枠組みの検討を通し、これからの子ども家庭福祉分野における総合的な家族支援の提示を目的とした。
研究方法
上記に即し(1)家族参画型実践モデルに関する模擬事例と学習用教材作成の検討、(2)情緒障害児短期治療施設における精神保健ニーズと現状の調査、(3)標準事例を通じた日本語版CASIIの信頼性・妥当性の確認と臨床での検討、(4)性的虐待への実践、及び海外の家族参画型実践の適用状況調査により研究を行った。
結果と考察
(1)児童相談所版ファミリーグループ・カンファレンス実践模擬事例、および教材を作成した。(2)情緒障害児短期治療施設が対応する子ども問題は精神科医療で扱うべき精神疾患や精神障害であること、加えて発達障害児が虐待を受け外向的・内向的行動障害を示す実態等が明らかとなった。また(3)日本語版CASIIの妥当性が確認でき、臨床的ニーズに応じた援助計画の策定・実施に役立つことが示された。(4)性的虐待事例への非虐待親の活用は有効であると示された一方で、諸外国では除外条件・限定条件付きの活用が図られている状況が明らかとなった。
結論
最終的に3年間の成果として、(1)日本における実践に基づき、家族参画型実践モデルが提案できた。また、検討した模擬事例を元に研修用教材が作成できた。(2)精神保健の重要性が確認され、情緒障害児短期治療施設の機能整備および精神科医療との協力体制強化の必要性が明白となった。(3)CASII日本語版は精神科医だけでなく児童相談所などの専門職にも十分な信頼性・妥当性があり、子ども家庭福祉領域における援助方針の策定に有用であると考えられた。加えて(3)性的虐待非加害親を加えた援助の有効性が確認され、児童養護、生活ケア、自立支援、児童精神科医療との連携を視野に入れた治療ネットワークの構築の重要性が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2010-07-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200901002C