火葬場における有害化学物質の排出実態調査および抑制対策に関する研究

文献情報

文献番号
200840043A
報告書区分
総括
研究課題名
火葬場における有害化学物質の排出実態調査および抑制対策に関する研究
課題番号
H20-健危・一般-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
武田 信生(立命館大学 総合理工学研究機構 エコテクノロジー研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 森澤 眞輔(京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻)
  • 森田 章介(大阪歯科大学口腔外科学第一講座)
  • 米田 稔(京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻)
  • 高岡 昌輝(京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻)
  • 中山 亜紀(京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻)
  • 大下 和徹(京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
12,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の火葬率は、平成19年度で約99.9%であり、かつ死亡人口が増加していることから、火葬数は増大傾向にある。したがって安全・安心な火葬を続けていくためには、火葬炉から排出される有害物質に関する実態調査と、その排出抑制対策が必要となる。
そこで、本研究は、火葬場から排出される有害物質の濃度、総量、排出形態について、その実態を明らかにし、排出抑制策を検討することを目的とした。

研究方法
対象施設として、昨年度の4施設に加え、7箇所の火葬炉を選定し、排ガス中のDXN類や水銀などについて測定を行った。また、灰中DXN類濃度や、重金属溶出量などの調査を行った。排ガス中水銀の多くは、歯科アマルガム由来と考えられ、その排出量を正確に見積もるため、歯科アマルガムの歯科患者からの採取、ヒアリングを実施した。さらに、アマルガム由来水銀の体内動態評価モデルを構築した。
結果と考察
排ガス中DXN類濃度は、平均1.2ngTEQ/m3Nであり、本研究と昨年度結果から排出原単位は1600ngTEQ/人と見積もられた。この値は10年前に比較し約2/5でありDXN類削減対策指針による効果が伺えた
排ガス中水銀は、幾つかの火葬で、歯科アマルガム由来と考えられるHgピークが確認され、排出濃度としても高かったことから、活性炭吸着等の対策が必要と考えられた。灰中重金属は、特にCr(VI)に関して、全サンプルの溶出量が、基準の10倍以上の濃度となったが、含有量は多くのサンプルで基準値を満たしており、今後、火葬炉からの排出状況を調査して行く必要がある。
水銀排出起源調査は、9検体のアマルガム充填物が得られ、充填年数とともに重量が減少する傾向がわずかに見られた。また、アマルガム水銀についてヒトPBPK モデルを構築し、妥当性を確認した。
結論
・火葬炉排ガス中DXN類の分析結果から、DXN類排出抑制指針により、火葬炉からのDXN類排出量は約2/5まで削減されていることが示された。
・排ガス中水銀は、歯科アマルガム由来であることが示唆され、排出が高濃度となる火葬もみられたため、活性炭吸着等の抑制対策が必要である。
・灰中重金属は、まず、六価クロムに対する排出調査が必要であると考えられた。
・歯科患者から9検体のアマルガム充填物が採取でき、次年度さらに収集し水銀分析を実施予定である。
・アマルガム由来水銀のヒトPBPKモデルを構築し、妥当性を確認した。次年度は健康リスク評価を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2009-06-02
更新日
-