水の摂取・利用が健康障害の予防及び健康増進効果に及ぼす影響について

文献情報

文献番号
200840040A
報告書区分
総括
研究課題名
水の摂取・利用が健康障害の予防及び健康増進効果に及ぼす影響について
課題番号
H20-健危・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
武藤 芳照(東京大学 大学院教育学研究科(研究院))
研究分担者(所属機関)
  • 長岡 裕(東京都市大学 工学部都市工学科教授)
  • 福島 美穂(水と健康スポーツ医学研究所)
  • 高杉 紳一郎(九州大学病院リハビリテーション部)
  • 上岡 洋晴(東京農業大学)
  • 岡田 真平(身体教育医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、水の摂取・利用という観点から、国民の健康づくりに資する実践的な科学的知見と教育・啓発資材を提示することを目的とした。
研究方法
【研究1:水道設備に関する調査研究】小学校における給水設備に関する研究として、直結給水工事に伴う水道使用量の変化と給水設備の老朽度の実態調査をA市において行った。
【研究2:水分不足による運動時の熱中症に関する文献調査】「熱中症」「死亡」をキーワードに、新聞記事と判例を検索した。
【研究3A:水中運動の効果に関する文献調査】水中運動と温泉療法に関するランダム化比較試験のシステマティック・レビューのレビューを行った。
【研究3B:水中運動の効果に関する実験研究】水中での側方歩行の特性を前方歩行との比較により明らかにする運動生理学・バイオメカニクス的実験を行った。
結果と考察
【研究1】学校給水設備の直結化工事によって、特に捨て水の減少に伴うとみられる春から夏の水使用量の減少及び給水設備、特に給水管の老朽度の実態が明らかになった。
【研究2】「熱中症」「死亡」に関する新聞記事をのべ1075件、判例を33件収集でき、無知と無理が熱中症による死亡事故発生の背景にあると考えられた。
【研究3A】水中運動は、メタ分析の結果、運動器疾患(変形性関節症、関節リウマチなど)において、小さいながらも疼痛の軽減効果があった。一方、温泉入浴だけのエビデンスは不十分であり、効果があるかは現時点では不明である。
【研究3B】側方歩行が高強度運動時に局所的な筋疲労を伴う運動様式である可能性が考えられた。側方歩行では,前方歩行に比較して,歩行速度が遅く,歩幅が減少する傾向にあることから、それぞれの運動特性の違いに注意した運動処方の必要性が示唆された。

結論
水をからだに入れる(飲水)ことと健康づくり及び健康障害との関係については水道施設設備の状況が影響するであろうと考えられること、並びに飲水の不足によるとみなされる運動・スポーツに伴う熱中症の事故は、無理と無知が背景にあると考えられた。
からだを水に入れること(水中運動)は、運動器疾患のリハビリテーションに効果があることがシステマティック・レビューにより示されたが、水中運動の最も基本となる水中歩行の特性をよく理解した上で実践しなければ、効果も得られないばかりか、逆に痛みか障害をきたすことになる可能性が示唆された。

F. 健康危険情報
該当せず

G. 研究発表
なし

H. 知的財産権の出願・登録状況
なし

公開日・更新日

公開日
2009-06-22
更新日
-