水道の配水過程における水質変化の制御および管理に関する研究

文献情報

文献番号
200840039A
報告書区分
総括
研究課題名
水道の配水過程における水質変化の制御および管理に関する研究
課題番号
H20-健危・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
島崎 大(国立保健医療科学院 水道工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 国包 章一(静岡県立大学 環境科学研究所)
  • 船水 尚行(北海道大学大学院 工学研究科)
  • 伊藤 禎彦(京都大学大学院 工学研究科)
  • 大瀧 雅寛(お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科)
  • 春日 郁朗(東京大学大学院 工学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
水道水質の安全性および快適性のさらなる向上のため、水道水の配水過程における化学的および微生物学的な水質変化を最小限に抑えるための水質管理や管路の維持管理のあり方、また、それを確保する上で必要となる浄水水質や浄水処理システムの要件につき明らかにする事を目的とする。
研究方法
諸外国の水道における浄水処理、残塩保持及び配水水質管理の現状に関する文献調査、紫外線消毒による微生物再増殖の制御方法の検討、生物活性炭処理における硝化微生物の定着過程の評価、異なる浄水場の浄水処理におけるAOC除去特性の比較、配水過程における再増殖微生物の迅速モニタリング手法に関する検討、配水過程の微生物再増殖に対する消毒剤等の影響に関する検討、および、モデルシミュレーションによる配水過程における微生物再増殖性の評価を行った。
結果と考察
欧米諸国の水道事業を対象として消毒による指標微生物の不活化状況や、配水系統を通じた感染症の発生状況について情報を整理した。紫外線消毒による不活化機構について、異なる波長により大腸菌および生物膜形成細菌に与える損傷に相違が無いことを実験により確認した。新規に生物活性炭を導入した浄水場を対象として硝化微生物と硝化活性のモニタリングを行い、前塩素処理の停止によって硝化微生物の定着過程と硝化能との関連性を推察した。BrdUラベル化法による従属栄養細菌の迅速検出法について、0.1?1000CFU/mLの範囲で試料中の従属栄養細菌数の予測が可能となり、実際の水道水試料に適用した場合の課題点について示した。屋内実験において生物膜の抑制効果は次亜塩素酸ナトリウムよりも二酸化塩素が高く、キレート剤EGTAも効果を有することを確認した。配水管網内の微生物濃度をシミュレーションするモデルを用いた検討により、残留塩素濃度が管網内の微生物増殖を決定していることが示唆された。
結論
水道水質の安全性および快適性のさらなる向上のためには、水道水の配水過程における化学的および微生物学的な水質変化を最小限に抑えるための水質管理や管路の維持管理のあり方について明確にする事が必要である。次年度以降、それらを確保する上で必要となる浄水水質や浄水処理システムの要件について引き続き調査研究を行い、知見のとりまとめを進めたい。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-