災害対策における要援護者のニーズ把握とそれに対する合理的配慮の基準設定に関する研究

文献情報

文献番号
200840036A
報告書区分
総括
研究課題名
災害対策における要援護者のニーズ把握とそれに対する合理的配慮の基準設定に関する研究
課題番号
H20-健危・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
八巻 知香子(国立がんセンター がん対策情報センター がん情報・統計部)
研究分担者(所属機関)
  • 河村 宏(特定非営利活動法人 支援技術開発機構)
  • 間宮 郁子(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 清水 里香(社会福祉法人 浦河べてるの家)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまでの成果と浦河町での連携を活かしながら、大規模災害時において外部からの救援は難しくその地域内での対応が必要となる3日から1週間程度の期間に、行政、医療機関、福祉施設等の関連諸機関並びに住民が備えるべき事項の要件を明らかにし、一時避難後・長期避難生活移行前のプロトコルを作成することを目的とする。
研究方法
3年計画の初年度として、下記の検討を行った。
・研究フィールドの設定とフィールドでの連携強化
・かつて被災した地域での成功事例、困難事例の収集と特徴の分析
・ユニバーサルデザインと合理的配慮に概念と先行事例に関する検討
・ユニバーサルデザインと合理的配慮概念を生かした防災計画実例に関する現況調査
・障害当事者が防災活動に参加する際の意義と困難の検討
結果と考察
精神障害者の自立した津波避難のために関連団体が共同研究を続けてきた北海道浦河郡浦河町を研究フィールドとして設定した。本年度は関係機関が参加する合同防災会議を定期的に開催し、合同行事を実施することができた。
大震災の被災体験者への聞き取り調査より、自助、共助、公助が相補的に機能したことに加え、福祉施設が積極的な受け入れが複合的に機能することで有効な対応がなされていたが、日常的な利用者ではない高齢者・障害者への対応や、集団生活に困難がある自閉症児・者、精神障害者への対応には課題があったことが明らかになった。
 災害時に限られた人数の職員で対応するためには、ユニバーサルデザインにより自力で安全を確保できる人数を拡大すると同時に、希少なニーズ等に対しては合理的配慮を提供することが有効である。そこで、米国における両概念および教育・住宅・雇用の3領域における先行例を検討し、防災へ適応が可能であることを理論的に整理した。また、この考え方が反映された防災計画として、ハワイ州のInteragency Action Planの概要および防災対策の実情を調査し、直接参考になる要素および他地域への応用可能性を確認した。
また、本年度の研究班の活動においては、障害当時者の参加により、被災地および他地域の事例収集においても具体的な事例と率直な意見交換を行うことで、活発な情報交換が行われた。
結論
実在の研究フィールドにおける課題設定のもとで、合同防災会議の定期的な開催枠組みが整い、本フィールドにおける計画づくりに直接生かすことができる国内外の防災対策事例ならびに被災体験事例を収集することができた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-23
更新日
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