水道水異臭被害を及ぼす原因物質の同定・評価および低減技術に関する研究

文献情報

文献番号
200840028A
報告書区分
総括
研究課題名
水道水異臭被害を及ぼす原因物質の同定・評価および低減技術に関する研究
課題番号
H19-健危・一般-013
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
西村 哲治(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 越後 信哉(京都大学大学院 工学研究科)
  • 大野 浩一(北海道大学大学院 工学研究科)
  • 小坂 浩司(国立保健医療科学院 水道工学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 臭気原因化学物質及び塩素処理により生成する臭気物質の同定と的確な定量分析方法の確立、臭気官能試験方法の適用条件に関する検討、浄水処理における新たな臭気物質除去法に関する研究を遂行し、臭気原因物質およびその前駆体物質の削減と臭気被害の低減化に資する技術を確立することにより、水道水の快適性の一層の向上を図ることを目的とする。
研究方法
 塩素処理をして臭気物質を生成する化学物質を同定した。カルキ臭の主要原因物質であるクロラミン類の高感度分析法を精緻に検討した。臭気官能試験を適切に実施するための要件を整理した。臭気物質および臭気物質前駆物質の除去処理方法を検討した。さらに、新しく開発した微粉化粉末活性炭を用いた臭気原因物質の除去方法について検討を行った。
結果と考察
 アミノ酸類や医薬品類の塩素処理により、種々の揮発性有機物質が生成を確認した。特に、窒素原子を含む物質が臭気原因前駆物質となりやすかった。
 昨年確立したヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析(HS-GC/MS)法によるトリクロラミンの測定方法と従来法のDPD/FAS滴定法とを比較し、妥当性、選択性、感度及び確度でより有効な方法であることを確認した。従来測定が難しかった濃度で9水道水のうち8水道水中からトリクロラミンが検出された。
 昨年度提案した臭気官能試験法である三点比較法の適用の際の課題を洗い出し、操作の簡略化を図った。クロラミン生成の前駆物質であるアンモニウムイオンの測定の妨害となるナトリウムイオンの影響を受けない分析法を設定した。アンモニウムイオンを数μg/Lまで低減する方法を設定できたが、低濃度の場合には効果が低かった。臭気原因前駆物質として、有機物質が重要になる場合が示唆された。
 新規開発を行っている微粉化粉末活性炭によるクロラミン類の除去の際に、共存する消毒副生成物の有効な吸着除去効果は得られなかった。
結論
 異臭被害の予防対策および発生時に有効に利用できるデータベースの構築をすすめた。塩素処理による臭気発生の原因物質を検討した。確立したHS-GC/MS法による水道水中トリクロラミンの測定条件の妥当性を機関間で確認した。臭気測定の三点比較法を改善した。臭気の原因物質としてトリクロラミン以外の存在を認めた。効果的なアンモニウムイオンの除去法を確立した。微粉化粉末活性炭の消毒副生成物共存によるトリクロラミン除去性への影響を評価した。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-