健康危機発生時の迅速なる検査体制および原因究明に向けた連携体制構築に関する研究

文献情報

文献番号
200840025A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機発生時の迅速なる検査体制および原因究明に向けた連携体制構築に関する研究
課題番号
H19-健危・一般-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
西田 まなみ(広島大学 技術センター)
研究分担者(所属機関)
  • 奈女良 昭(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 福家千昭(琉球大学 医学部)
  • 斉藤 剛(東海大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内閣官房、厚生労働省を始めとする各省庁、大学および企業などの危機管理担当者による勉強会「危機管理勉強会」を開催し、危機管理情報を共有するとともに、化学物質が関与した災害発生時に、科学的根拠に基づいた治療が施されるよう、各検査機関の分析担当者が連携し、起因物質を迅速に検索することを目的とする。
研究方法
1)幅広い分野の危機管理専門家による情報発信と共有化を検討する。
2)過去に甚大な事故の原因となった中毒起因物質の迅速検査法の改良、評価を行う。
3)過去に発生した大規模災害に関連した化学物質を検索し、検査法を確立・集約する。また、実務者を対象に模擬試料を使った実地講習会を開催し、助言を行う。
4)化学災害の発生形態から分類を行い、化学災害発生時の時間経過と災害規模、分析機関の選定、検査試料の運搬、試料の搬送手段について検討する。
5)広島市での化学物質の関与した災害発生時の連携体制を検証するとともに、災害発生時に関与する機関の担当者にヒアリングを行い、連携体制構築に向けた方策について検討する。
結果と考察
1)危機管理情報の共有化では、地域における化学災害発生時の検査や連携体制について聞き取り調査を行った。また、東京にて危機管理勉強会を21回開催し、情報の共有化を図った。
2)迅速検査法の開発と検査法の集約化では、目視的に色の濃淡を判断する必要があり、検出下限付近での農薬の有無を判断することは困難であった。
3)原因物質特定の実地訓練では、340事例について集計した。化学工業薬品が多いことが判明した。また、実務者27名を対象に実地講習会を開催した。
4)分析機関の選定と検査試料の運搬では、全国をある一定の地域毎に分け、幾つかの拠点となる検査機関を設ける必要がある。
5)薬毒物の検査体制と連携体制の構築では、広島市地域防災計画の中で関係機関との情報連絡系統が構築されているが、実際の災害発生時には連携されておらず、今後の解決課題として残されている。
結論
本成果により、災害や事件を多角的視野にたって解析する実践に即した危機管理の人材教育が可能と考えられる。また、事例に応じた機器や処理法を選択する知識が要求されるため、実務者間での交流を持つことが危機発生時の初動に役立つと考える。しかし、急激な意識改革は困難であり、日頃経験する事例での経験を重ね、本研究を継続的に実施する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
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