結核・感染症の発生に備えた保健所保健師の平常時体制づくり並びに現任教育プログラムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200840021A
報告書区分
総括
研究課題名
結核・感染症の発生に備えた保健所保健師の平常時体制づくり並びに現任教育プログラムの開発に関する研究
課題番号
H19-健危・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
春山 早苗(自治医科大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 久美子(自治医科大学 看護学部)
  • 小池 亜紀子(栃木県県南健康福祉センター)
  • 櫻山 豊夫(東京都福祉保健局技監室)
  • 山口 佳子(杏林大学保健学部)
  • 大澤 真奈美(群馬県立県民健康科学大学看護学部)
  • 森 仁実(岐阜県立看護大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
保健所保健師の活動実態と課題から、平常時の感染症対策において重要となる保健師の活動を明らかにし、平常時の保健所保健師活動のガイドラインを示すこと、並びに、感染症担当等の保健師を対象とした現任教育の実態と課題から、現任教育プログラムを検討することである。
研究方法
昨年度調査結果の詳細な分析に文献検討及び研究者間討議を加え、感染症対策における平常時の保健所保健師として重要となる活動を明確にした。その結果に基づき、感染症対策における平常時の保健所保健師活動ガイドラインの案を作成し、感染症担当の保健所保健師や保健所内他職種等へのヒアリングを実施した。また、同様に感染症対策において保健所保健師に求められる能力を明確にし、それらの能力育成に対応した保健所保健師の現任教育プログラムの案を作成し、感染症担当の保健所保健師等へのヒアリングを実施した。
結果と考察
感染症対策における平常時の保健所保健師として重要となる活動は【感染症予防と早期発見に関わる活動】、【感染症発生時に備えた保健所内外の体制づくり】、【新型インフルエンザ対策に関わる活動】に大別された。これに基づき、保健所保健師の活動事例や工夫点も盛り込み、保健師が手がかりを得て、所属する保健所の状況に応じて活動を展開していくために活用できるものとすることを目的にガイドラインを作成した。昨年度の調査結果から、経験の少ない保健師が感染症業務の担当となった場合や担当新任時に戸惑いが大きいことが示唆されたため、特に新人保健師と感染症業務担当の新任保健師を対象に作成した。また、感染症対策において保健所保健師に求められる能力は、保健所内外の【他職種や住民と連携・協働するための能力】、【情報収集・分析能力】、【感染者・家族等への対人支援能力】、職種の種別に関わらない【保健所職員として役割を遂行するための能力】と整理され、これらの能力育成に対応した現任教育プログラムを作成した。
結論
ヒアリングにより、ガイドライン及び現任教育プログラムについて、不足・改善内容が明らかとなり、それらの意見に基づいて精錬した。ガイドラインは新人保健師と感染症業務担当の新任保健師に役立つものであること、並びに、感染症対策において保健所保健師に求められる能力は実践者からみて妥当なものであることが確認された。現任教育プログラムについては、今後試行・評価し、さらに精錬させていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-04-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200840021B
報告書区分
総合
研究課題名
結核・感染症の発生に備えた保健所保健師の平常時体制づくり並びに現任教育プログラムの開発に関する研究
課題番号
H19-健危・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
春山 早苗(自治医科大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 久美子(自治医科大学 看護学部)
  • 小池 亜紀子(栃木県県南健康福祉センター)
  • 櫻山 豊夫(東京都福祉保健局 技監室)
  • 山口 佳子(杏林大学 保健学部)
  • 大澤 真奈美(群馬県立県民健康科学大学 看護学部)
  • 森 仁実(岐阜県立看護大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康危機管理の観点から感染症対策における平常時の保健師活動のガイドラインを示すこと、並びに、感染症業務に関連した保健所保健師の現任教育プログラムを検討することである。
研究方法
全国の感染症担当保健所保健師(都道府県型394、市区型124保健所)に郵送質問紙調査を実施し(回収率は都道府県型58.4%、市区型50.0%)、感染症対策における平常時の保健所保健師として重要となる活動を明確にし、ガイドライン作成のために文献検討、研究者間討議を加えた。また、同様に保健所保健師対象の研修の本庁担当職員(47都道府県)と感染症担当保健所保健師への郵送質問紙調査を実施し(回収率は本庁担当職員70.2%、都道府県型58.4%、市区型50.0%)、感染症対策において保健所保健師に求められる能力の明確化と現任教育プログラム作成のために文献検討、研究者間討議を加えた。
結果と考察
感染症対策における保健所保健師の平常時の活動として、医療監視や施設指導に伴う活動や教育機関を対象とした活動等感染症予防のための活動、情報収集活動等の感染症の早期発見のための活動、感染症発生時に備えた保健所内の体制整備、関係機関や住民との連携・協働体制づくり、マニュアルの整備と訓練の実施、保健所職員の健康管理等が、重要と考えられた。これらを骨子にガイドラインを作成し、ヒアリングにより精錬した。感染症担当保健所保健師の研修ニーズは、個別の対応場面で必要な知識・技術の獲得、疫学調査の企画・進行管理の理解、組織・チームで対応できる実践能力の向上等があった。感染症対策において保健所保健師に求められる能力は、保健所内外の【他職種や住民と連携・協働するための能力】、【情報収集・分析能力】、【感染者・家族等への対人支援能力】、【保健所職員として役割を遂行するための能力】と整理された。感染症業務に関わる研修企画の目的は、新任期でも円滑に業務が遂行できるようにする、現場の課題に対応できる等と考えられた。これらを踏まえ、求められる能力別現任教育プログラムを作成し、ヒアリングにより精錬した。
結論
ガイドラインは、活動のあり方を知り、保健師各自が所属する保健所管内の状況に合わせて活動を展開するために、新人と感染症業務の新任保健師に役立つものであること、感染症対策において保健所保健師に求められる能力は実践者からみて妥当なものであることが確認された。現任教育プログラムは今後試行・評価し、さらに精錬させていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-04-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200840021C

成果

専門的・学術的観点からの成果
感染症対策において平常時に重要となる保健所保健師の活動や活動方法を明らかにした。また、感染症対策において保健所保健師に求められる能力を明らかにした。以上により感染症対策、特に感染症予防対策における公衆衛生看護の役割や看護活動方法の明確化に寄与することができる。また、感染症対策において看護職が役割を発揮するための公衆衛生看護の専門性の明確化に寄与できる。
臨床的観点からの成果
「感染症対策における平常時の保健所保健師活動ガイドライン」、並びに、「感染症業務に関わる保健所保健師の現任教育プログラム」を作成した。ガイドラインは、感染症対策における平常時の保健所保健師の活動の指針となり、活動展開に役立つものであり、感染症担当保健所保健師や保健所内他職種より、実践に大いに活用できる等の意見が得られた。現任教育プログラムは、感染症対策において役割を発揮できる保健師の育成に役立つ。保健所保健師に求められる能力は、保健師が自己評価し研鑽に務めていくことに役立つ。
ガイドライン等の開発
特に新人保健師と感染症業務担当の新任保健師を対象に、平常時の感染症対策に関わる保健所保健師の活動として、どの保健所にも共通する基本的な考え方や視点、役割を示した「感染症対策における平常時の保健所保健師活動ガイドライン」を作成した。また、「感染症業務に関わる保健所保健師の現任教育プログラム」を作成し、感染症対策において保健所保健師に求められる能力とそれら能力別の現任教育プログラムを示した。
その他行政的観点からの成果
ガイドラインは、保健所保健師が現在実施している活動を見直したり、各保健所の状況に合わせた実践マニュアルの作成等を含め、よりよい活動方法を検討したりすることに役立てることができる。現任教育プログラムは、感染症対策において保健所保健師が組織の一員として、また保健師の専門性に依拠して自律した判断と活動ができるために必要な能力育成のために、保健従事者を対象とした都道府県の現任教育担当者が教育内容を検討する際や、現在実施している現任教育を見直す際に参考とすることができる。
その他のインパクト
平成19年度総括・分担研究報告書、並びに、平常時における保健所保健師の感染症対策に関わる活動実態調査結果は、全国の保健所(都道府県型394保健所、市区型124保健所)及び保健所保健師対象の研修の本庁担当職員(47都道府県)に配付した。また「感染症対策における平常時の保健所保健師活動ガイドライン」は全国の保健所に、「感染症業務に関わる保健所保健師の現任教育プログラム」は保健所保健師対象の研修の本庁担当職員に配付した。 

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
工藤奈織美。舟迫香、青木さぎ里、他
平常時における感染症の発生予防に関わる保健所保健師の役割
自治医科大学看護学ジャーナル , 6 , 35-50  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-11-24
更新日
-