地域横断的な健康危機管理体制の機能分化のあり方、評価指標、効果の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200840016A
報告書区分
総括
研究課題名
地域横断的な健康危機管理体制の機能分化のあり方、評価指標、効果の評価に関する研究
課題番号
H19-健危・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 政策科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 大川 弥生(久留米大学 医学部 リハ医学)
  • 大友 康裕(日本医科大学 救急医学)
  • 田谷 聡(東京大学 法学部 行政学)
  • 鈴木 仁一(群馬大学 医学部 公衆衛生学、保健医療政策)
  • 三丸 敦洋(防衛医科大学校 医学部 心臓血管外科)
  • 中瀬 克己(岡山大学大学院 医学研究科 公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、危急時の計画の在り方や活動手法、行政サービス提供のサプライチェーンの維持の方策、関係者・関係機関、住民との連携体制や機能分化の在り方を明確にして健康危機管理体制の全体像と個々の問題点を提示することを目的としている。
研究方法
健康危機管理に関する国内外のデータの収集や地図情報システム(GIS)を用いた解析、そして関係者へのインタビュー調査を進め、過去の地震等に対する事例対応も含めて問題点を明確にした。

結果と考察
地震のときの広域災害超急性期にDMATの活動を強力に支援する組織として「消防応援活動調整本部」が期待される。本研究においては岩手・宮城内陸地震を例にとり、この対策本部の機能を検証したところ、DMATが実施する超急性期医療の実施に大いに貢献することがわかった。過去の震災等の経験を通じて、関係者の連携体制はかなり確立していた。その素地としては、平成19年5月の消防組織法改正に伴って設置が決められた「消防応援活動調整本部」が岩手県対策本部の初動対応において初めて活躍するなど、活動を支援するためには法改正が挙げられる。国民保護法も同様に自衛隊の活動をさらに高度なものにしている。このように年々、災害に対する連携体制等は充実してきているものの、未だ有事の際に担当すべき業務について、行政や関係者相互間の認知が十分でないことも明らかとなった。 BCP(事業継続計画)については、現在複数の自治体で作成されているが、企業の業務の継続の支援的なものであったり、大規模地震を想定したものに限られる。災害に近いものとして新型インフルエンザなどの新興・再興感染症に関するBCPの作成が望まれるが、あまり進んでいない。これは地震以上に広域に感染者や接触者が拡大することやあらゆる社会資源に関係が出てくるにもかかわらず、総合的に検討する体制の欠如にあるためと思われる。
結論
今後さらに、震災に加え広域連携や組織横断的な連携が必要なテロ、原子力災害なども対象に研究を行い、かつ医療・介護資源や需要の地域偏在や医療・生活福祉の対応についてGISやICF等を用いて分析するとともに、c-BCP(地域のBCP) やICS(Incident Command system)を応用した組織横断的な対応体制を検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-04-23
更新日
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