健康危機管理における効果的な医療体制のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200840010A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機管理における効果的な医療体制のあり方に関する研究
課題番号
H19-テロ・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大友 康裕(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小井土 雄一(国立病院機構災害医療センター 臨床研究部)
  • 明石 真言(独立行政法人放射線医学総合研究所 緊急被ばく医療研究センター)
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 吉岡 敏治(財団法人日本中毒情報センター)
  • 奥村 徹(佐賀大学 医学部)
  • 郡山 一明(財団法人救急振興財団救命救急九州研修所)
  • 奈女良 昭(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
NBCテロ/災害に対して原因物質毎に異なる医療体制がとられる現状では、最前線の救急医療機関において初動時の混乱/二次被害が強く懸念される. 本研究班は各救急医療施設がCBRNE災害全般に共通して対応するための初動手順を確立・標準化し、普及することを目的とする。
研究方法
3ヵ年計画の2年度目である平成20年度は下記のように研究を実施した。
1)NBCテロ・災害研修会の実施、検証、改善の継続
2)医療機関におけるNBCテロ・災害への標準的対応マニュアルの完成
3)NBCテロ現場出動医療チームのあり方
4) 救急医療機関における原因物質(特に化学剤)の究明に向けた分析体制整備
結果と考察
1)「NBCテロ・災害対応研修会」の内容を改善させ、平成19年度の3回に引き続き、平成20年度も2回の研修会(うち1回は洞爺湖サミット直前の6月に札幌開催)を実施した。
2)救急医療機関において、NBCテロ被害患者に対して適切な対応が可能となるよう、「救急医療機関におけるNBCテロ対応標準的初動マニュアル」を策定・完成させた。洞爺湖サミット対策の一環とし全都道府県衛生担当部局・全国災害拠点病院に本マニュアルを配布した。
3)消防警察などのNBCテロ現場活動要領が地域ごとに異なっており、統一されておらず、現場での除染に関しても、非効率的・非現実的計画であることが判明した。現場除染を実施すると、病院への搬送開始は災害発生後1時間以上となることから、重症傷病者に対しては、現場から医師による救命治療が必要であることも判明した。また危険なテロ現場へ医療チームが出動するにあたっての課題として、研修・装備・補償があり、これらの解決策について、今後検討する。
4)国内の医療機関、特に災害拠点病院においてa)薬毒物検査の精度管理、b)医療機関における原因化学物質の特定に関する分析技術援助を着実に実施しており、当初の目的成果を挙げている。
結論
本研究の結果、CBRN災害、テロに対する初動を担うべき災害拠点病院等の救急医療機関において整備すべき人材、資機材の量、質、コストが明らかになった。各災害拠点病院において「NBC災害・テロ対策設備整備事業」に基づいた資器材整備をお願いしたい。また本研究班で策定した「救急医療機関におけるNBCテロ標準的初動マニュアル」に基づいた院内体制整備計画およびその計画に基づいた病院職員に対する研修訓練が実施され、NBCテロに対する実効性のある体制が整備されることを期待している。

公開日・更新日

公開日
2009-04-23
更新日
-