健康危機管理体制の評価指標、効果の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200840001A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機管理体制の評価指標、効果の評価に関する研究
課題番号
H18-健危・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
北川 定謙(財団法人 日本公衆衛生協会)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 隆一郎(長野県飯田保健所)
  • 古屋 好美(山梨県中北保健所)
  • 石田 久美子(茨城県つくば保健所)
  • 阿彦 忠之(山形県衛生研究所)
  • 永井 伸彦(秋田県横手保健所)
  • 岸本 泰子(島根県県央保健所)
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 緒方 剛(茨城県筑西保健所)
  • 澁谷 いづみ(愛知県半田保健所)
  • 東海林 文夫(中央区保健所)
  • 高野 正子(大阪府吹田保健所)
  • 岸本 益実(広島県備北地域保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域における健康危機管理は、保健所の基幹的役割の一つである。そこで、地域保健対策検討会の中間報告で示された健康危機主要12分野について、具体的指標・評価基準を開発・普及し、保健所の対応を評価・標準化することを目的とする。
研究方法
1.全国調査と具体的指標・評価基準の妥当性の検討:平成18年度に開発した12分野についての保健所の体制についての具体的指標・評価基準(543項目)を用いて、全国保健所517を対象として、7月に全国調査を行った。良好、普通、及び要改善の三段階評価を行えるようにした。また、それぞれ12分野の研究班で、具体的解決策を検討した。2.健康危機管理事例収集体制の確立と運用:事例収集体制は、全国保健所長会及び保健医療科学院の協力を得て、事例収集体制を確立し、データの提供について検討を行った。3.保健所への支援システムの構築と試行:インターネット上で、希望する全国保健所長等を中心にメーリングリストを作成し、保健所支援・相談事業運用の可能性・有用性についての検討を行い、運用を試行的に開始した。4.保健所が健康危機管理に対応するための教材等の開発:事例調査結果などを中心に、課題となった項目や対応のための指針となる項目などについて、必要に応じてハンドブック、演習教材、マニュアル等の開発を行った。
結果と考察
今年度は、12分野について、所期の目的である具体的な評価指標・評価基準の策定を終えることができた。また、今年度具体的評価指標・評価基準の妥当性について行った、全国保健所調査で、今回作成した評価指標・評価基準を用いて、個々の保健所の健康危機管理機能を評価し、改善することで標準化を図ることが可能ではないかと考えられた。また、保健所健康危機管理支援・相談事業を試行的に立ち上げ、運用できたが、これも、今後の保健所の健康危機管理機能を標準化する上で、重要なツールになると考えている。
結論
今年度の研究では、所期の目的である、主要健康危機管理12分野についての保健所健康危機管理体制の具体的評価指標・評価基準(501項目)が完成した。また、継続的な事例収集、データベース化体制も昨年同様に収集、運用がH-crisis上で開始された。さらに、保健所健康危機管理支援・相談事業を試行的に立ち上げ、運用を開始した。

公開日・更新日

公開日
2009-04-23
更新日
-

文献情報

文献番号
200840001B
報告書区分
総合
研究課題名
健康危機管理体制の評価指標、効果の評価に関する研究
課題番号
H18-健危・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
北川 定謙(財団法人 日本公衆衛生協会)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 隆一郎(長野県飯田保健所)
  • 古屋 好美(山梨県中北保健所)
  • 石田 久美子(茨城県つくば保健所)
  • 黒岩 京子(板橋区保健所)
  • 阿彦 忠之(山形県衛生研究所)
  • 永井 伸彦(秋田県横手保健所)
  • 東海林 文夫(中央区保健所)
  • 髙野 正子(大阪府吹田保健所)
  • 小窪 和博(岐阜県飛騨保健所)
  • 岸本 泰子(島根県県央保健所)
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 緒方 剛(茨城県筑西保健所)
  • 澁谷 いづみ(愛知県半田保健所)
  • 岸本 益実(広島県備北地域保健所)
  • 岩本 治也(福岡県京築保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究期間3年間を通じて、健康危機管理12分野について、1. 保健所の標準的役割を確定し、健康危機管理体制の評価を行うための具体的指標・評価基準を開発すること2. 健康危機管理に対する保健所の課題の抽出し解決策を提案すること3. 保健所が健康危機管理に対応するための教材等の開発をすることの三点を研究目的とした。
研究方法
1.平成18年度に全国保健所等を対象に健康危機管理体制・健康危機事例調査を行い、これを基礎に保健所が健康危機管理を行うための体制についての具体的評価指標・基準(評価表)の作成を行った。平成20年度に全国保健所を対象に、この評価表を用いて調査を行い、最終的に標準的役割と健康危機管理体制の具体的評価指標・基準を作成した。2.全国調査資料、過去に保健所が経験した健康危機管理事例、研究期間中に保健所が対応を行った健康危機管理事例を基礎資料として、保健所が健康危機管理を行う上での課題の抽出を行った。また、具体的な解決システムなどの案を作成し、試行的に運用を開始し、さらに試行的運用で課題となる点については検討・改善を行った。3.保健所が健康危機管理に当たって必要となる教材等の開発を行った。
結果と考察
1.保健所の健康危機管理体制評価のための具体的指標は548項目とした。2.1)健康危機管理事例の収集と提供システムの開発、2)保健所健康危機管理支援システムの開発、3)健康危機管理支援指標の開発。第二の災害時必要医療・保健チームの算定を行うための、支援医療従事者インデックスを提案した。3.1)健康危機管理支援サイト集の作成、2)健康危機管理教材の開発、米国Strategies for Incident Preparednessの翻訳、医療相談マニュアルなど。3)健康危機管理に関する講演会等を米国から招聘し全国で開催した。平成20年1月の食品衛生に関する全国的な危機管理事例は、保健所の初期情報受理システムや保健所内部の処理体制に課題があることが判明し、厚生労働省、全国保健所長会と研究班が協力して対応を行った。平成20年の全国調査結果から保健所対応体制の改善が確認された。
結論
三年間の研究で、所期の目的である、主要健康危機管理12分野についての保健所健康危機管理体制の具体的評価指標・評価基準が完成した。保健所の健康危機管理体制を支援のための、継続的な事例収集及び運用がH-crisis上で開始された。保健所健康危機管理支援・相談事業を試行的に立ち上げ、運用を開始した。今後、全国調査で明らかになった、保健所と保健所の外の地域関係機関や住民との連携を更に進めるための検討が必要であると考えている。

公開日・更新日

公開日
2009-04-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200840001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1.健康危機管理12分野について保健所が体制を整えるための健康危機管理体制の評価基準を開発した。2.保健所職員等を対象とした健康危機管理に関する研修・訓練を行うため、健康危機管理教材を数種開発した。3.全国の保健所を支援する目的で、本研究班の研究分担者等を中心に専門家チームを構成した保健所健康危機管理支援システムを構築し運用を開始した。4.健康危機管理支援指標の開発:大規模自然災害時の必要医療・保健チーム数の算定を行うための、支援医療従事者インデックス等を開発した。
臨床的観点からの成果
現段階記入なし。
ガイドライン等の開発
今回開発した具体的指標・評価基準は、一部の項目を訂正すれば、保健所における健康危機管理体制の評価がほぼ適正にできることが確認された。開発した項目は全548項目で、原因不明52、自然災害36、医療安全等61、 介護安全(感染)30 、介護安全(高齢)42、感染症28、結核31、精神69、児童虐待33、飲料水57、食品安全20、生活環境ウエストナイル21、生活安全化学物質21、生活環境安全原子力関係47である。その他「医療相談マニュアル」「有症苦情事例の所長報告ガイドライン」を開発した。
その他行政的観点からの成果
平成20年1月に判明した全国的危機管理事例(中国産冷凍餃子を原因とする薬物(メタミドホス混入)中毒)は、研究班で検討した結果、保健所の初期情報受理システムや保健所内部の処理体制に課題があることが判明し、この教訓を生かすべく、厚生労働省、全国保健所長会と研究班が協力し改善策を定めた。保健所が経験した健康危機管理事例の継続的収集は、全国保健所長会の協力を得てその体制を確立し、健康危機管理事例の登録と情報提供は国立保健医療科学院の協力を得てデータベース化しH-Crisis上で提供を開始した。
その他のインパクト
1)健康危機管理に関する講演会等を米国などの専門家を招聘し、全国12か所で開催した。「児童虐待における関係機関協働―切れ目のないケアをもとめて―」をテーマとする児童虐待防止シンポジウムを平成20年11月14日に大阪にて開催した。
2)月刊誌「公衆衛生情報」に「危機管理の拠点」等の特集として、平成19年5月号から平成20年3月号まで、また平成20年11・12月号に発表し、保健所等の現場へ情報提供した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
16件
日本公衆衛生雑誌:全国調査からみた保健所の健康危機管理体制の現状、保健所がはたす健康危機管理 原因不明の健康危機、実例をもとにした医療安全対策シミュレーション教育教材の開発等について発表
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-11-24
更新日
-