文献情報
文献番号
202119041A
報告書区分
総括
研究課題名
公衆衛生体制の見直しと新たな体制構築のための政策研究
課題番号
21HA2010
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
岡部 信彦(川崎市健康福祉局 川崎市健康安全研究所)
研究分担者(所属機関)
- 田辺 正樹(三重大学医学部附属病院 中央検査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
48,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1999年に感染症法が制定され、同法に基づき感染症に係る公衆衛生対策が実施されてきた。2020年1月に指定感染症に位置付けられた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応にあたっては、公衆衛生対策上、様々な課題が見られた。このような公衆衛生上重大な感染症への対応に際し、具体的に「何を、どの程度準備すべきか」を体系的に整理していく必要がある。そのため、「感染症指定医療機関制度・病床確保」「宿泊療養・自宅療養、外来医療体制」、「療養先調整、移送」、「医療人材確保、物資確保」、「保健所業務
・検査体制」等について、新型コロナウイルス感染症対策に関する情報を収集し、過去と比較しつつ、今後求められる公衆衛生対策に関する見直しの評価を行い、「都道府県・保健所設置市・特別区が感染症予防計画を作成する際の手引き(案)」を作成することを研究目的とした。
・検査体制」等について、新型コロナウイルス感染症対策に関する情報を収集し、過去と比較しつつ、今後求められる公衆衛生対策に関する見直しの評価を行い、「都道府県・保健所設置市・特別区が感染症予防計画を作成する際の手引き(案)」を作成することを研究目的とした。
研究方法
現状分析調査として、(1)47都道府県の「感染症予防計画」に加え、関連する計画として「新型インフルエンザ等対策行動計画」、「医療計画(新興感染症等関連)」を収集・分析し、各都道府県の現行の記載事項の把握を行った後、(2)47都道府県・20政令指定都市・医療機関を対象としたCOVID-19対応の現状に係るアンケート調査を実施した(研究分担者:田辺)。
上記の調査結果、及び、感染症法改正の内容並びに基本指針の改訂方針を踏まえ「都道府県、保健所設置市及び特別区における予防計画作成のための手引き(案)」を作成した。
なお、 COVID-19対応に係る課題の整理、アンケート調査項目の設定、手引き(案)の作成にあたっては、研究代表者・研究分担者のほか、本研究と関連の深い感染症関連の専門家や自治体関係者等様々な立場の研究協力者を加えた研究班会議において検討を行った。
上記の調査結果、及び、感染症法改正の内容並びに基本指針の改訂方針を踏まえ「都道府県、保健所設置市及び特別区における予防計画作成のための手引き(案)」を作成した。
なお、 COVID-19対応に係る課題の整理、アンケート調査項目の設定、手引き(案)の作成にあたっては、研究代表者・研究分担者のほか、本研究と関連の深い感染症関連の専門家や自治体関係者等様々な立場の研究協力者を加えた研究班会議において検討を行った。
結果と考察
(1)都道府県予防計画等の分析:
2022年12月改正前の感染症法においては、基本指針は12の項目、予防計画は3つの項目を定めるものとされていたが、多くの都道府県において、法に規定されていない項目についても国の基本指針を参考に記載されていた。そのため、手引き(案)の作成にあたっては、国の基本指針を基本とした構成とし、法律で規定されている必須項目のほか、法律で規定されていないものの多くの都道府県において記載されている事項については、任意の項目として整理するなど、都道府県が計画を作成しやすい項立とした。
(2)COVID-19対応のアンケート調査:
自治体向けアンケートについては、47都道府県からは100%の回答を得た。各都道府県におけるCOVID-19対応について、位置付けや目標設定の参考となるよう箱ヒゲ図などを用いて数値を整理した。保健所体制については、第7波ピーク時に、多くの都道府県において、専門職と比べ非専門職の職員が増員されているなど、今後の保健所体制の強化や医療人材の育成を検討する上での参考資料を提示することができた。
医療機関向けアンケートには、特定感染症/第1種感染症指定医療機関16施設、第2種感染症指定医療機関82施設、感染対策向上加算1算定施設等(感染症指定医療機関を除く)230施設から回答を得た。医療機関種別に分け整理することで、パンデミック発生後の入院患者受入開始までの時期の相違などが明確となった。他機関への医療人材派遣の状況など自治体側で把握しにくい事項についても整理することができた。
(3)予防計画作成の手引き(案):
予防計画の作成にあたっては、国の基本指針を参考に、現行の予防計画を改定していくこととなるが、2022年12月の感染症法等の改正により、都道府県連携協議会の創設、医療機関等との協定の締結、数値目標の設定など、予防計画の記載事項が大幅に変更されたこと、また、保健所設置市区においても予防計画の作成が必要となったことを受け、予防計画作成の際の一助となるよう、手引きを作成した。
2022年12月改正前の感染症法においては、基本指針は12の項目、予防計画は3つの項目を定めるものとされていたが、多くの都道府県において、法に規定されていない項目についても国の基本指針を参考に記載されていた。そのため、手引き(案)の作成にあたっては、国の基本指針を基本とした構成とし、法律で規定されている必須項目のほか、法律で規定されていないものの多くの都道府県において記載されている事項については、任意の項目として整理するなど、都道府県が計画を作成しやすい項立とした。
(2)COVID-19対応のアンケート調査:
自治体向けアンケートについては、47都道府県からは100%の回答を得た。各都道府県におけるCOVID-19対応について、位置付けや目標設定の参考となるよう箱ヒゲ図などを用いて数値を整理した。保健所体制については、第7波ピーク時に、多くの都道府県において、専門職と比べ非専門職の職員が増員されているなど、今後の保健所体制の強化や医療人材の育成を検討する上での参考資料を提示することができた。
医療機関向けアンケートには、特定感染症/第1種感染症指定医療機関16施設、第2種感染症指定医療機関82施設、感染対策向上加算1算定施設等(感染症指定医療機関を除く)230施設から回答を得た。医療機関種別に分け整理することで、パンデミック発生後の入院患者受入開始までの時期の相違などが明確となった。他機関への医療人材派遣の状況など自治体側で把握しにくい事項についても整理することができた。
(3)予防計画作成の手引き(案):
予防計画の作成にあたっては、国の基本指針を参考に、現行の予防計画を改定していくこととなるが、2022年12月の感染症法等の改正により、都道府県連携協議会の創設、医療機関等との協定の締結、数値目標の設定など、予防計画の記載事項が大幅に変更されたこと、また、保健所設置市区においても予防計画の作成が必要となったことを受け、予防計画作成の際の一助となるよう、手引きを作成した。
結論
都道府県等が感染症予防計画を作成する際の参考となるよう、各都道府県の現行予防計画等の調査、COVID-19対応に係るアンケート調査結果を行った後、「都道府県、保健所設置市及び特別区における予防計画作成のための手引き(案)」を作成した。本研究が、都道府県等の予防計画作成の一助となるほか、次のパンデミックへの備えを検討する上での参考資料となることを期待している。
公開日・更新日
公開日
2024-06-07
更新日
-