文献情報
文献番号
202119039A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナワクチン等の有効性及び安全性の評価体制の構築に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21HA2008
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 基(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
研究分担者(所属機関)
- 森本 浩之輔(長崎大学 熱帯医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
168,810,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
2020年初頭に始まった新型コロナウイルス感染症の世界規模流行を受けて、急ピッチで新規開発された新型コロナワクチンは2020年末以降、英国を皮切りに世界各国で承認、導入され、日本では2021年2月より初回接種(1回目・2回目接種)が開始となった。本研究班は大きく2つの課題から構成される。
①新型コロナワクチンの有効性の経時的評価に係る検討
新型コロナワクチンの有効性(感染予防効果、発症予防効果、重症化予防効果等)は接種回数、時間経過および新規変異株の流行により変化することから、これを経時的にモニタリングすることが、有効な予防接種戦略を立てるうえで不可欠である。国内にこのようなシステムは確立されていないことから、本研究では、喫緊の課題として、新型コロナワクチンの有効性について体系的、継続的に評価できる研究体制を整備することを目的とした。
②予防接種の安全性及び有効性を評価する仕組みの構築に向けた政策研究
新型コロナウイルスの流行を機に、より長期的に予防接種の安全性及び有効性を迅速に調査分析する仕組みの構築の必要性が浮き彫りとなった。本研究では、中長期的な視点に立ってシステム整備に向けた現実的な課題を明らかにすることを目的とした。
①新型コロナワクチンの有効性の経時的評価に係る検討
新型コロナワクチンの有効性(感染予防効果、発症予防効果、重症化予防効果等)は接種回数、時間経過および新規変異株の流行により変化することから、これを経時的にモニタリングすることが、有効な予防接種戦略を立てるうえで不可欠である。国内にこのようなシステムは確立されていないことから、本研究では、喫緊の課題として、新型コロナワクチンの有効性について体系的、継続的に評価できる研究体制を整備することを目的とした。
②予防接種の安全性及び有効性を評価する仕組みの構築に向けた政策研究
新型コロナウイルスの流行を機に、より長期的に予防接種の安全性及び有効性を迅速に調査分析する仕組みの構築の必要性が浮き彫りとなった。本研究では、中長期的な視点に立ってシステム整備に向けた現実的な課題を明らかにすることを目的とした。
研究方法
①新型コロナワクチンの有効性の経時的評価に係る検討
首都圏を中心とする16カ所の医療機関からなる多施設共同研究(FASCINATE研究:研究代表者鈴木)と全国21カ所の医療機関からなる多施設共同研究(VERSUS研究:研究分担者森本)を立ち上げ、臨床疫学情報の継続的収集と分析を実施した。また両研究において入院を要する重症例に関する情報収集を実施した。ワクチンの有症状感染予防効果については検査陰性デザイン、重症・入院予防効果については症例対照研究デザインを用いて推定を行った。さらに商用レセプトデータベースを用いて、COVID-19患者の医療費推計と重症化率推計、およびワクチンの有効性のデータを元にワクチンによる潜在的疾病負担削減額の推計を行った。
②予防接種の安全性及び有効性を評価する仕組みの構築に向けた政策研究
本研究班で行う2つの多施設共同研究の実施を通した分析、予防接種法に基づく副反応疑い報告の分析、及び過去の研究班の調査報告書の収集と分析を行った。
首都圏を中心とする16カ所の医療機関からなる多施設共同研究(FASCINATE研究:研究代表者鈴木)と全国21カ所の医療機関からなる多施設共同研究(VERSUS研究:研究分担者森本)を立ち上げ、臨床疫学情報の継続的収集と分析を実施した。また両研究において入院を要する重症例に関する情報収集を実施した。ワクチンの有症状感染予防効果については検査陰性デザイン、重症・入院予防効果については症例対照研究デザインを用いて推定を行った。さらに商用レセプトデータベースを用いて、COVID-19患者の医療費推計と重症化率推計、およびワクチンの有効性のデータを元にワクチンによる潜在的疾病負担削減額の推計を行った。
②予防接種の安全性及び有効性を評価する仕組みの構築に向けた政策研究
本研究班で行う2つの多施設共同研究の実施を通した分析、予防接種法に基づく副反応疑い報告の分析、及び過去の研究班の調査報告書の収集と分析を行った。
結果と考察
①FASCINATE研究ではBA.5流行期におけるオミクロン対応2価ワクチンの有症状感染予防効果は高度であることが示された。オミクロン対応2価ワクチン(BA.1対応型)とオミクロン対応2価ワクチン(BA.4-5対応型)とで効果に大きな差は認めなかった。相対的な有効率は、1価ワクチン接種から6ヶ月以降の者においては中程度であり、特に半年以上経過した者におけるワクチンの有効性が示唆された。また重症化予防効果について、デルタ流行期〜オミクロン流行初期(BA.1/BA.2流行期)における呼吸不全を伴うCOVID-19肺炎および人工呼吸器を要するCOVID-19肺炎に対する予防効果を検討し、ともに高い有効性を確認した。
VERSUS研究では、オミクロン株のBA.1/BA.2流行期およびBA.5流行期において、単価ワクチン追加接種の有症状感染効果は中~高度であることが示された。またオミクロン株流行下において追加接種によって70%以上の入院予防の有効性、重症化の予防については2回の追加接種で78.2%と高い有効性があることが確認された。レセプトデータベースを用いた分析の結果、ワクチンによる疾病負担削減額は生産性損失を含めて約3兆700億円と試算された。
②共同研究者との議論を通して、新規ワクチン導入後の有効性評価に際しては、事前の多施設共同研究のネットワークの構築及び継続的運用が重要であることが明らかとなった。また複数の異なるアウトカムの測定方法、対象者の背景情報の体系的収集、予防接種歴の検証が課題として挙げられた。改正予防接種法に基づく予防接種データベースの構築と活用が計画されている。新規導入ワクチンの有効性評価に際しては、これを活用しつつ多施設共同研究を実施することが重要であると考えられた。
VERSUS研究では、オミクロン株のBA.1/BA.2流行期およびBA.5流行期において、単価ワクチン追加接種の有症状感染効果は中~高度であることが示された。またオミクロン株流行下において追加接種によって70%以上の入院予防の有効性、重症化の予防については2回の追加接種で78.2%と高い有効性があることが確認された。レセプトデータベースを用いた分析の結果、ワクチンによる疾病負担削減額は生産性損失を含めて約3兆700億円と試算された。
②共同研究者との議論を通して、新規ワクチン導入後の有効性評価に際しては、事前の多施設共同研究のネットワークの構築及び継続的運用が重要であることが明らかとなった。また複数の異なるアウトカムの測定方法、対象者の背景情報の体系的収集、予防接種歴の検証が課題として挙げられた。改正予防接種法に基づく予防接種データベースの構築と活用が計画されている。新規導入ワクチンの有効性評価に際しては、これを活用しつつ多施設共同研究を実施することが重要であると考えられた。
結論
2つの多施設共同研究を実施することで、デルタ株、オミクロン株流行時期における新型コロナワクチンの有症状感染予防効果、重症予防効果が明らかとなった。これらの結果は厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード、予防接種ワクチン分科会の資料として提出され、わが国の新型コロナワクチン戦略に関する議論に活用された。今後、予防接種法の改正に伴い、予防接種データベースを活用した安全性と有効性の評価体制の整備が計画されているが、並行して多施設共同研究のプラットフォームを整備・維持することも重要であると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2025-09-04
更新日
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