文献情報
文献番号
200838082A
報告書区分
総括
研究課題名
献血者でのHBV-DNA陽性血におけるデルタ肝炎ウイルス感染の実態
課題番号
H20-医療・指定-034
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 日野 学(日本赤十字社 血液事業本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、わが国の献血者を対象として、B型肝炎感染者におけるデルタ肝炎ウイルス感染実態を明らかにすることである。
研究方法
2005年以後、日赤NAT検査でHBV-DNA陽性結果が判明した血液を用いて、HBV遺伝子型を明らかにするともに、HDV感染マーカーとしてHDV抗体(日赤測定)とHDV-RNA(日赤と長崎医療センターでの2重測定)の測定をおこなう。HDV-RNA陽性例では、遺伝子配列を明らかにした上で、分子系統樹を作成し、HDV遺伝子型を明らかにする。
結果と考察
日赤NAT検査で、HBV-DNA陽性であった141検体を用いて検討した。141検体のHBV遺伝子型の内訳は、HBV遺伝子型Aは50検体、HBV遺伝子型B型は26検体、HBV遺伝子型C型60検体、HBV遺伝子型D型3検体、HBV遺伝子型E型1検体、HBV遺伝子型H型1検体である。
HDV抗体(EIA法)の測定では141検体1検体(HBV遺伝子型B型)が抗体陽性で、0.7%の陽性率であった。
HDV-RNAに関して、日赤での測定では7検体(4.9%)にHDV-RNAが検出された。その内訳は、HBV遺伝子型A型5検体、HBV遺伝子型B型1検体、HBV遺伝子型C型1検体であった。7検体では塩基配列の決定が可能で7例ともHDV-I型であった。
長崎医療センターでの測定は、2名の研究者(研究者a,研究者b)がHDV-RNAの検出をおこなった。研究者aは7検体(4.9%)、研究者bは1検体(0.7%)でHDV-RNAを検出した。研究者bがHDV-RNA陽性となった検体を用いて塩基配列の決定を試みるもHDVに特異的な配列は増幅できなかった。
HDV抗体陽性例でのHDV-RNA検出は、日赤、長崎医療センターともに陰性であった。
HDV抗体(EIA法)の測定では141検体1検体(HBV遺伝子型B型)が抗体陽性で、0.7%の陽性率であった。
HDV-RNAに関して、日赤での測定では7検体(4.9%)にHDV-RNAが検出された。その内訳は、HBV遺伝子型A型5検体、HBV遺伝子型B型1検体、HBV遺伝子型C型1検体であった。7検体では塩基配列の決定が可能で7例ともHDV-I型であった。
長崎医療センターでの測定は、2名の研究者(研究者a,研究者b)がHDV-RNAの検出をおこなった。研究者aは7検体(4.9%)、研究者bは1検体(0.7%)でHDV-RNAを検出した。研究者bがHDV-RNA陽性となった検体を用いて塩基配列の決定を試みるもHDVに特異的な配列は増幅できなかった。
HDV抗体陽性例でのHDV-RNA検出は、日赤、長崎医療センターともに陰性であった。
結論
日赤献血システムでのNAT検査でHBV-DNA陽性であった141検体を用いてHDV感染状況を検討した。HDV抗体は1検体(0.7%)に検出された。HDV-RNAの検出は、3名の研究者が測定をおこない、陽性検体は、7検体(4.9%)、7検体(4.9%)、1検体(0.7%)であったが、測定結果に乖離が認められた。献血者を対象とした場合、NAT検査でHBV-DNA陽性検体の中にHDV重複感染例が少なからず存在する可能性が高いも、その頻度を論じるには、さらなる検討が必要である。
公開日・更新日
公開日
2009-04-06
更新日
-