文献情報
文献番号
200838081A
報告書区分
総括
研究課題名
血液製剤に含まれるC型肝炎ウイルスの感染経路による感染リスクの差に関する研究
課題番号
H20-医療・指定-033
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
脇田 隆字(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
- 加藤 孝宣(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
- 田中 靖人(名古屋市立大学大学院 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
HCVの新規感染は輸血および血液製剤のスクリーニングが開始されてから激減した。しかし、その感染経路に関しては未だに不明の点が多い。本研究では血液製剤などからのHCVの感染経路による感染危険性の差を検証する。
研究方法
1.感染材料の検討
JFH-1株およびJFH-2株の全長HCV遺伝子構築から試験管内で全長HCV RNAを合成する。合成RNAをHuh7細胞に導入しその導入細胞を経代培養する。培養上清から感染性ウイルスを回収してその感染力価、HCV RNA量、HCVコアタンパク量などを測定する。また、患者血清中のHCV RNA量を測定する。
2.血清のチンパンジーへの感染
JFH-1株の患者血清を9.6×106 copy HCV RNA相当量、経静脈的にチンパンジーへ投与した。投与後チンパンジーの感染を血清中のHCV RNAの測定により検出した。
3.フィブリン糊による感染実験
かつて問題となったHCVが含まれるフィブリノーゲン製剤や糊を入手することは出来ないため、現在市販されているフィブリノーゲン製剤及び糊にHCV感染源を混合して実験を行うこととした。HCV感染源として、すでにヒト肝細胞置換キメラマウスを用いて感染性が確認されているHCV genotype 1b患者血清を用いた。
JFH-1株およびJFH-2株の全長HCV遺伝子構築から試験管内で全長HCV RNAを合成する。合成RNAをHuh7細胞に導入しその導入細胞を経代培養する。培養上清から感染性ウイルスを回収してその感染力価、HCV RNA量、HCVコアタンパク量などを測定する。また、患者血清中のHCV RNA量を測定する。
2.血清のチンパンジーへの感染
JFH-1株の患者血清を9.6×106 copy HCV RNA相当量、経静脈的にチンパンジーへ投与した。投与後チンパンジーの感染を血清中のHCV RNAの測定により検出した。
3.フィブリン糊による感染実験
かつて問題となったHCVが含まれるフィブリノーゲン製剤や糊を入手することは出来ないため、現在市販されているフィブリノーゲン製剤及び糊にHCV感染源を混合して実験を行うこととした。HCV感染源として、すでにヒト肝細胞置換キメラマウスを用いて感染性が確認されているHCV genotype 1b患者血清を用いた。
結果と考察
1.感染材料の検討
JFH-1株の場合、培養細胞で作製したウイルス(HCVcc)および患者血清の感染をヒト肝細胞移植キメラマウスで確認できた。しかし、JFH-2株では患者血清は感染したが、HCVccは感染しなかった。
2.血清のチンパンジーへの感染
JFH-1株血清はチンパンジーへ感染が成立した。HCV血症は間歇的に接種後36週目まで観察でき、その後陰性化した。感染成立後、ウイルスゲノムには変異が蓄積することが明らかとなった。現在これらの変異の意義をリバースジェネティクス法で解析中である。
3.フィブリン糊による感染実験
HCVが含まれるプール血清から製造され、不活化処理を経たとされる血液製剤とまったく同一の条件であるとは言えないが、HCV陽性血清を混合したフィブリノーゲン糊を腹腔内またはフィブリノゲン製剤を静脈内投与したキメラマウス群と、HCV陽性血清のみを投与した群を比較した結果、フィブリノーゲン糊と混合した方が、感染効率が高くなる結果を得た。
JFH-1株の場合、培養細胞で作製したウイルス(HCVcc)および患者血清の感染をヒト肝細胞移植キメラマウスで確認できた。しかし、JFH-2株では患者血清は感染したが、HCVccは感染しなかった。
2.血清のチンパンジーへの感染
JFH-1株血清はチンパンジーへ感染が成立した。HCV血症は間歇的に接種後36週目まで観察でき、その後陰性化した。感染成立後、ウイルスゲノムには変異が蓄積することが明らかとなった。現在これらの変異の意義をリバースジェネティクス法で解析中である。
3.フィブリン糊による感染実験
HCVが含まれるプール血清から製造され、不活化処理を経たとされる血液製剤とまったく同一の条件であるとは言えないが、HCV陽性血清を混合したフィブリノーゲン糊を腹腔内またはフィブリノゲン製剤を静脈内投与したキメラマウス群と、HCV陽性血清のみを投与した群を比較した結果、フィブリノーゲン糊と混合した方が、感染効率が高くなる結果を得た。
結論
先に述べたように実験的な結果であるが、フィブリノーゲン糊にHCV陽性血清を混合して投与するとHCV陽性血清のみの場合よりも感染効率が高くなる結果が得られた。今後はそのメカニズムの検討が待たれる。
公開日・更新日
公開日
2010-01-15
更新日
-